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三位一体の改革に関する緊急提言 (地方自治確立対策委員会)(平成15年5月23日)

 地方自治確立対策委員会は、平成15年5月23日、知事会会議室において、第2回会議を開催、「三位一体の改革に関する緊急提言」等について審議・とりまとめが行われた。
 本会からは、阿部川崎市長、田中亀岡市長が出席した。
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三位一体の改革に関する緊急提言

平 成 15年 5月 23日
地方自治確立対策委員会


 地方自治確立対策委員会は、地方六団体の総意により設置され、学識経験者13名により、知事、市町村長等地方六団体関係者と意見交換をしながら真の地方分権の推進につながる三位一体の改革のあり方について審議を行っているが、現下の状況に鑑み、委員会として緊急提言を行うべきであるとの見解で一致したので、以下のとおり緊急提言を行う。

 地方分権一括法が施行され真の分権型社会の構築に向けた第一歩が踏み出されたが、地方の自立の原点と言うべき財政的自立という面では抜本的措置は採られず依然として大きな課題として残されている。

 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」にあるとおり、国と地方の関係を大胆に見直していくことは重要なことであり、三位一体の改革は積極的に推進していくべきである。
 国では三位一体の改革に関する議論が進められようとしているが我が国の危機的状況を克服するため国と地方が協調して難局に当たるべきときに、いたずらに、地方に不安感を与える方向で議論が進めれていることを深く憂慮せざるを得ない。

 地方は自ら今後の地方自治のあり方について議論し考え方を示していくべきである。何よりも自主・自立できる行財政運営を目指していく必要があり、そのためにも、住民が受益と負担の関係を明確に判断できるよう、税源移譲等による地方税財源の充実強化を行い、国庫補助負担金、交付税等国からの移転財源に過度に依存しない財政構造を確立することが必要である。
 また、地方歳出をスリム化する余地はなおあると考えられ、地方は国とのもたれ合いや横並びの構造から脱却し、政策の選択と集中、行政の効率化とコスト削減など、地方行財政改革、歳出削減をさらに徹底していくべきである。
 本委員会は、このような現下の状況に鑑み、国が三位一体の改革案を取りまとめるに当たって、以下の事項を尊重されることを強く期待し、委員の総意として提言するものである。

1 三位一体の改革に関する地方六団体の緊急決議は基本的に理解できるものであり、国においては、このような地方団体の意見を取り入れ、透明性ある議論を行い、今後、真に地方分権の推進に資する三位一体の改革案を取りまとめるべきである。

2 地方分権を徹底し国と地方が真に対等・協力の関係となるべきであり、国の地方への関与の見直し等も進めるべきである。そのためには国庫補助負担金の廃止・縮減を行うとともに、国庫補助負担金の廃止・縮減と一体で同時に税源移譲等による地方税財源の充実強化を行うべきである。

3 国と地方の役割分担を踏まえ、地方歳出と地方税収の乖離を縮小することが必要である。地方が自主・自立し受益と負担の関係を明確に判断できる真の地方分権が確立されるとともに、地方財政の危機的状況が解決されるよう、財政構造改革、国民負担のあり方の問題を併せて検討しつつ、税源移譲等による地方税財源の充実強化を図ることが重要である。

4 国が法律等により定めた基本的な行政の標準的な水準、合理的かつ妥当な行政水準を地方が維持確保していくための地方財源を保障する仕組みは今後とも不可欠である。地方財政調整制度の見直しに当たっては、三位一体の改革における税源移譲に伴う地方団体間の財政力格差の拡大への対応や、交付税への依存を抑制していくためのその総額の決定のあり方、算定の仕組み等の改革を進めるとともに、財源保障機能及び財源調整機能を適切に果たすあるべき交付税制度のあり方の検討を進めるべきである。

5 地方は徹底した行財政改革、自主的な市町村合併にさらに積極的に取り組み、分権型社会を担う責任ある行政主体として今後の地方自治の基盤を整備すべきである。

地方自治確立対策委員会委員
 

茂木友三郎 キッコーマン株式会社代表取締役社長
岡崎洋 前神奈川県知事
金澤史男 横浜国立大学経済学部長
北川正恭 早稲田大学大学院公共経営研究科教授
木村陽子 地方財政審議会委員
小西砂千夫 関西学院大学大学院経済学研究科教授
小早川光郎 東京大学大学院法学政治学研究科教授
高見澤たか子 作家
田嶋義介 島根県立大学総合政策学部教授
立松和平 作家
寺田千代乃 アートコーポレーション株式会社代表取締役社長
水城武彦 NHK解説委員
持田信樹 東京大学大学院経済学研究科教授