ページ内を移動するためのリンクです。

立谷会長 年頭のごあいさつ(令和6年「市政1月号より」)

令和6年 年頭のごあいさつ

310118kaicho_photo.jpg
  全国市長会会長
    
相馬市長  立谷 秀清

 共に乗り越え、成長と発展の年に

 

 令和6年を迎え、謹んで新春のごあいさつを申し上げます。会員市区長の皆さまには、全国市長会の諸活動に並々ならぬご尽力をいただいておりますことに、厚く御礼申し上げます。
 さて、昨年は、5月に新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じとなり、感染や濃厚接触となった場合の外出自粛の要請といった行動制限がなくなったことから、コロナ禍前と同様のイベントや地域行事が行われるなど、各地に少しずつかつてのにぎわいが戻ってまいりました。この間、献身的にご対応いただいた各市区長や市区の職員各位ならびに医療従事者の皆さまに改めて敬意と感謝の意を表します。
 
物価高騰対策
 昨年来、エネルギーや食料品価格などの物価高騰は、今もなお市民生活や経済活動に甚大な影響をもたらしております。このような状況の中、昨年11月に決定された『デフレ完全脱却のための総合経済対策』では、これまで全国市長会が、「国と地方の協議の場」などにおいて提案してきた内容が多数盛り込まれました。われわれ都市自治体は、この経済対策を活用し、地域の実情を踏まえた必要な対策に取り組み、物価高騰に苦しむ生活者や事業者の負担軽減を図るなど、地域経済の回復に努め、地域に活力を取り戻してまいります。
 
こども・子育て支援
 少子化は、地域の経済活動や社会保障機能の維持に支障を来すなど、日本の未来を左右する喫緊の課題です。昨年6月、国においては「こども未来戦略方針」を決定し、今後3年間で取り組む具体的政策について加速化プランとして示されました。われわれは、これまで国に、こども・子育ての基本となる施策については、地域間格差が生じることのないよう制度設計を行うとともに、安定的な地方財源を確保するよう、さらには地域の実情に応じた創意工夫が生かせるよう、自治体独自の取り組みについても、安定的な地方財源の確保を求めてまいりました。少子化対策の基本は、何よりも、こどもや若者、こどもを持つ世帯・世代が不安なく生活を営み、将来に向けたそれぞれの人生に展望が持てる社会を築くことです。今後、そのような社会の構築に向け、実効性のある展開ができるよう、全国知事会、全国町村会と共に連携しながら対応してまいります。
 
デジタルによる地方創生の深化と加速化
 われわれは、人口減少や少子高齢化に伴う公共サービスなどに関する諸課題の発生や、デジタル技術の進展、テレワークや副業・兼業の普及など新たな時代環境に直面しています。また、新型コロナウイルス感染症により、国民生活や経済活動に甚大な影響が見られ、東京一極集中のリスクの重大さが再認識されました。
 このような中、地方では、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指す「デジタル田園都市国家構想」の下、デジタル技術を活用した地域における自由な発想と創意工夫を凝らした取り組みにより、新たな時代環境に対応しているところです。今後、同構想が推進力となり、地方にとって課題である東京一極集中の是正や分散型国土の具現化につながっていくものと期待しております。
 また、われわれは、これまで積み上げてきた地方創生の取り組みをデジタルの力を活用し、より一層の深化・加速化に努めるとともに、デジタルの実装により地域社会が抱える課題の解決と魅力向上を図り、デジタル社会において誰一人取り残さないよう取り組みを進めてまいります。
 
災害に強い地域づくりに向けて
 自然災害の大型化、激甚化が進む昨今、昨年は5月の能登半島沖を震源とする地震災害のほか、5月から7月の梅雨前線豪雨による災害、9月の台風12号、13号の豪雨による災害など、全国各地で大きな災害に見舞われました。犠牲となられました方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々へお見舞いを申し上げます。
 全国市長会では、防災対策特別委員会において都市自治体間の連携による防災力の強化を進めるとともに、発災直後の急性期における被災地支援につなげるためのネットワークづくりや市区長間のホットライン、各地方の国土交通省地方整備局長と市区長間のホットラインなど、互いに力を合わせて助け合っていく体制を構築しております。
 また、近年大規模災害が頻発する中、各都市自治体においては、令和7年度までの「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」をはじめとする防災・減災の充実強化に取り組みを進めているところですが、今後も気候変動に伴う自然災害の増加を懸念しています。
 本会といたしましては、防災・減災、国土強靱化は継続的・安定的に取り組むべき課題であり、令和7年にとどまらず、新たな国土強靱化計画に基づき中長期的見通しの下、国や全国知事会、全国町村会と密接に連携しながら災害に強い国づくりを進めてまいります。
 
結びに
 本年2024年、甲辰は「成長」や「発展」の年と言われております。全国市長会は、住民に最も近い基礎自治体の市区長の英知を結集し、国も地方も一丸となって直面する課題に対応してまいります。これまでの新型コロナや物価高騰などによる苦難を乗り越え、さらなる成長と発展につながる年になるよう共に進めてまいりましょう。
 
※本稿は、令和5年末までに寄稿したものです。
 
(市政 令和6年1月号より)