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立谷会長 年頭のごあいさつ(令和5年「市政1月号より」)

令和5年 年頭のごあいさつ

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  全国市長会会長
    
相馬市長  立谷 秀清

 着実に堅実に

 

 令和5年を迎え、謹んで新春のごあいさつを申し上げます。会員市区長の皆さまには、全国市長会の諸活動に並々ならぬご尽力をいただいておりますことに、厚く御礼申し上げます。
 
対話と協調
 さて、昨年6月の第92回全国市長会議通常総会において、引き続き全国市長会会長に選任いただきました。これまでの2期4年、全国の市区長の皆さまに支えていただきながら、なんとか会長職を務めてまいりました。今後も全国市長会としての立ち位置の原点とも言える、住民に最も近い基礎自治体の市区長として、815の仲間である市区長の皆さまの英知を結集し、共に協力し合うという初心を忘れず、国に対し「対話と協調」で支援を引き出せるよう全力で取り組んでまいりますので、お力添えを賜りますようお願いいたします。
 
子ども・子育て支援
 少子化は、特に地方都市にとって、その存立を揺るがしかねない大きな課題であり、われわれ都市自治体は、地域の実情に応じて創意工夫を凝らしながら取り組んでおります。少子化対策の基本は、何よりも、子どもや若者、子どもを持つ世帯・世代が、不安なく生活を営み、将来に向けたそれぞれの人生に展望が持てる社会を築くことです。国は今後、妊婦や子育て家庭への伴走型の相談支援の充実や経済的支援をはじめ、本年4月にこども家庭庁を発足させ、関連施策を一体的に推進するとしております。子ども施策の質の向上と大幅な充実につながるよう、全国知事会、全国町村会と共に連携しながら対応してまいります。
 
新型コロナウイルス感染症対策
 国内での新型コロナウイルス感染症の初感染が確認されてから3年が経過しようとしていますが、ウイルスは変異を繰り返しながら免疫をすり抜け、現在、第8波となる感染増加に直面しております。
 ワクチン接種が有効な対策であり、相馬市内の感染者を調査したところ、ワクチンを適正回数接種された人よりも未接種者や適正回数未満の人の方が、感染するリスクが高い傾向であることが分かりました。
 新型コロナ対策に関しては、現状では基本的な感染予防対策の徹底とワクチン接種が決め手であると考えております。そのためにもわれわれは希望する住民が速やかに接種を受けられるよう体制を整えておかなければなりません。住民の生命と健康を守るため、皆さまと共に闘い続けます。
 
災害に強い地域づくりに向けて
 自然災害の大型化、激甚化が進む昨今、昨年は3月の福島県沖地震災害のほか、8月の東北・北陸地方での豪雨災害、9月の台風14号、台風15号による暴風雨などによる災害など、全国各地で大きな災害に見舞われました。犠牲となられました方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々へお見舞いを申し上げます。
 全国市長会では、防災対策特別委員会において都市自治体間の連携による防災力の強化を進めるとともに、発災直後の急性期における被災地支援につなげるためのネットワークづくりや市区長間のホットライン、各地方の国土交通省地方整備局長と市区長間のホットラインなどを構築しております。福島県沖地震災害では、私自身がこの支援の仕組みによって多くの自治体からご支援をいただき、本会が構築したお互いに力を合わせて助け合っていく体制が、いかに大切かを改めて実感いたしました。
 自然災害が頻発する中、各都市自治体においては、国が策定した国土強靱化基本計画に基づき令和7年度までの防災・減災、国土強靱化のための5カ年加速化対策により、さまざまな防災・減災対策の充実強化に取り組んでいただいておりますが、今後も気候変動に伴う自然災害の増加が懸念されております。
 本会といたしましては、防災・減災対策、国土強靱化は令和7年度にとどまらず継続的に取り組むべき課題であり、中長期的かつ明確な見通しの下、取り組みを進めていくことが重要であると考え、国や全国知事会、全国町村会と密接に連携しながら災害に強い国づくりを進めてまいります。
 
地方創生あってのデジタル化
 新型コロナウイルス感染症による国民生活や経済活動の変容、DXの進展やテレワーク・兼業といった新たな働き方など、デジタル技術の活用によって社会的な変化が生じております。都市自治体が生き残りをかけ取り組んできた東京一極集中の是正や地方活性化などの地方創生が、「デジタル田園都市国家構想」によって推進されるものと期待しております。
 われわれは、今後とも地域の個性を生かし地方の活性化を加速させつつ、デジタルの実装によって地域の社会が抱える課題の解決と一層の魅力向上を図ることはもとより、デジタル社会において誰一人取り残されないよう取り組みを進めてまいります。
 
結びに
 今年2023年、癸卯(みずのとう)は「飛躍」や「向上」の年と言われております。3年にわたるコロナ禍から脱却し、私たちの生活が大きく飛躍・向上することを期待するところでありますが、これまで低迷した生活を一変させる満塁ホームランのような施策は正直ありません。バントとヒットを重ねる様に地道な施策を着実に実行していくことが大事だと考えております。
 私たち市区長は、市区民の声に対し鳶目兎耳(えんもくとじ)となり、多くの声に耳を傾け、そして、英知を結集し国と一緒に地方のための政策を作り上げていく日本最大の政策集団たる全国市長会として、お互いに知恵を出し合い、情報交換をしながら一歩ずつ堅実かつ着実に進めてまいりたいと考えております。
 今年こそ災害のない平穏な年であることを祈念して。
 
 
(市政 令和5年1月号より)