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都市税財源の充実強化に関する決議

理事・評議員合同会議決定(H22.11.18)

 

 

都市税財源の充実強化に関する決議

 円高・デフレにより景気は未だ足踏み状態にあり、失業率が高水準にあるなど雇用情勢の悪化が今なお懸念されており、地域の経済をとりまく環境は依然として深刻な状況にある。政府は、「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」及び「円高・デフレ対応のための緊急経済対策」を相次いで決定し、経済の歯車である雇用を増強し、需要を回復することにより、経済を活性化していくこととしている。その中で、地域の目線に立った支援の拡充、社会資本の整備のため、新たな交付金の創設や地方交付税の増額等が盛り込まれており、それら施策が地域で活かせるよう平成22年度補正予算案の一刻も早い成立が求められている。
 都市自治体としても、低迷する地域経済の振興、雇用の創出に向けて懸命の努力をしており、加えて、少子高齢化に対応した福祉・医療サービスなど多くの課題にも対処していかなくてはならず、今後ともこれら行政サービスを持続的に実施していくためには、安定的な税財源の確保が不可欠である。
 政府においては「地域主権改革の推進」を重要政策課題の一つとして掲げているところであり、衆参ねじれ国会のなかで、国民・住民生活の安定と地域活性化を第一に、地方の意見を踏まえつつ、与野党が十分協議を行い、都市自治体が責任をもって自立した行財政運営ができるよう、特に地方交付税の本質を見失うことなく、地域住民の生活を守るために必要な地方交付税総額の復元・増額を継続し、地方が担う事務と責任に見合う税源移譲を含めた税源配分など、都市税財源の充実強化向けて、下記事項を実現するよう強く要請する。

 

 

1.地方交付税の復元・増額の継続と法定率の引上げ

 (1)平成23年度の地方交付税については、三位一体の改革等で大幅に削減された地方交付税総額の復元・増額を継続し、財源調整・財源保障機能を回復・強化すること。

 (2)地方交付税の法定率の引上げ等により恒常的な地方交付税の財源不足の解消を図るとともに、地方自治体の固有財源である「地方交付税」を特会直入とする「地方共有税」を創設すること。

 (3)都市自治体が直面している福祉、医療、子育て等社会保障、教育・安全などの経常的行政サービスの増大や道路・橋梁、学校等の改修費用の増大など真に必要な財政需要を的確に地方財政 計画に盛り込み、都市自治体の避けられない財政需要の増嵩を適切に地方交付税の需要額に反映させること。

2.地方税財源の充実強化

 (1)地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、当面、税源移譲による国・地方の税源配分「5:5」の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること。

 (2)福祉・医療・教育・消防など市民生活に直結する行政サービスを提供している総合行政主体としての都市自治体の財政需要の急増と多様化に対応するため、税源の偏在が少なく税収が安定している普通税としての地方消費税を拡充すること。

 (3)環境関連税制の導入に当たっては、環境施策において都市自治体の果たしている役割及び財政負担を十分勘案し、その役割等に応じた税財源を確保する仕組みとすること。また、石油石炭税の引上げにより地球温暖化対策のための税を創設する場合には、税収の一定割合を地方税財源として必ず確保すること。
 さらに、自動車関係諸税の見直しに当たり、現行の自動車重量税と自動車税・軽自動車税とを一本化する場合には、地球温暖化対策の観点や極めて厳しい地方財政の状況を踏まえ、現行の自動車重量税(自動車重量譲与税を含む)総額は確保したうえで、地方税とすること。また、配分に当たっては、都市自治体の環境施策において果たしている役割等に鑑み、各都市の財政運営に支障が生じないよう、必要総額は必ず確保できるよう制度設計を行うこと。

 (4)国の施策として法人実効税率の引下げを行う場合は、地方にとって減収となることがないよう国の責任において確実に措置すること。
 また、法人税は地方固有の財源である地方交付税の原資であることから、法人税率の引下げを行う場合には、他税目を含めた法定率の引上げ等により、地方交付税の総額を確保すること。

 (5)ゴルフ場利用税については、ゴルフ場所在地におけるゴルフ場関連の財政需要に要する貴重な財源であることから、現行制度を堅持すること。

3.地方の自由度を高める国庫補助金等の改革

 国庫補助金等の一括交付金化に当たっては、地方の自由裁量拡大に寄与しない義務的な国庫補助金等は対象とせず、必要とする事業の執行に支障が生じないよう、総額については現行の補助金等総額を縮減することなく確保し、配分については継続事業や団体間・年度間の事業費の変動等に配慮すること。また、具体的な制度設計については、地方交付税制度との整合性にも留意して、国と地方の協議の場で十分協議し、地方との合意形成を最優先すること。

 

 以上決議する。

 平成22年11月18日

全 国 市 長 会