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「農地改革プラン」について(申し入れ)(全国市長会)(平成21年1月20日)

全国市長会では、農林水産省から情報提供のあった「農地改革プラン」について、1月20日、別添のとおり、農林水産省に対して申し入れを行いました。
「農地改革プラン」について(申し入れ)のpdfファイルはこちら
 
発 行 第 11 号
平成21年1月19日
農林水産大臣 石破 茂 殿
 
全国市長会行政委員会          
委員長 新見市長 石垣 正夫
 
「農地改革プラン」について(申し入れ)
 
 貴省におかれては、平成20年12月3日にまとめられた「農地改革プラン」(以下「プラン」という。)を具体化するため、所要の関連法律案を今通常国会に提出することとされている。
 プランで指摘されているとおり、国内の食料供給力の強化、食料自給率の向上を目指すことが喫緊の課題であることは、これまで本会も主張してきたところであるが、この課題については、国、都道府県、市町村が相互信頼の下に地域の実情を踏まえながら協力し合って取り組まなければならないものである。
 しかしながら、このプランにおいて、地方公共団体に対する新たな関与等を創設することは、地方分権の推進に逆行するとともに、都市自治体がこれまで地域の特性と実情に応じて農業振興に懸命に取り組んでいることからしても遺憾であり、全国市長会として下記のとおり意見を申し入れものである。
 

1.2ヘクタール以下の転用許可事務に関する国の指示
 全国市長会では、「農地転用許可基準を地域の実情に応じた対応が可能となるよう枠組化し、農地転用権限を市に移譲したうえで市の自治事務とするとともに、これに係る国・都道府県との協議、同意を廃止して報告とし、都道府県農業会議への諮問の義務付けも廃止」するよう求めている。しかるに都道府県知事の2ヘクタール以下の転用許可権限についての見直しをしないのみならず、新たに「国の指示」を設けることとしている。これは、都市自治体の意見に逆行するものであるとともに、地方自治法に基づく条例による事務処理特例制度により都道府県から2ヘクタール以下の農地転用許可権限の移譲を受けている都市自治体に対しては、国による直接の新たな関与の創設となるものであり、反対である。
 なお、地方分権改革推進委員会の第1次勧告では、「都道府県の許可権限(権利移動及び2ha以下の転用)を市に移譲する。」とされたところであり、地方分権改革推進要綱(第1次)においても、「第1次勧告の方向により検討を行う。」とされているところから、この第1次勧告に沿って見直しをされたい。

 
2.農用地区域からの除外の厳格化及び農用地区域内農地の確保に向けた国の指示等
 全国市長会では、「農用地利用計画に係る都道府県知事の同意を要する協議を廃止する」よう求めており、また、全国知事会においては、「市町村が農業振興地域整備計画を定めるときの都道府県知事への協議・同意の義務付けの廃止」を求めているところである。しかるに現行の協議・同意手続きは見直しをしないのみならず、国が地方の裁量権を狭めるような基準を設けるとともに、農用地区域への農地の編入促進など都道府県に対する国の指示を新たに設けることは、農用地利用計画を定める都市自治体に対する国からの新たな関与となるものであり、反対である。

 
3.農地転用許可対象の拡大
 現在、農地転用許可が不要となっている病院、学校等の公共施設の設置について、新たに農地転用規制の対象とすることとしている。これは、都市自治体が農業振興と調和を図りながら主体的に行ってきた計画的・総合的なまちづくり、公共施設の整備等に新たに制約を課すものであり、反対である。

 
4.農地情報の共有化及び耕作放棄地の計画的な解消
 農地を確保し有効利用を図っていくためにも耕作放棄地の計画的な解消は極めて重要であるが、都市自治体に対し、新たな義務付けや新たな財政負担とならないようにされたい。