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(中心市街地の活性化対策に関する意見)E市 人口29万人

(中心市街地の活性化対策に関する意見)事例5 E市 人口29万人
 

 
1 中心市街地の現状について
 本市の中心市街地である駅周辺地域は、これまで長らく交通、商業、業務、行政の中心として発展してきた。しかし、近年、核家族化、モータリゼーション等の進行により、比較的地価の低廉な郊外部において大規模な宅地供給が行われて、人口の重心の移 動を招くとともに、これが中心市街地の商店街を支える購買層の減少となった。また、大店法等の規制緩和を背景に、大規模駐車場を備えたショッピングセンターが郊外に進出し、これがさらに中心市街地の商店街の経営を圧迫することになった。

さらに、バブル経済の影響下において、地方都市としてはかなり大がかりな土地の買い占めや地上げが行われたため、大規模な 空き地の発生や地価の高騰を招くこととなり、これが中心市街地の土地の有効高度利用を阻害するものともなった。

 このような経緯の中で、中心市街地における定住人口の減少、人口の高齢化、店舗数の減少が進行しており、中心市街地の衰退・空洞化は深刻な様相を呈している。

 このような状況は、全国の多くの地方都市に共通して見られる 現象となっていることから、平成8年12月25日に建設省の助力を得る中で、同様な状況にある全国の18都市(函館市、青森市、八戸市、遠野市、山形市、酒田市、高岡市、上越市、横手市、福井市、上田市、安城市、加西市、宇部市、坂出市、佐賀市、日向市、益田市)が集まって、「地方都市中心市街地問題研究会」を発足した。

 この研究会では、「地方都市の中心市街地について、新しい総合的視点からの街づくりを目指すため、都市生活を支える生活拠点としての再活性化の推進方策等の検討を行う」ことを目的として、情報交換、課題の研究などを通じ、現状の打開に向けて方策を探っている。


2 中心市街地活性化施策の概要について
 こうした状況の中で、本市では、中心市街地の再活性化・再構築、都市機能の更新を図るため、次のような各種施策に取り組んでいるところである。

 (1) 駅前地区については、平成7年11月に整備事務局を新設し、土地区画整理事業等を導入して、再整備を進めるべく現在、関係機関との協議、調整に当たっているところである。
   整備に当たっては、地区の活性化を促し、業務拠点としての新たな役割を果たすため、港湾整備事業との連携を図り、都市計画道路と駅前広場とが一体となった総合交通拠点の形成を図り、駅前地区を圏域の交通結節ゾーンの要衝として整備するほか、地区の拠点施設として、高次の業務機能の立地の呼び水となる情報、教育文化系の施設の配置も検討している。

 (2) 駅前地区に近接する低層の老朽化した密集街区(約4.0ha)については、商業、業務系の施設に加え、高齢社会に対応したケアハウスなどの公益施設等の導入も検討しながら、市民と観光客との交流の場としてバランスのとれた複合的空間の形成を目指すため、平成8年度に街区高度利用土地区画整理事業の調査補助を受け、これまでに地区概況、現地踏査、関係権利者の意向調査、地区整備課題の基礎調査を実施し、事業化に向けた取り組みを進めている。

 (3) 平成9年度には、次の2地区において街区高度利用土地区画整理事業の調査補助を受けて基礎調査を実施している。
  ① 「住宅マスタープラン」の中で都心周辺型住宅地区として住環境整備方針が示された区域の一部(約6.5ha)で、都心の利便性を享受できる周辺環境に適した住宅等を供給し、再活性化の促進を図る地区。
  ② 駅前地区から南に約1.0kmに位置する大正から昭和初期にかけて東京以北最大の商店街として繁栄した区域の一部(約2.2ha)で、地区周辺の歴史的町並みが保存されている地域やウォーターフロントゾーンを訪れる観光客や市民の地区商店街への回遊性を促す観光結節ゾーンとして、周辺環境に適した公共公益施設の導入を含めた整備を図る地区。
  なお、既成市街地における定住人口の回復、低未利用地の有効活用および住環境整備等の諸課題に総合的に取り組むため、平成9年4月に機構改革を行い、街づくり推進課を新設したところである。
 

3 中心市街地活性化施策実施上の問題点について
 (1) 事業(区画整理事業等)サイドからの問題点
  ① 中心市街地においては、大規模建築物や密集街区が多いことから、区画整理事業に係る移転補償費が事業費の大部分を占め、これが、市費の大きな負担を招くこととなる。

  ② 土地および建物の権利関係が輻榛して存するため、事業化へ向けての関係権利者の合意形成が難しく、調整に長時間を要する。

  ③ 小規模な宅地が多いため、土地区画整理事業を行う場合には、土地の減歩を課すことが困難であり、土地所有者の経済的負担も大きい。

 (2) 一般的な問題点
  ① 中心市街地における居住形態,営業形態等に係る広汎な社会的ニ-ズを的確に把握して対応する必要がある。また、来たるべき高齢社会に対応して中心市街地への福祉施設の導入は、重要なことであるが、現在、社会福祉法人に対する国の補助制度は、再開発建築物に福祉施設を導入する場合を想定していないことから、円滑な事業推進のためには、補助制度の見直し・拡充が必要である。

  ② 地域商店街等の中心市街地再活性化に対する取組み意識が低調であり、総じて行政に依存する体質が支配的なことから、地元の意識の啓発、高揚を根強く図って行く必要がある。

  ③ 本市においては、既成市街地周辺の郊外部における宅地造成、分譲が進行しており、市街地の膨脹に伴なって新たな公共投資が求められている。今後は、市街地の膨脹を抑制し、既成市街地のインフラを十分活用するため、都市の人口規模等に応じた集約的な市街地の形成に向けて、土地利用を検討する必要がある。 




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