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「土地収用法の一部改正に関する試案について」に関する意見(平成13年1月29日)

 全国市長会は、平成13年1月29日、「土地収用法の一部改正に関する試案について」に関する意見を国土交通省に提出した。



「土地収用法の一部改正に関する試案について」に関する意見
 
平成13年 1月
全 国 市 長 会

 「土地収用法の一部改正に関する試案について」のみでは具体的な事項が明らかでないので、試案の具体化は研究会報告に沿って行われるとの前提の下に、以下の意見を提出する。
なお、改正案のより具体的な内容が明らかになった時点で追加して意見を提出する場合があることをあらかじめ了承されたい。

1.改正の目的について
 本会は、かねてから、国に対し公共事業の円滑な推進を図るため、土地収用など公正、迅速な用地確保が行なわれるよう必要な制度整備を行なう旨、要請してきたところである。従って、今回の試案において、土地物件調書作成の特例の創設等による収用手続きの合理化等を図ることとしていることについては、その基本的な趣旨に賛同するものである。

2.事業認定手続について
(1) 起業者は、事業認定の申請前に、事業の目的、内容等に関する関係権利者等への説明会を開催するよう義務付けることとしているが、「関係権利者等」の「等」の対象及び説明会の具体的な内容を明確に定めるとともに、事業認定申請前に把握することができない権利者があった場合に手続き上の暇疵が、その後問題とされることがないよう法令上必要な措置をすること。
(2) 都市計画事業については、都市計画法第70条に都市計画事業としての認可又は承認をもって土地収用法上の事業認定に代える旨規定されているが、事業説明会の開催等の試案による法改正が行われた後においても同様とされるよう措置すること。
(3) 起業者は起業地内の用地を買収する前に利害関係人等に対して、事業の目的、内容等に関する事業説明会を開催し、一定の同意を得て用地の買収を進めている場合がある。このような場合、用地取得をする前に開催された事業説明会が、今回の試案において事業認定申請前の開催を義務付けることとしている事業説明会の要件を満たすものであれば、試案による事業説明会が開催されたものとみなすことができるよう法令上必要な措置をすること。

3.収用手続きについて
(1) 法定受託事務として市町村に新たな事務を課することについては、地方分権の趣旨からも基本的に慎重な検討を要すると考えられるが、特に、今回、特例手続きの申出先を市町村長としていることについては、特例手続を開始すべきかどうかの判断責任の主体等が明確でないまま申出先を市町村長とすることは、責任の所在の明確化の観点からも適当でない。また、現行法上は縦覧等の事実行為のみを担当しているという市町村長の制度上の位置付けとの均衡からも適当でない。
(2) 申出書及び調書の縦覧期間内に土地所有者等から市町村長に異議申出書を提出することができることとしているが、異議申出書を市町村長が受理をしても、市町村長として特段の対応をすることはできず、これを起業者等に送達するにすぎないと考えられるので、異議申出書は、直接、起業者等に提出することとすること。
4.損失補償について
(1) 金銭補償だけでは生活再建に支障を来たしている事案が多いので、よりきめの細かな補償が必要であり、代替地、代替住宅、代替店舗等のあっせん等を推進することは必要であるので、これが実行しやすいよう必要な措置を講ずること。
(2) 土地収用法の補償に関する補償基準(細目)の法令化については、現在、起業者が拠りどころとしている「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱(昭和37年閣議決定)」に定める補償基準との間に齟齬が生じないよう補償基準の整合性を確保すること。