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森会長 年頭のごあいさつ(平成28年「市政1月号より」)

平成28年 年頭のごあいさつ 

 全国市長会 会長  
 長岡市長  森    民  夫

地域の課題を乗り越えさらなる飛躍の年に

 

  年頭にあたりまして、謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 
  全国市長会の運営および諸活動につきまして、旧年中に賜りましたご支援、ご協力に深く感謝申し上げます。
  また、昨年6月の全国市長会議におきまして、皆さま方からのご信任を賜り、引き続き会長職を担わせていただくこととなりました。皆さま方からいただきましたご期待にお応えすべく、その職責を全うしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
 
  さて、昨年は、安倍内閣により「地方創生元年」と位置付けられ、皆さまにおかれましても、地方版総合戦略の策定や地域それぞれの創意工夫を生かした施策に日夜取り組まれるなど、地域の活性化のために邁進された一年であったのではないでしょうか。
  本会におきましても、地方創生の背景にあります、人口減少、少子化問題について、少子化対策・子育て支援に関する研究会において精力的に研究を重ね、昨年の総会において「少子化対策・子育て支援に関する特別提言」を取りまとめました。昨年の11月に、政府が「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施するべき対策」を決定し、夢をつむぐ子育て支援の基本的な考え方を示されたことは、本会の特別提言と軌を一にするものであり、その実現に大いに期待しているところであります。
  また、地方創生に関する新たな交付金制度の創設が明年度の政府予算(案)に盛り込まれるとともに、地方分権改革におきましても、われわれが強く求めてきた農地転用許可に係る権限が、都道府県のみでなく指定市町村にも移譲されることとなるなど、われわれの主張が着実に実を結んできているところであります。農地制度の改革等は、われわれの長年の悲願が実現したわけでありますので、できるだけ早期に指定市町村に指定されるよう積極的に取り組む必要があると考えております。
  国と地方の協議の場をはじめ、総理と市町村長との懇談会などさまざまな場面で政府と対話を続ける中で私が感じていることがあります。それは、基礎自治体と政府との距離が近づいてきているということであります。以前は都道府県中心であった国の対応が、政府との交渉を続けるにつれ、確実に基礎自治体を重視する対応へと変化してきています。
  第三次安倍改造内閣では、「新・三本の矢」の実現を目的とする「一億総活躍社会」を目指すとされていますが、「地方創生の実現なくして一億総活躍社会なし」であります。今後のわが国の未来は、地方の肩に、特に基礎自治体の肩にかかっているといっても過言ではないと考えております。
  一方、明年度の税制改正については、皆さま方に積極的な要請活動を展開していただくなど会を挙げて活動した結果、車体課税の見直しでは代替財源として市町村に対する新たな交付金が創設されるとともに、ゴルフ場利用税では現行制度が堅持されることとなりましたが、固定資産税においては、償却資産の一部に時限措置とはいえ軽減措置が講じられることとなりました。固定資産税は都市財政を支える基幹税でありますことから、このような措置が継続されるようなことはあってはなりません。この措置が今回限りのものとなるよう、また、増加する都市自治体の財政需要に的確に対応していくために必要な税財源の充実強化に向け、引き続き各方面に対して強力に働きかけてまいる所存であります。
 
  ご案内のとおり、東日本大震災が発生してから、5年が経過しようとしています。被災した地域におかれては、これまでも懸命の努力が続けられていますが、今なお被災自治体では種々の課題に直面しています。集中復興期間の終了後も、地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興に向けた取組を着実に進展させていかなければなりません。
本会といたしましても、政府に対して復興財源の確保や、制度の柔軟な運用等を求めていくとともに、引き続き全国からの都市職員の被災自治体への派遣を行ってまいりますので、皆さまのご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 
  以上のように、都市自治体の役割は、これまでにも増して重要となってきており、これに伴って本会の果たす役割も増加の一途をたどっております。昨年の会長選挙立候補に際してお約束しましたように、政府に対してしっかりと提案等を行っていけるよう、本会の組織体制の強化を進めてまいります。
 
  これらのほかにも、いよいよ本格運用が開始される社会保障・税番号制度への対応や、防災・減災対策の充実強化、持続可能で安定的な社会保障制度の構築、2020東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた取り組みなど、課題が山積しています。今後においても、困難な課題が生じてくることは想像に難くありません。しかし、市長に課される重責が日々増加していくということは、裏を返せばわれわれに対する期待の表れであると言え、さらなる飛躍に向けたチャンスでもあります。
  本年が都市自治体にとってさらなる飛躍の年となるよう、引き続き皆さまからのご支援、ご協力を賜りながら、市長同士の連帯・連携を重んじながら、職務に邁進してまいりたいと存じます。
結びに、全国各都市のますますのご繁栄とご発展を祈念申し上げまして、新年のごあいさつといたします。
 

(市政 平成28年1月号より)