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地方分権改革のさらなる推進のために(全国市長会)(平成18年8月2日)

 平成18年8月2日、会長の山出金沢市長は、来月に予定されている各政党の党首選に向けて、各候補者が地方分権改革を主要政策として掲げるとともに、本会の改革意見を具体的政策に盛り込むよう、自由民主党総裁候補者等へ要請した。
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 私ども全国市長会は、これまで都市自治体の創造に努めるとともに、「地方分権改革」の実現に向けて全力で取り組んで参りました。

 平成5年の衆参両院決議ではじまった第一次地方分権改革においては、機関委任事務制度の廃止など、国と地方が上下主従関係から対等協力の関係となり、ともにこの国の真の繁栄のために力を発揮することとなりました。

 そして平成16年度からの三位一体改革では、基幹税による3兆円の税源移譲が実現したものの、国庫補助負担金改革については地方の自由度が高まる内容には至りませんでした。未だに多くの課題も残されており、地方分権改革は道半ばの状況といわねばなりません。

 一方、中央と地方の格差はますます拡大している印象もぬぐえず、改めて、地方が元気にならなければ日本全体としての建て直しも実現できないとの認識を強くいたします。多様な地域をよみがえらせ、地域力を活かして、地方を再生する必要があります。地方自治体と各々の地域において、未来創造に挑戦する自由と気概と力をもたらす分権改革の実現が重要であります。

 国と地方のあるべき姿をめざして、われわれ日本の国民と中央と地方の政府は変革を進めなければなりません。いわば国家としても、より良い経営を創造していくことが肝要です。外交や安全保障をはじめとする日本国としてのあり方をはじめ、課題が山積しており、国は日本の将来を決める国際的な競争と国際社会との協調などの国家戦略の立案・検討と実践に力を集中していくことが不可欠です。また内政面では、子育て、教育、福祉、まちづくりなど生活者起点の課題も多く、地方にできることは地方が担い、その責任を引き受ける「地方分権改革」をさらに推進することが、新しい国のかたちとしても求められています。

 「地方分権改革」は時代が求める歴史的変革であり、21世紀の世界の潮流ともいえるものです。

 本会は、他の地方六団体とともに、なお一層の分権改革に向けて、先般、12年ぶりに地方自治法にもとづく意見提出権を行使したところでもあります。

 そこで、9月に予定されている総裁選挙・代表選挙に臨まれるに際して、われわれの「地方分権改革」に対する熱意と重大な決意を十二分にご理解いただき、「地方分権改革のさらなる推進」を基本理念や主要政策として掲げていただくとともに、次の事項を具体的政策に盛り込まれるように強く要請いたす次第であります。

 

 

 

1 「新地方分権推進・一括法」の制定と「(仮)地方行財政会議」の法定化

・ 国民・国会の力で強力に地方分権改革を推進することが必要であり、地方分権推進の基本理念や国と地方との役割分担、検討組織等を定めた法律を制定すること。

・ 地方に関わる重要事項について、地方と政府の代表者等が協議を行う「(仮)地方行財政会議」の設置等により、地方と十分な協議を行うとともに、地方の意見を国の政策にも反映すること。

2 国税と地方税の税源配分を5:5に

 国と地方の事務量に見合う税源配分とするため、地方消費税と個人住民税の充実強化を図り、地方共有税(地方交付税)に依存しない自治体の人口を大幅に拡大すること。これにより、まずは国税と地方税の税源配分を5:5とすること。立ち遅れている地方の道路整備の財源を充実させること。

3 「地方交付税」を「地方共有税」に

 地方交付税が国から恩恵的に与えられるものでないことを明確にするため、「地方交付税」を「地方共有税」に変更し、法定率の引上げ、特別会計への直入、特例加算・特別会計借入の廃止を実施すること。

4 地方への税源移譲に対応し、国庫補助負担金を廃止し、地方の自由度を高める

 税源移譲に対応する国の財源については、地方から既に提出済みの「国庫補助負担金等に関する改革案」を着実に実施し、当面、国庫補助負担金の総件数の半分を廃止(一般財源化)すること。国庫補助負担金の削減は、地方の自由度を高めるために、補助負担率を引き下げるのではなく、国庫補助負担金そのものを廃止して、地方への財源移譲とすること。

5 国・地方を通じた行財政改革の断行

 地方は、これまで国に先んじて行財政改革を断行し、大幅な定員削減や給与カットなど懸命に行財政改革に取り組んできた。地方分権改革の推進こそが、国・地方を通じた最大の行財政改革となる。その推進にあたって、たゆみ・ゆるみのない改革断行が重要である。

 今後、国の関与・国庫補助負担金の廃止・縮小、国と地方の二重行政の解消など、国と地方が一体となった行財政改革を推進すること。