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全国市長会 会長 森 民夫(長岡市長)就任挨拶

会長就任あいさつ 

 全国市長会 会長  
 長岡市長  森    民  夫

競争しながら連携し
地方から一丸となって日本の創生を

 
 第85回全国市長会議におきまして、全国市長会会長にご選任いただき、身に余る光栄と存じます。都市自治のさらなる発展のため、これまで以上に全力を尽くす覚悟ですので、何とぞお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
 われわれ都市自治体は、住民に一番近いところにある行政体として、日々の住民生活をしっかり支えていく責任があります。これは、非常に身が引き締まり緊張を感じると同時に、住民から直接選ばれた市区長の誇りでもあります。
 都市自治体が創意工夫をいかんなく発揮し、その責任を果たしていくためには、市区長が団結し、積極的に提言していかなければなりません。現場を熟知するわれわれ市区長が一丸となって、地方の再生、そしてその先にある日本の再生を担っていきましょう。

経験を生かし役割分担で地方創生を推進
 安倍政権は、本年度を地方創生元年と位置付け、人口減少の克服と地方創生の実現を国として総力を挙げて取り組む強い決意を示しました。
 都市自治体に寄せられる期待は大きく、責任は重大ですが、言うまでもなくわれわれはかねてから主体的に地域の実情に応じた少子化対策や地域活性化の施策を実施しており、現場の経験が涵養されています。
 その実績が、昨年8月から1年弱設置した「少子化対策・子育て支援に関する研究会」における議論の成果として表れています。特別提言では、国に対して少子化対策のための骨太の指針の策定を求めるとともに、子ども医療費の無償化等の経済的負担の軽減について、ナショナルミニマムとして国が責任を果たすことなどを求めていますが、都市自治体が担うべき役割と責任についても決意しました。
 今後、多くの都市自治体ではそれぞれ「地方版総合戦略」を策定し、独自の施策を展開することと思います。美しい音が重なることでさらに豊潤な響きを生み出す和音のように、都市自治体が競争して切磋琢磨しつつも、同様の現場や課題を共有する仲間として連携し、個性を理解しながら調和していくことが、ますます求められることでしょう。

提案し責任を果たす地方分権へ
 地方分権改革に関しては、昨年から地方の発意に根差した新たな取り組みとして、地方分権改革に関する「提案募集方式」が導入され、6月には26年度に募集された提案を基にした第5次一括法が成立しました。法令改正を含めた提案ができるダイナミックな仕組みが整えられ、住民と直に接する都市自治体による住民ニーズを汲み取った提案が期待されています。
 また、長年の懸案であった農地転用権限の地方公共団体への移譲も実現する運びとなりました。昨年8月に地方六団体として取りまとめた提言において、地方も国とともに農地を守る責任を果たす覚悟を示したことに対して、国は権限を移譲することで応えました。地方に寄せられる期待に対して、われわれ都市自治体もしっかり応えていくことによって、国と地方の関係が強化されていくものと信じています。

国に訴えるべきことは堂々と主張
 現在、政府では2020年度の財政健全化目標の達成に向けた計画の策定が進められています。この議論の中で、地方財政の歳出改革を進めるべきとの意見がありますが、これまで地方は、独自の給与カットや職員数の削減などに努め、国以上に行財政改革に積極的に取り組んできました。このことはわれわれ市区長が一番実感していることであり、単純な地方歳出の削減は行うべきではないとしっかり主張しなければなりません。
 また、年末の国の予算編成に向けて、新型交付金の創設や地方財政計画の「まち・ひと・しごと創生事業費」の拡充に関して議論が高まりつつありますが、都市自治体が地域の実情に応じて創意工夫を発揮することができるように、自由度の高い財源が大きく確保されるよう強く働きかける決意です。

さまざまな課題に一丸となって対応を
 東日本大震災から4年が経過しました。今も被災自治体は復旧・復興に懸命に取り組んでおり、同じ自治体として心から応援したいと思います。また、全国の都市自治体から積極的に職員を派遣していただき、お礼を申し上げるとともに、今後も被災自治体に対する支援をお願いいたします。
 まだまだ都市自治体には課題が山積しています。社会保障関係費の自然増に関しては、国保の財政基盤強化と都道府県を保険者とする広域化が実現し、構造的問題が解消したことは大きな前進ですが、持続可能な社会保障制度の構築が急務であることに変わりはなく、税制との関係も含めて注視すべき問題です。また、頻発する災害への対応や、マイナンバー制度への信頼の確保についても、対応していかなければなりません。
 現場で汗をかき現場を熟知するわれわれが、一丸となって英知を結集させ積極的に提案・提言を行い、政策集団としての役割を果たそうではありませんか。813の市区長が競い合いながらも連携し団結して、地方の再生、ひいては日本再生の実現を図っていきましょう。皆さまのご支援ご協力を重ねてお願い申し上げます。
 結びに、全国各都市のますますのご繁栄とご発展を祈念申し上げまして、就任のごあいさつといたします。

(市政  平成27年7月号より)