ページ内を移動するためのリンクです。

電子自治体推進に関する意見(平成16年1月27日)

全国市長会は、平成16年1月27日、「電子自治体推進に関する意見」を総務省及びIT戦略本部に対し提出しました。
なお、平成16年2月6日開催のIT戦略本部において、本部員として参画の沢田横須賀市長から直接要請いたしました。
(pdf形式のファイルはこちら



電子自治体推進に関する意見
平成16年1月27日
全 国 市 長 会


 政府の「e-Japan戦略Ⅱ」の着実な実現、「加速化パッケージ(案)」に沿った電子自治体推進の取り組みをより実効性のあるものとするためには、下記のとおり主要な課題があり、国としての最大限の取り組みが不可欠である。
 よって、国においては、下記事項について積極的かつ適切な措置を講じられたい。
 


1 行政経営改革の視点からの総合的取り組みの必要性について
 電子自治体構築の目的は、情報通信技術を活用してサービスの品質の高度化や、提供方法の多様化、サービスの生産性の向上を図ることであるが、そのためには、現行の事務を単に電子化するのではなく、業務や組織のあり方を根本的に見直し、行政組織の機能を再構築し直す等、経営改革の視点から取り組む必要がある。
 それには、各分野の専門知識を集めた総合的な取り組みと、全国的な標準化の推進が必要となるが、この場合、個々の地方自治体の取り組みには限界があり、国と積極的に展開できる地方公共団体が共同で検討を行うことにより政策モデルを策定し、提案する必要がある。

2 高度人材の確保、育成の必要性について
 上記のような視点での取り組みを進めるためには、行政経営と情報通信技術の両方の分野に通じた人材が推進役として必要である。
 短期的には外部専門家の活用を図るとともに、長期的にはこのような人材の育成が不可欠である。そのために、特に高度人材については国も関与した形で人材育成方策を講ずる必要がある。

3 相談体制の充実について
 地方自治体の取り組み状況には、団体の規模や財政状況等により大きな格差がある。今後、本格的に電子自治体構築に取り組もうとする団体に対して、技術面の相談に加え、組織や業務の具体的改革の手法等を含む全般について、踏み込んだ相談に応じる必要がある。
 地方自治体相互の支援には限界があり、全国の地方自治体が一定レベルの電子自治体に到達するためには、相談体制の拡充を図ることが不可欠である。

4 共同方式による電子化の推進と全国的な公共ネットワークの整備について
 電子行政手続き、内部管理業務のみならず、防災、教育、医療等幅広い分野で、地方自治体によるシステムの共同構築・運用をさらに促進する必要がある。
 また、その基盤として、国と都道府県、市町村をつなぐ全国的なブロードバンドネットワークの整備が必要である。
 また、共同化の取り組みにも地域格差があり、取り組み状況を把握するとともに、必要な助言や支援措置を講ずる必要がある。

5 資格認証について
 電子申請における医師、弁護士、行政書士等の本人性、資格保有等の証明については、地域住民の生活や行政手続の代理申請等の種々の場面で必要となるものであり、早期に制度検討が望まれる。

6 セキュリティについて
 地方自治体のセキュリティ対策については、自主的な取り組みに任せるだけでは地域格差が生じる可能性がある。一部団体の脅威が全体に影響する可能性もあるため、全団体が迅速に適確な水準の対策を講ずることができるよう、国、地方自治体及び専門事業者による支援チームを編成して取り組む等の措置が必要である。

7 国民(住民)に対する広報について
 本格的な電子自治体構築に先立ち、電子政府・電子自治体の効果や安全性に関して、これまで以上に、国民(住民)に、分かりやすく広報を行う必要がある。
 また、情報セキュリティに関する知識や、インターネット等を利用する際のルールやマナー等についての広報を、多様な機会や媒体により行う必要がある。