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松浦会長 年頭のごあいさつ(平成30年「市政1月号より」)

平成30年 年頭のごあいさつ

  全国市長会会長
    
防府市長  松浦 正人

 初心忘ることなく未来へ紡ぐ

 

  謹んで新春のお慶びを申し上げますとともに、全国市長会の諸活動に御協力いただいておりますことに感謝申し上げます。
 
  はじめに、東日本大震災や熊本地震、九州北部豪雨など各種大規模災害に直面し、その復旧・復興に御尽力されている皆さまに敬意を表しますとともに一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。また、それぞれの自治体において、被災地に向けて職員派遣などの可能な限りの御支援をいただいておりますことに感謝申し上げます。被災地では、引き続いての支援を必要としておられますので実情をご賢察いただき、特段のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 
  さて、昨年、第4次安倍内閣が発足し、「人づくり革命」と「生産性革命」を目指した「新しい経済政策パッケージ」が決定され、少子・高齢化という最大の壁に立ち向かうこととされておりますが、我が国が直面するこのような課題に対しましては、国と地方が連携・協力しあって効果的な施策を強力に展開していく必要があると考えています。常々私が申していることですが、〝国を一本の大木とするならば、我々基礎自治体はその大木を支える一本、一本の根である〟という意識を持って、しっかり取り組んでいくことが重要ではないでしょうか。
  また、国と地方の協議の場等を通じ、平成30年度予算に関しまして、具体的には「地方交付税など地方一般財源総額の確保」、「消費税率10%への確実な引上げと、新しい政策パッケージの策定に当たっての地方との十分な協議」、「償却資産に係る固定資産税やゴルフ場利用税の現行制度堅持」、「介護保険、国民健康保険の安定財源の確保」などについて、また、地方創生、地方分権改革に関して「地方が提案している改善事項の実現」と「所有者不明土地の利活用を可能にする法整備」について、都市の行財政を預かる現場の立場から提言をいたしました。
  中でも、地方の基金残高の増加を理由に、地方歳出を抑制すべきとの議論については、断じて容認できないということを全国の市区長の皆さまと一緒に強く主張した結果、国においても、地方の実情を理解され、大きな成果を得られたものと認識しております。
  また、喫緊の課題である少子化対策として、昨年11月に「全国市長会子ども・子育てフォーラム」を開催し、現場を預かる市長と国との意見交換を行い、それを踏まえた「子どもたちのための緊急決議」をまとめ、直ちに正副会長から、菅官房長官にお渡ししたところであり、このことは12月14日に開催された「国と地方の協議の場」においても再度要請した次第です。
 
  本年は「明治150年」、「全国市長会120周年」を迎える節目の年となります。我が国は、明治維新を契機として、近代国家への第一歩を踏み出し、憲法の制定、議会の設置など立憲政治の導入・確立、国際化への対応、技術革新と産業化の推進、教育の充実などの取組みを進め、今の日本国の基本的な形を築き上げてきました。この、明治以降の歩みを次世代に遺すことや、明治の精神に学び日本の強みを再認識することは大変重要なことであるという認識のもと、政府一体となって関連施策が進められています。我々基礎自治体としましても、改めて明治期を振り返り将来につなげていくことは意義のあることであると考えます。明治以降の日本の歩みを未来に遺すことによって、次世代を担う若者にこれからの時代を考えてもらう契機とするために、各自治体においても取組みが進められることを期待します。
 
  全国市長会につきましては、明治となってからわずか30年後の明治31年に、現在の全国市長会の発祥となる関西各市聯合協議会が立ち上がり、各自治体に共通する事項等について共同で協議、研究する体制が整いました。
  以降、名称変更や組織の拡大を経て、「全国市長会」となり、今年120年の大節を迎えました。最近では、平成23年4月に「国と地方の協議の場に関する法律」が成立し、地方自治に影響を及ぼす国の政策の企画・立案及び実施について国と地方が協議する制度が創設され、全国市長会もその構成メンバーとなっています。国と地方の役割分担や地方行財政制度等にかかわる政策課題に対し、住民に最も身近な行政体であり、住民生活に直結した行政サービスを実施している都市自治体の代表として、我々の意見が反映されるよう積極的に発言を続けてまいりましたし、これからも続けてまいります。
  このような節目の年でありますので、私も、初心である“日々が任期”の想いを改めて確認し、全国市長会の今後の更なる発展に繋がるよう全力を尽くしてまいりたいと存じます。
 
  結びになりますが、全国814市区長の皆さまには、お盆も正月も土、日、祝日もなく、早朝から深夜まで日々さまざまな市区政用務に取り組まれておられる中、その御心労は計り知れないものがあると存じ、重大な職責を果たしておられる皆さまに改めて敬意を表しますとともに〝自らの身体は自らが守る〟という、人としての初心も常に心がけていただきたいと切望しております。
  「全国市長会を構成する814の都市自治体が結束すれば、大きな力となる。」ということを心に据えて、本年が災害のない一年でありますことを祈り、皆さまの御健勝を心から念じ上げ、ごあいさつといたします。
 

(市政 平成30年1月号より)