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高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案に対する意見(平成12年1月19日)

 全国市長会は、平成12年1月19日、国において検討が進められている、いわゆるバリアフリー法案に都市の考え方を反映させるため、「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案に対する意見」を運輸省に提出した。

 
高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の
促進に関する法律案に対する意見
 
平成12年1月 
全 国 市 長 会 

  高齢者、障害者等が自立して日常生活を営むことができ、あらゆる社会参加の機会が確保される、いわゆるバリアフリーな社会づくりについては、単に公共交通機関の利用に止まらず、道路等の基盤施設や公共的な施設の整備はもとよりソフト面の対策も含めた総合的な対策が必要である。地方公共団体においては、地方自治法に定める基本構想等に基づき、総合的な視野に立った取り組みを自主的かつ計画的に推進しているところである。従って、本法案の制定に当たっては、そのような地方公共団体の実情に十分留意した制度とすべきことを前提とし、下記のとおり意見及び質問を提出する。
 なお、具体的な事項が明らかになった時点で必要があればあらためて意見を提出する考えである。
 

1.法案では、国がその基本方針において、地方公共団体が講ずべき施策を定めることとしているが、既に各地方公共団体において、既存の基本構想等に基づき施策を進めているので、これと整合性をとるようにされたい。

2.「重点的に整備を推進すべき区域」の要件は何か具体的に示されたい。

3.市町村が基本構想を定めることができるとしているが、基本構想の内容が基本的な考え方を定めるものであれば、市町村の既存の基本構想等で足りるのではないかと考えられる。基本構想に定めるべき事項を具体的に明らかにされたい。

4.市町村が基本構想を定めることにより、どのような事業実施上の効果や財政上の効果が生じるのか明らかにされたい。

5.法案の仕組みにおいては、市町村は自らが定めた基本構想の実現について、公共交通事業者等の事業実施に対して直接これを担保する権限・手段を有しておらず、主務大臣への申し出が認められているだけである。この仕組みは基本構想を定めた市町村として責任をもって施策を遂行するうえで不十分であり、市町村が直接公共交通事業者等に対し事業実施を求めることができるようにする必要がある。

6.具体的な事業実施が公共交通事業者のほか、複数にわたることもあり得る道路管理者、さらには「一般交通の用に供する施設」の管理者により、それぞれ行われることになるので、これらの事業が、面的に総合的な整合性を保つこととするため、公共交通事業者や道路管理者による事業計画については、あらかじめ市町村と協議のうえ決定する等の仕組みとされたい。

7.基本構想の策定について、市町村は公共交通事業者等と協議しなければならないものとされているが、基本構想は、市町村の主体的な判断により作成すべきであり、公共交通事業者等との関係では、意見を聴く仕組みとすべきである。また、公共交通事業者等による原案作成、さらには基本構想への「十分反映努力義務」は法律に定めるべきではない。

8.公共交通事業者、道路管理者等が実施する事業に要する経費の負担区分に関する考え方を明確にされたい。仮りに市町村の負担を想定するのであれば、その支援措置の実施は市町村の自主的な判断によるものであることを明確にするとともに、これに伴う財源については、国において十分な財源措置を講ずることとされたい。