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全国市長会 会長 立谷秀清(相馬市長)就任挨拶

 全国市長会 会長
  相馬市長 立谷 秀清

ONE TEAM 全国市長会

 去る6月3日に開催された第90回全国市長会議で、引き続き会長に選任いただきました。これまでの2年間、全国の市区長の皆さまそして、荒木事務総長はじめ事務局職員の皆さまに支えていただきながら、なんとか会長職を務めてまいりました。支えていただいた皆さまに感謝を申し上げますとともに、これからもお力添えを賜りますようお願いいたします。
 

新型コロナウイルスとの戦い
 今まさに、国難とも言える新型コロナウイルス感染症の問題。このウイルスによりお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今この時も全国各地で闘病されている皆さまにお見舞いを申し上げます。また、不眠不休で患者の治療に従事されている医療関係者の皆さまに心から感謝をいたします。さらに、感染拡大に胸を痛め、悩みながら最善の策を模索している全国の市区長と職員皆さまの御労苦にねぎらいを申し上げます。
 新型コロナウイルスの国内での感染が確認されて以降、私ども市区長は皆で知恵を持ち寄りながら、地域住民の感染防止対策、地域医療の崩壊を防ぐための医療体制の構築、国から要請された小・中学校の一斉休業への対応、感染拡大に伴い疲弊した地域経済対策など、矢継ぎ早に対応しております。全国市長会が総力を挙げて、この未知なるウイルスと地上戦を展開している状況です。
 現時点では、1日当たりの感染者数も大幅に減少し、緊急事態宣言が解除され都道府県をまたぐ移動も全面的にできるようになり、小康状態を保っています。しかしながら、新型コロナウイルスに対抗する上で最大の武器となる「ワクチン」と「特効薬」が確立されておらず、この戦いは長期戦となることが見込まれます。ここで重要なことは新型コロナウイルスを過度に恐れるのではなく、「正しく恐れる」ことです。手洗いの励行、身体的距離の確保、密集、密接、密閉の「三密」の回避などの「新しい生活様式」を徹底すること、第2波に備え医療体制を整えておくこと、地域経済の再生に向けての取り組みなど、私どもはこれまで同様、常在戦場の意識を忘れず、一寸たりとも隙を見せず、皆で知恵を出し合いながら新型コロナウイルスと戦ってまいりましょう。
 

次の災害に備えて
 年の年初めに、「今年こそは災害のない、穏やかな一年になるように」と強く願うのですが、ここ数年、毎年大規模な災害が発生し、尊い人命が失われ、多くの方々が被災され、地域が大きく傷ついています。
 これまで本会の「防災対策特別委員会」を中心に災害対策について検討を重ね、対策を講じてきました。急性期における緊急連絡網の構築、各地方整備局長と市区長が直接電話連絡する体制整備、日本弁護士連合会やジャパン・プラットフォームとの協定締結と、ソフト面の備えは進んできました。しかしながら、今後も気候変動に伴う集中豪雨の増加や、首都直下型地震や南海トラフ地震などの大規模災害の発生が懸念されている現状を踏まえると、現在国が進めている「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を令和3年度以降も継続し、国土強靭化を強力かつ継続的に進める必要があります。災害はいつ、どこで発生するか予想がつかないことから、その対策は焦眉の急です。これからも、国に対し強く要請してまいりますので、会員各位のご理解とご協力をお願いいたします。
 

主張すべきは主張する
 学校の休業が続いたことをきっかけに、9月入学・始業についての議論が活発化しました。小・中学校の設置者である私ども市区長の意見を集約したところ、回答の8割が慎重あるいは反対との意見でありました。拙速に導入すれば社会的に大きな影響や混乱が生じるだけでなく、教育現場に大きな負担を強いることが予想されたため、慎重な対応をするよう国や与党のヒアリングにおいて強く申し入れしたところ、この度の導入は見送られることとなりました。
 令和元年10月から始まった幼児教育・保育の無償化については、その制度設計や財源について、実務を担当する私ども基礎自治体からさまざまな提案を行ったことで、非常に短い準備期間であったにもかかわらず、おおむね円滑に実施されています。 
 新たな制度の導入や大きな変更をする場合には、地域住民と直接向き合っている私ども基礎自治体と議論を重ねて進めなければ混乱を生じます。今後とも国に対しては、基礎自治体の現場感や意見をしっかりと主張してまいります。
 

日本最大の政策集団として
 さて、2年前も申し上げましたが、私ども基礎自治体は地方政府として住民に最も身近な行政機関であり、住民の生命はもとより生活の安全や健康を守るべき存在であります。この国の行政において、1番の責任を持っているのが、私ども地方政府の長であると言っても過言ではありません。そしてこの全国市長会は、その地方政府の長たちの英知を結集し、国と一緒になって地方のための政策を作り上げていく日本最大の政策集団であり、社会を動かす大きな力を持っています。
 これまで同様、皆さまのお力をお借りしながら、共通の目標である“住民福祉の向上”に向け職責を果たしてまいる所存であります。どうぞよろしくお願いいたします。


(市政  2020年7月号より)