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真の三位一体改革の推進に関する緊急決議(平成16年4月14日)

全国市長会は、平成16年4月14日に開催した理事会において、「真の三位一体改革の推進に関する緊急決議」を決定し、関係方面に要望しました。


 

真の三位一体改革の推進に関する緊急決議


 都市自治体の財政は危機的な状況にある。
 我々は、人件費の抑制、経費の節減、事務事業の見直しなど徹底した行財政改革により歳出の削減に努めるとともに、地域の様々な課題に的確に対応し、住民生活に不可欠なサービスを確保するため懸命の努力をしてきた。
 全国市長会としては、この危機を乗り越え、税源移譲により地方税財政基盤の確立を図り、真の分権型社会を実現するため、「税源移譲と国庫補助負担金の廃止・縮減に関する緊急提言」を都市の総意としてとりまとめるなど、分権の理念に即した三位一体改革が早期に実現されるよう積極的に対処し、また、期待もしてきた。
 三位一体改革の初年度である平成16年度政府予算は、暫定措置ではあるが、基幹税である所得税の一部が所得譲与税として移譲され、本格的な税源移譲に向け一歩前進を見たが、約1兆円の国庫補助負担金の廃止・縮減額のうち税源移譲に結びつかないものが過半を占めているなど課題も多い。特に、補助金の見直しや税源移譲が不十分な中で、地方交付税等を大幅に削減するという突出した見直しが行われたことは、地方分権を推進するという三位一体改革の目的にもとるばかりか、都市の行財政運営に致命的な打撃を与えるものである。各都市の平成16年度予算編成は、従来にも増しての更なる行財政改革への努力と最後の財源ともいうべき基金の取崩しによって、ようやく危機を凌げたところであるが、来年度以降もこのような地方交付税の削減が続けば、住民の生活を守るという都市自治体の責任を果たすことが極めて困難となることは必至である。
 よって、国は三位一体改革の原点に立ち返り、国の財政再建を優先して地方に負担を押し付けるのではなく、真の地方分権を推進することを基本として、下記事項を実現するよう強く要請する。


1 国から地方への税源移譲は、地方分権を支えるために不可欠なものであり、地方の歳出規模と地方税収入の乖離を縮小するという観点に立ち、基幹税による税源移譲を実施し、税収が安定的で、かつ、税源の偏在性が少ない地方税体系を構築することが必要である。そのため、当面、国税対地方税の割合、1対1の実現を目指し、暫定的な措置ではなく、所得税から個人住民税、消費税から地方消費税への税源移譲を本格的に、直ちに実現すること。

2 国庫補助負担金については、生活保護をはじめ国による統一的な措置が必要なもの等、一部を除き原則廃止すること。その際、同時に基幹税による税源移譲を確実に行うとともに、国の法令等による基準を弾力化するなど国の関与を廃止・縮小し、都市自治体の自由度の拡大が図られるようにすること。

3 今回、公共事業関係の国庫補助負担金や奨励的補助金等の削減については、国が一方的に事業量の減によるものであるなどとして、その全額が税源移譲の対象とされていないが、引き続き地方が実施しなければならない事業もあり、こうした措置は、実質上国の財政再建の地方への負担転嫁であることから、確実に税源移譲すること。
 また、平成16年度予算編成に当たって、生活保護費負担金等の負担割合の引下げが提案されたが、このような補助率の引下げや補助対象の縮減など、一方的な地方への負担転嫁はあってはならないこと。

4 地方交付税については、国の財政再建を優先した一方的な総額の削減を前提とした見直しを行うのではなく、現に地方公共団体が実施している医療、福祉、教育など住民生活に不可欠な行政サービスの実態を的確に捉え、地方財政計画にこれを反映させ、必要な地方交付税総額を確保すること。その際、地方の財源不足額については、交付税率の引上げを含め、都市財政運営に支障が生ずることのないよう、万全の措置を講ずること。
 また、税源移譲に伴って地方公共団体間の財政力格差の拡大が予想されるため、税源の乏しい団体でも適切な行政運営が確保できるよう、地方交付税の機能を強化すること。
 

5 今後、都市自治体の行財政運営に大きな混乱を招かないためにも、三位一体改革の全体像を明らかにするとともに、年度別内容・規模などの工程表を早急に提示すること。その際は、都市自治体の意向を十分反映すること。
 

6 地方一般財源の大幅な減額に伴い、地域再生事業債の新設や財政健全化債の弾力的運用などの措置が講じられたところであるが、平成16年度における各都市自治体の財政運営に支障が生じないよう、個々の実情に即した措置をとること。

 以上決議する。

 平成16年4月14日

全 国 市 長 会