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第28代全国市長会 会長 森民夫(長岡市長)就任挨拶(機関誌「市政」平成23年7月号より)

 

会長就任挨拶

 

 
第28代 全国市長会 会長
(平成23年6月8日就任
長岡市長   森   民 夫
 
 

 第81回全国市長会議におきまして、全国市長会会長にご選任いただき、身に余る光栄と存じます。日本の再生は地方の再生からと言われている今、都市自治のさらなる発展のため、これまで以上に全力を尽くしますので、何とぞよろしくお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
 また、東日本大震災におきまして、不慮にして亡くなられた方々に深甚なる哀悼の意を表するとともに、被災された住民の方々に対して心からお見舞い申し上げます。
 さて、先の市長会議では、市長の皆さまが持つ、市民のために全力でまちづくりに取り組む力強いパワーを肌で感じました。そして全国809の力を一致団結すれば、日本を大きく改革できる強い力になることを改めて確信したところです。
 私は、東日本大震災の発生以後、被災地の声を災害復旧・復興に反映させようと、地元市長の方々と電話で直接連絡を取り合ってきました。その時の会話で感じたことは、厳しい現実に直面しつつも、眼下の問題から逃げず、日を追うごとに頼もしく復旧・復興に取り組み続ける皆さのお姿でした。そして市長という職務の厳しさと尊さを実感させられました。
 ご自身やご家族が被災しながらも、被災者の生命と生活を守るため日夜奮闘努力する市長をはじめ、職員の方々に対して深い敬意を表するとともに、災害という一刻の猶予も許されない中、基礎自治体は本当に住民のために働くことも痛感いたしました。
 一方、全国の市長の皆さまについては、行革に次ぐ行革という厳しい行政運営を断行されるなか、震災直後から被災自治体への職員派遣や避難物資など多大なるご支援をいただいています。総務省、全国町村会と連携した職員派遣では、全国から被災地の要望をはるかに上回る2600人超の派遣申し出があり、現在1000人以上の職員が現地で懸命に頑張っています。
 全国の都市が仲間の都市を助ける、そういう力強い意志を示されたことに心から感謝し、都市同士が持つ強い「絆」を誇りに思う次第であります。今後は、中期・長期の職員派遣をお願いすることになりますが、引き続き、被災地の一日も早い復興のため、全国一丸となったご支援をお願い申し上げます。
 また、今回の巨大地震は、今まで経験したことのない原子力災害を引き起こしました。国は一刻も早い事態の収束に全力で取り組むことは勿論、避難者対策、被ばく対策、風評被害対策、そして避難者を受け入れている自治体への対策についても、国の責任による全面的な支援が行われるよう本会は強く要請していきます。さらに、原子力発電所等の安全確保や防災強化など市民の安全に関する重要な問題も同様に取り組んでまいります。
 さる6月25日、東日本大震災復興構想会議は菅内閣総理大臣に「復興への提言~悲惨のなかの希望~」を答申しました。今後は、この提言により本格的な復旧・復興がスタートします。
 提言は、現場を預かる基礎自治体を中心とした復旧・復興に、国と都道府県が全面的に支援するという地域主体・現場主義を基本方針としています。その理由は明確で、構想会議の各委員が、住民の声を直接聞き、最前線で対策にあたる基礎自治体の重要性、役割の大きさを認識していたからです。私も検討部会の専門委員として、復興に向けた地域のパワーをいかに導き出すかを第一に考え、復興特区や復興基金の創設を提案いたしました。
 被災自治体が、地域の実情に応じて取り組む地域主導型の復旧・復興は、本格的な地方分権時代を築く試金石になると確信しています。
 また、大震災以外の問題に目を転じますと、6月13日、本会の長年の悲願であった「国と地方の協議の場」の第一回会合が開かれ、「社会保障と税の一体改革」と「東日本大震災復興対策」について協議しました。
 社会保障と税の一体改革については、政府の改革原案が、地方単独の社会保障事業を評価せず、地方を軽視し、社会保障のパートナーとしない内容だったため地方の声を強く主張したところ、地方重視の内容に修正することや分科会を設置して消費税収配分について協議する案が示されました。このように法制化された協議の場に対しては、国が地方の要望を"聞き置く"従来の形から、地方の声を国の政策に反映する場に一歩前進したものと考え、さらに地方と国が協働して政策を立案する真の場となるよう、協議を積み重ね進化するよう取り組む所存であります。
 このほか基礎自治体を取り巻く課題は、子育て施策や一括交付金、公務員制度改革など多種多様なものが山積しています。これらの課題についても、課題解決に向け、全国の市長同士が幅広く連携を図り、一丸となって積極的に提案・提言を行い、政策集団としての役割を果たしていかなければなりません。繰り返しになりますが、全国の市長が一致団結すれば、怖いものはありません。日本再生のため基礎自治体の力が必要とされている今、皆さまのご支援ご協力を重ねてお願い申し上げる次第であります。
 結びに、全国各都市のますますのご繁栄、ご発展を祈念申し上げまして、就任のごあいさつといたします。

( 市政 平成23年7月号より )