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立谷会長 年頭のごあいさつ(令和3年「市政1月号より」)

令和3年 年頭のごあいさつ

  全国市長会会長
    
相馬市長  立谷 秀清

 皆で力を合わせて

 

 令和3年を迎え、謹んで新春のごあいさつを申し上げます。会員市区長の皆さまには、全国市長会の諸活動に絶大なご協力をいただいておりますことに、御礼を申し上げます。
 会長就任以来、『市政』1月号の年頭のごあいさつで「本年が災害のない平穏な1年となることを祈念します」と申し上げております。しかしながら、昨年は新型コロナウイルス感染症と令和2年7月豪雨がございました。新型コロナウイルス感染症もしくは、令和2年7月豪雨でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、新型コロナウイルス感染症に感染されたあるいは、豪雨により被害を受けられた方々にお見舞を申し上げます。また、これらに対応するため、日夜ご奮闘されている会員市区長の皆さまや各市区の職員各位に敬意を表します。
 
新型コロナウイルス感染症対策
 私どもは、新型コロナウイルス感染症の国内での感染が確認されて以降、皆で知恵を持ち寄りながら、地域住民の感染防止対策、医療体制の整備、経済対策など、国や都道府県からの要請やそれぞれの地域の実情に合わせながら各種対策を実施してきました。しかしながら、昨年11月以降全国的に感染者が急激に増加し、医療体制が危機的状態となっている地域もあり、予断を許さない状況です。
 これまでの知見から治療法については、発生当初に比べればある程度確立されてきたところはあるものの、感染症対策に必要となる「ワクチン」は、現在接種に向けての準備が進められている段階であり、「特効薬」はいまだに確立されていません。私どもは、感染拡大を防止するため、①「三密」の回避、②身体的な距離の確保、③こまめな手洗いの励行、④こまめな室内換気とマスクの着用、咳エチケットの励行、⑤接触確認アプリの使用、といった新しい生活様式を徹底するよう地域住民に繰り返し周知すること、さらには、医療体制の強化や地域の実情に合わせた各種対策を引き続き実施しなければなりません。また、今年から開始が予定されているワクチン接種については、希望する住民が全員漏れなく接種できるよう、綿密に準備を進めなければなりません。
 “国難”とも言える新型コロナウイルス感染症を封じ込めるためには、国や都道府県と歩調を合わせ、加えて市区町村が一体となって取り組まなければならないことから、今後とも、国や全国知事会、全国町村会と密接に連携しながら対応してまいります。
 
優しい地域社会を目指して
 「励ましの 言葉がコロナの 特効薬」。これは、熊本市にある医療法人堀尾会 熊本託麻台リハビリテーション病院が行っている感染防止対策教室を受講した、熊本市立東町中学校の3年生の生徒さんが作った標語です。
 感染防止のための適切な行動をとり、十分に気を付けていても感染してしまう場合があります。これは仕方のないことです。しかし、新型コロナウイルス感染症に感染した方やその家族の方などへの誹謗中傷が相次いでおり、人々は感染することよりも、感染して非難されることを恐れるようになっています。
 また、誹謗中傷の被害を受けている人は感染された方やその家族の方だけではありません。感染者を受け入れた医療機関、そこに勤務する医師や看護師等の職員とそのご家族、感染者が確認された福祉施設、そこに勤務する職員とそのご家族も被害を受けています。これでは、地域医療や福祉を維持することが極めて困難となります。
 地域住民が、新型コロナウイルス感染症を「正しく恐れ、賢く避け」、さらに、先述した生徒さんの標語のように、不幸にして感染してしまった方を皆で励ますような優しい地域社会を構築するためには、正しい情報を伝えることが必要です。国民に適切でわかりやすく情報を提供するよう、今後とも国に求めていきます。
 
力を合わせて
 昨年は新型コロナウイルス感染症対策に大きな力を注がざるを得ない状況であったものの、会員市区長の皆さまには、さまざまな課題の解消に向け、地元選出の国会議員をはじめ、関係機関に強い働きかけを行っていただきました。そのおかげで、喫緊の課題の一つである、国土強靭化対策や子どもたちの教育環境の充実に大きな前進をみることができました。
 国土強靭化対策として、事業期間が来年度から5年間、事業規模が15兆円の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が昨年末に閣議決定されました。
 また、教育環境の充実では、子どもたち一人ひとりに応じたきめ細やかな指導を行うため国に実施を求めてきた少人数教育について、来年度から5年間かけて公立小学校の全学年で35人学級が実現することとなり、さらに、GIGAスクールについても前倒しで進められることとなりました。
 会長就任以降、「基礎自治体は地方政府として住民に最も身近な行政機関であり、住民の生命はもとより生活の安全や健康を守るべき存在である。この国の行政において、一番の責任を負っているのが私ども地方政府の長であると言っても過言ではない。全国市長会は、その地方政府の長たちの英知を結集し、国と一緒に地方のための政策を作り上げていく日本最大の政策集団である」と度々申し上げてきました。今年も新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、基礎自治体が直面する課題に立ち向かっていかなければなりません。日本最大の政策集団である私ども全国市長会の力が求められています。皆で力を合わせて前進してまいりましょう。
 
 
(市政 令和3年1月号より)