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基礎自治体の果たしている役割を踏まえた社会保障と税の一体改革に関する決議

第81回全国市長会議 決議

 

 

 


基礎自治体の果たしている役割を踏まえた

社会保障と税の一体改革に関する決議

 

 政府においては、昨年12月に「社会保障改革の推進について」を閣議決定し、改革に係る基本方針を明らかにした後、社会保障改革に関する集中検討会議において議論を進めてきた。本年5月には同会議において厚生労働省案として「社会保障制度改革の方向性と具体策」が提示され、6月末までに社会保障と税の一体改革の成案を得ることとしている。

 ところで、基礎自治体は、年金以外の医療、介護、子ども・子育て、生活保護、障がい者福祉等の社会保障サービス全般を担い、ケースワーカー等の人材を配置して、それぞれの住民のライフステージと状況に応じて、継続的・包括的な対人サービスを提供している。

 また、地域と住民を熟知する人材を通じて国の補助事業としての社会保障施策を実施するとともに、地方単独事業として地域と住民のニーズに応じたきめ細かな福祉・医療施策を展開することによって、我が国の社会保障制度において大きな役割を果たしている。

 特に、保育サービスをはじめとする子ども・子育て支援、乳幼児医療、妊婦健診、インフルエンザなどの予防接種等、基礎自治体が様々な分野で展開している地方単独事業は、制度化された国の補助事業と有機的に連携して、個々の住民のライフステージに応じた対人サービスを適時適切に提供することを目指しており、全体としての社会保障サービスの充実に寄与するものである。

 したがって、今回予定している社会保障制度改革においては、こうした実態を踏まえ、年金、医療及び介護の「高齢者三事業」のみならず、すべてのライフステージを対象として継続的かつ包括的に社会保障サービスを充実することを目標とすべきである。

 本会は、本年4月、基礎自治体の立場から「社会保障の課題と改革の方向」を取りまとめ、集中検討会議に提出した。

 その中で、①危機的状況に瀕している国保制度については、制度の構造的問題に対処し、安定的かつ持続的運営が可能な制度とするべく、すべての国民を対象とする医療保険制度の一本化を実現するまでの間、国の責任を明確にしたうえで、都道府県を運営主体とし、市町村との適切な役割分担のもと、国保制度の再編・統合を行うこと、②子ども・子育て支援策については、全国一律の現金給付である子ども手当と保育サービスをはじめとする子育て関係経費(現物給付)とのバランスに十分配慮する必要があること、③生活保護制度については、雇用、住宅、医療・福祉等の施策と密接な連携を図るとともに、自立就労支援策を充実する必要があること、④住民の様々な状況を把握し、積極的に手を差し伸べて相談に乗り、必要なケアを手配する総合案内所的な「社会保障の総合プラットホーム・ワンストップサービス」を、地域と住民を熟知している基礎自治体が担うべきであること等を提言している。

 以上の観点から、社会保障制度改革を断行するにあたっては、基礎自治体が地方単独事業も含めて社会保障サービスを持続的に提供できるようにするため、安定的な財源の確保は不可欠である。そのため、地方消費税の拡充など税源の偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系を構築するとともに、当該財政需要を的確に地方財政計画に積み上げ、必要な一般財源総額を確保することにより、都市税財源の充実強化を図るよう、強く要請する。

 併せて、社会保障と税の一体改革に当たっては、基礎自治体が社会保障の最前線において果たしている中心的な役割を踏まえたうえで、「国と地方の協議の場」等において真摯な協議を行い、地方の意見を最大限尊重するよう、強く要請する。

 

 以上決議する。

 平成23年6月8日

全 国 市 長 会