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原子力発電所事故に対する国の責任ある対応を求める緊急決議

理事会決定(H23.4.6)

 

 

原子力発電所事故に対する国の責任ある
対応を求める緊急決議

 東北地方太平洋沖地震とそれに伴う想定外の大津波に襲われた東京電力福島第一発電所においては、非常用のディーゼル発電機などの電源が失われたため冷却機能を失い、燃料棒の露出や水素爆発を起こし、放射性物質を放出する事態となっている。消防や自衛隊等は懸命に注水作業を続けているが、こうした努力にもかかわらず、この危機的状況は一向に収まる気配を見せず、全世界が固唾をのんで事態の成り行きを注視している。
 こうした事態を受け、原子力災害対策特別措置法制定後、初めて原子力緊急事態宣言が発せられ、避難指示・屋内退避指示や自主避難要請等により、県外への避難や町を挙げての避難も行われているが、事態収束の目途も立たず、避難の長期化も予想されるなど、先行き不透明な中で地元は混乱を極めている。
 また、放出された放射性物質により農畜水産物の出荷が制限され、水道水が汚染されるなど、発電所立地地域を越えて広域的な被害をもたらすとともに、汚染水の海への放出は漁業への影響が懸念されている。
 さらには計画停電等により首都圏をはじめ各地の社会経済活動にも甚大な影響を与えるなど、その及ぼす影響は大きな広がりを見せている。
 そもそも原子力発電は国がその安全性を保障して立地自治体の協力を得ながら推進してきた国の政策であり、その防災対策についても国が全面的な責任を負うべきである。
 よって、国においては、一刻の猶予も許されない危機管理として、下記事項について国の全面的な責任と財政負担により、万全の措置を講じるよう強く要請する。

 

 

1 緊急事態の早期収束
 国は責任を持ってあらゆる手段を講じ、一刻も早い事態の収束に全力で取り組むこと。

2 迅速・正確な情報公開・伝達
 住民や国民の安全確保と不安解消の観点から、原子力発電所の事故に関する情報や避難情報等を、迅速、正確かつ分かりやすく公開・伝達するとともに、住民や国民がとるべき行動や防護措置を含め、その周知徹底を図ること。

3 万全の被ばく対策
  避難者のスクリーニングや除染の実施とともに、実効的な被ばく医療体制の確立を図るなど、適切な医療措置を講じること。併せて大気、土壌、海水等の環境モニタリングを充実するなど、観測体制に万全を期すこと。

4 迅速かつ適切な避難対策の確立
 ? 避難指示等に起因する避難先を広域的に確保し、生活物資等の供給に万全を期すとともに、長期化も予想される避難に対する休業補償や雇用対策等必要な措置を国の責任により講じること。

 ? 避難指示・屋内退避指示や自主避難の要請がなされているが、国の避難に関する情報伝達が曖昧であり、特に自主避難の要請は地域住民に難しい判断を委ねることとなったため、住民の不安と混乱に拍車をかける事態ともなっていることに鑑み、国は科学的根拠に基づき明確で、住民や国民が容易に判断できる避難等の行動指針を早急に示すこと。

5 放射性物質に起因する農畜水産物被害等に対する完全な補償
 原子力発電所の事故により放出された放射性物質による影響は、農畜水産物をはじめ飲料水、土壌等にも及んできているが、その測定情報及びその及ぼす影響等について、迅速かつ正確に周知徹底を図るとともに、食品衛生法上の出荷制限をされた農畜水産物はもとより、その影響により被害を被る農畜水産物等の生産者や事業者等に対して、国は完全な補償を行うこと。
 なお、暫定規制値の基準見直しやその解除基準の明確化を早急に図ること。

6 風評被害対策の徹底
 根拠のない連鎖的な風評被害が生じないよう正確な情報とわかりやすい説明の広報を迅速に行うとともに、風評被害に伴う損失について国は完全な補償をすること。

7 原子力発電所事故被災自治体及び支援を行う自治体に対する国による全面的な支援体制の確立
 ? 避難指示・屋内退避指示や自主避難の要請に関連する自治体においては、県外への広域的な避難も余儀なくされ、また、役場機能を移転する自治体もあるなど、先行き不透明な中で地元は混乱を極めている。よって、行政機能の補完も含め、物的・人的支援を国の全面的な責任と財政負担で行うこと。

 ? 避難を余儀なくされた住民を受け入れるなどの支援をしている自治体に対して、全面的な財政支援措置を国の責任で講じること。

8 徹底した再発防止対策
 今回の事態の徹底的な原因究明を行い、原子力関係施設に対する安全審査基準や防災指針等の見直し等安全の徹底を図ること。

 

 平成23年4月6日

全 国 市 長 会