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地方分権改革推進委員会の「第1次勧告」に向けての要請(全国市長会)(平成20年5月21日)

 本会では、地方分権改革推進委員会が5月末にも行う予定である「第1次勧告」に向けて、5月21日、佐竹会長から同委員会に対して、本会がこれまで『第二期地方分権改革に関する提言』(平成19年10月)等において提言してきた事項について、同勧告に十分取り入れるよう要請しました。
 また、地方六団体としても、同日、地方分権改革推進委員会に対して、地方の意見を十分踏まえて具体的な勧告を行うよう、「地方分権改革推進委員会の第一次勧告に盛り込むべき事項」を提出、要請しました。

・地方分権改革推進委員会の「第1次勧告」に向けての要請(pdf)はこちら
・地方分権改革推進委員会の第一次勧告に盛り込むべき事項(pdf)はこちら

 

写真(左・宮脇分権委員会事務局長  右・佐竹会長)

 

  

 

地方分権改革推進委員会の「第1次勧告」に向けての要請

 

平成20年5月21日
全国市長会会長  佐 竹 敬 久

 

 本会では、「第二期地方分権改革は、『住民自治の拡充のための改革』である」と位置付け、地域に住む住民が自らの意思によって地域の行政を決定することができる改革を実現するため、昨年4月には日本都市センター等と共同で設置している「都市分権政策センター」において『第二期地方分権改革についての緊急提言』を行ったほか、本会として、『都市における地方分権改革に関する支障事例先行調査結果』(昨年6月)や、『第二期地方分権改革に関する提言』(同10月)、『「義務付け・枠付け(自治事務)」及び「関与(自治事務・法定受託事務)」の廃止に関する追加調査結果』(本年4月)を取りまとめ、地方分権改革推進委員会に提出するなど、積極的な対応を図ってきているところである。
 現在、地方分権改革推進委員会におかれては、「第1次勧告」の取りまとめに向け、精力的に審議が重ねられているところであるが、その取りまとめに当たっては、各府省からの地方分権改革に消極的な対応にとらわれることなく、地方分権改革推進法の目的である「個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図る」ため、毅然として臨まれるとともに、これまでの本会の提言等を十分取り入れたものとするよう強く要請する。

 

1.「地方の自立に繋がる行政面での分権改革」と「住民自治を可能とする地方税財政制度の構築」の断行
 第二期地方分権改革においては、国・都道府県・市町村の役割分担を明確化したうえで、①事務事業の再配分、国等の関与、義務付け・枠付けの廃止・縮小を行う「地方の自立に繋がる行政面での分権改革」、②税源移譲の推進、地方交付税制度の再構築、国庫補助負担金等の廃止等の「住民自治を可能とする地方税財政制度の構築」を断行すること。

 

2.都市自治体への権限移譲の推進
 国・都道府県・市町村の役割分担に基づく事務事業の再配分に当たっては、「基礎自治体優先」の原則、「補完性・近接性」の原理に基づき、都市自治体が住民に身近な事務事業を地域において総合的・一体的に遂行することができるよう、包括的に移譲するとともに、自由度の高い行政運営が可能となるような推進方策を示すこと。
 また、国から地方、都道府県から市町村への権限移譲に当たっては、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置とともに、専門的な人材育成等が不可欠なものであるので、その具体的内容を明記すること。
 なお、医療・福祉制度などの国の制度改正に当たっては、その企画・立案段階から地方との協議を実施し、その意見を反映させる仕組みの構築についても盛り込むこと。

 

3.義務付け・枠付け、関与の見直しと条例制定権の拡大
 義務付け・枠付け、関与の見直しと条例による法令の上書き権を含めた条例制定権の拡大については、『中間的な取りまとめ』で示されているとおり、都市自治体の自主性を強化し、政策や制度の問題を含めて自由度を拡大する姿勢に立ち、「全国的に統一して定めることが必要な場合」等を極力限定的にとらえて見直しを行うことを明確に打ち出すこと。

 

4.国の出先機関の見直し
 国の出先機関の見直しは、二重行政の解消等、国・地方双方の行政改革に資するものであり、また地方分権改革を進めていく上で不可欠なものであることから、昨年9月に地方六団体が提出した『地方支分部局の整理について』の考え方に基づき、その見直しが着実に進展するよう、具体的な考え方とスケジュールを明確に示すこと。

 

5.道路整備財源の確保
 道路財源の改革に当たっては、地方に必要な道路が計画的に整備されるよう、地方の意見を踏まえ、地方税財源を拡充する方向で措置すること。

 

6.税財政改革
 住民の意向に基づいた行政施策を展開していくとともに、移譲を受けた権限を着実に実施していくためには、当然のことながら、国・都道府県から都市自治体に対して税財源を移譲し、都市自治体が財政的にも自立していくことが必要であることから、権限移譲に伴い必要となる税財源を併せて移譲することを明確にすること。
 また、本会が主張している「地方共有税の導入」や「(仮)地方行財政会議の法律による設置」についても、第二期改革において実現するよう、その実施を明確にすること。

 

 

 

 

 

地方分権改革推進委員会の第一次勧告に盛り込むべき事項

 

 地方分権改革推進委員会におかれては、丹羽委員長のリーダーシップのもと、精力的な審議を重ねられ、昨年の「地方分権改革推進にあたっての基本的な考え方」の取りまとめや「中間的な取りまとめ」を経て、順次勧告がなされる運びとなっている。
 第一次勧告は、第二期地方分権改革の今後の帰趨を決める大変重要なものであり、地方分権改革推進委員会におかれては、地方の意見を十分に踏まえ、以下のとおり、地方分権改革推進法の趣旨を踏まえた具体的な勧告を行うよう強く求める。

 

1 基本的な考え方
 地方分権改革推進法においては、「地方分権改革の推進は、(略)地方公共団体の自主性及び自立性を高めることによって、地方公共団体が自らの判断と責任において行政を運営することを促進し、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われる」こととされている。この地方分権改革推進法は、与野党の大多数の賛成をもって成立した法律であり、国民の総意として今、地方分権の推進が求められている。
 しかしながら、各府省は、「中間的な取りまとめ」などに掲げた事項に対し、専門性や統一性の確保、広域調整の必要性といった抽象論や論理のすり替えに終始し、事実上のゼロ回答を続けている。
 こうした対応は、地方分権改革推進法の理念、ひいては国民の思いを踏みにじる対応と言わざるを得ず、極めて遺憾である。
 地方分権改革推進委員会におかれては、「中間的な取りまとめ」に示した理念や検討の方向性に沿って、「地方政府」の実現に向け、着実に取組が進むよう、第一次勧告の取りまとめに当たり、毅然として臨まれることを強く求める。

 

2 第一次勧告に盛り込むべき具体的な事項

以下の事項について、第一次勧告に盛り込むことを求める。

(1) 地方分権で二重行政の解消等を
 地方六団体が求めてきた国の義務付け・枠付け、関与の廃止・縮小、権限移譲、法定受託事務の自治事務化、二重行政の解消等について、個別具体的な事項を盛り込むこと。

(2)積極的な国の出先機関の見直しを
 国の出先機関の見直しについては、地方分権改革推進委員会からの要請に基づき、地方六団体として意見を申し述べてきたところである。
 地方分権改革推進委員会においても、引き続き、更に踏み込んだ検討が進められるものと考えるが、第一次勧告においても、今後着実に改革が進むよう、できる限り具体的な内容とスケジュールを盛り込むこと。
 なお、権限移譲や国の出先機関の見直しは、当然のことながら、財源の問題と併せて一体的に進めなければ地方分権の推進とは到底言えないものであることから、税源移譲等により確実な財源措置を講じることが絶対条件であり、その具体的内容を明記すること。

(3)国から地方、都道府県から市町村への権限移譲の推進を
 国・都道府県・市町村それぞれが担うべき役割を適切に果たし、行政の重複が解消できるよう、国から地方、都道府県から市町村への権限移譲に取り組むとともに、地域の実情に応じて画一的でなく自由度の高い行政運営が可能となるような推進方策を示すこと。
 なお、権限移譲を行うに当たっては、国・都道府県・市町村の役割分担を踏まえ、地方自治体に包括的に移譲すること。
 また、都道府県から市町村への権限移譲に当たっては、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置とともに、専門の人材育成研修等が前提となり不可欠なものであるので、その具体的内容を明記すること。
 さらに、特に医療・福祉制度などの国の制度改正に当たっては、その企画・立案段階から地方との協議を実施し、その意見を反映させる仕組みの構築についても盛り込むこと。

(4)義務付け・枠付け、関与の見直しと条例制定権の拡大を
 義務付け・枠付け、関与の見直しと条例による法令の上書き権を含めた条例制定権の拡大については、「中間的な取りまとめ」で示されているとおり、地方自治体の自主性を強化し、政策や制度の問題を含めて自由度を拡大する姿勢に立ち、「全国的に統一して定めることが必要な場合」等を極力限定的にとらえて見直しを行うことを明確に打ち出すこと。

(5)国と地方の税源配分をまずは5:5に
 自立した地域をつくるためには、地方の財政基盤を確立するとともに、受益と負担の関係を明確にしていくことが不可欠である。
 こうした観点から、国と地方の最終支出の比率に税源の配分を近づけるよう、地域偏在性の少ない地方税体系の構築を図りつつ、国と地方の税源配分をまずは5:5とすることを目指し、国から地方への積極的税源移譲について盛り込むこと。

(6)道路特定財源の一般財源化について
 道路特定財源の一般財源化については、地方の道路整備の状況、地方では道路予算の約6割を一般財源と借入金によって賄っている実態等に鑑み、地方税財源を拡充する方向を示すこと。

(7)地方共有税の導入、(仮)地方行財政会議の設置等を
 今後の改革の実現につながる勧告内容とするため、これまで、地方が主張してきた地方共有税の導入、(仮)地方行財政会議の法律による設置などについても方向性を示すこと。

 平成20年5月21日



※全国市議会議長会会長名の「博」は外字、右上の「`」がない字体
地方六団体  
全国知事会会長 麻生  渡
全国都道府県議会議長会会長 家元 丈夫
全国市長会会長 佐竹 敬久
全国市議会議長会会長 ※藤田 博之
全国町村会会長 山本 文男
全国町村議会議長会会長 原   伸一