ページ内を移動するためのリンクです。

都市税源の充実強化等に関する要望

全国市長会の主張  -要望- H19.11


都市税源の充実強化等に関する要望

        

 都市の自主財源の根幹である都市税源を充実させるため、国は、次の事項の早期実現のため適切な措置を講じられたい。

1.地方分権をより一層推進し、地方自治体の自立的かつ効率的な行財政運営を可能とする地方税中心の歳入構造を構築するためには、第二期地方分権改革の中で、国と地方の役割分担を抜本的に見直し、その役割に見合うよう、国・地方間の税源配分を是正することが必要である。
 ついては、国税と地方税の税源配分が当面5対5となるよう国税からの税源移譲により地方税の充実を図ること。また、消費税等の地域偏在性の少ない基幹税を中心とする地方税体系を構築するとともに、地域間の税収偏在の是正を目指すこと。 

2.個人住民税は、地域社会の費用を住民が広くその能力に応じ負担する税であり、基礎的行政サービスを安定的に支えていくうえで極めて重要な税であることを踏まえ、次の措置を講じること。

(1)市町村が担うべき基礎的行政サービスを安定的に供給するため、個人住民税の市町村への配分を充実させること。
(2)個人住民税均等割については、これまでの1人当たりの国民所得や地方歳出等の伸びを勘案すると低い水準にとどまっているため、その税率を引き上げること。
(3)個人住民税における生命保険料控除等については、本来住民税の性格になじまないことから、廃止を含めた見直しを行うとともに、新たな政策的控除は原則として行わないこと。
 また、配偶者控除等の人的控除についても課税の公平・中立・簡素等の観点から見直しを行うこと。
(4)個人住民税の現年課税方式を検討すること。
(5)個人住民税の公的年金からの特別徴収については、平成21年度導入に向け、都市の意見を反映させながら、検討を進めること。 
 また、これに伴う都市自治体のシステム開発等の財政的負担に対しては、十分な財政措置を講じること。
(6)平成19年度に実施された税源移譲に伴い設けられた個人住民税 における住宅借入金等特別控除や年度間の所得変動に係る経過措置については、国・都道府県・市町村の協力体制を強化し、周知徹底を図ること。
 また、年度間の所得変動に係る経過措置により生じる平成19年度の個人住民税に係る歳出還付額については全額国費で補てんすること。

3.法人住民税の充実確保については、次の措置を講じること。

(1)法人所得課税については、都市行政との関わりの大きさ、都市税源としての重要性等を考慮し、法人住民税としての市町村への配分を充実すること。
(2)法人住民税均等割の税率を引き上げること。
(3)日本銀行については、国庫納付金が所得の算定上損金に算入されているため、国庫納付金の多寡によって法人住民税の税収に大幅な変動を来たすなどの問題があるので、安定した税収入を確保できるよう、これらについて抜本的な見直しを行うこと。

4.固定資産税は、地方税の大宗をなしている重要な基幹税目であり、基礎的行政サービスを支えていることから、その安定的確保を図るため、次の措置を講じること。

(1)償却資産については、資産の保有と市町村の行政サービスとの受益の関係に着目して課税されるものであり、事業の用に供している限り一定の価値が存することから、現行の評価方法を堅持すること。
(2)商業地等にかかる固定資産税の負担水準は、現行の上限70%は堅持すること。 
(3)固定資産税等の徴収について、法定納期限等以前に設定された抵当権の優先の規定等により、徴収努力のみでは、非常に困難な事例が多く存在するため、関連する制度の改善を図ること。
(4)家屋の評価方法は複雑であり、その事務量が膨大になっていることから、家屋評価方法の簡素化・合理化を図ること。

5.定額課税の税率については、相当期間にわたり税率が据え置かれていることから、税負担の均衡等を勘案し、次の措置を講じること。

(1)軽自動車税の標準税率について、自動車税との負担の均衡を考慮し、その税率格差を是正するため、標準税率を見直すこと。
 特に原動機付自転車については、貴重な地方の税収であるにもかかわらず、徴税効率が極めて低水準にとどまっていることから、標準税率、課税方法、課税対象等の課税制度の抜本的な見直しを図ること。
(2)特別とん税については、港湾施設の整備に要する費用の増大等にかんがみ、税率を引き上げること。

6.ゴルフ場利用税については、ゴルフ場所在都市におけるゴルフ場関連の財政需要に要する貴重な財源であることから、現行制度を堅持すること。

7.事業所税は、都市環境の整備及び改善に充てる貴重な財源であるため、昭和61年度以降据え置かれている資産割の税率の見直し等、その充実を図ること。

8.空港関係市町村における航空機騒音対策事業、周辺整備事業等に要する経費が多額であることから、航空機燃料税の税率を引き上げるとともに、市町村に対する配分を充実すること。

9.地方税における非課税措置、課税標準の特例措置の特別措置については、税負担の公平確保の見地からより一層の整理合理化を図ること。
  特に、固定資産税の非課税措置、課税標準の特例措置については、抜本的に是正措置を講じること。
  また、地方税収を確保するため、国税における租税特別措置についても見直しを行うこと。


10.政令指定都市等の税制上の措置については、次の措置を講じること。


(1)政令指定都市については、国・道府県道の管理その他の事務配分の特例が設けられ、これらの事務を行なっているにも関わらず、所要額が税制上措置されていない状況にあり、地方分権改革のより一層の推進のためにも、事務配分に見合った税制上の特例措置を講じること。
 また、中核市及び特例市についても、事務配分の特例等に見合った税制上の特例措置を設けること。
(2)市立小・中学校等の教職員に係る給与費負担の政令指定都市等への移管に当たっては、学級編制や教職員定数、教職員配置等の包括的な権限を移譲するとともに、所要全額について道府県からの税源移譲により措置をすること。

11.温暖化対策税制(いわゆる環境税制)の導入に当たっては、 環境施策において地方自治体の果たしている役割及び財政負担を十分勘案し、地方税としての導入、国税収入の一部を地方自治体の財源とする等適切な措置を講じること。

12. 課税・徴収体制等の改善については、次の措置を講じること


(1)地方税の電子申告システムについては、市町村への普及及び安定的運営により、納税者の利便性の向上が図られることが重要である。このため、地方自治体共同のシステム構築及び費用等について、引き続き国及び都道府県の協力体制を維持すること。
(2)国税庁所管の確定申告、配当・報酬等の資料一覧及び社会保険庁等から提供される公的年金支払報告書については、紙による一覧表で提供されたものを基に、市町村において改めて電算入力を行っている。また、法務省所管の商業登記情報については、閲覧による情報収集を行う等、その処理に多大な労力と費用を費やしている。課税事務の効率化のため、これらのデータ提供については、電磁的記録媒体により行うこと。
(3)還付加算金の利率については、社会経済情勢を反映した利率に見合うよう見直しを行うこと。
(4)徴収事務については、民間事業者への委託の拡充を含め、さらなる合理化・効率化が図られるよう、必要な措置を講じること。
 また、国・都道府県をはじめ関係団体との税務運営上の協力体制を充実すること。
(5)割賦販売で自動車を購入する場合、当該販売代金を完済し、所有権移転登録を行わなければならないにもかかわらず、租税滞納者が、所有権移転登録を怠っている場合には、差押登録ができないため、道路運送車両法第13条の移転登録を徹底すること。
 また、移転登録が徹底されず、移転登録に租税滞納者の協力が得られない場合には、租税債権者による代位登録ができるように法的整備を図ること。

 以上要望する。