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農業の振興に関する要望

全国市長会の主張  -要望- H20.6



農業の振興に関する要望

 

 農業の持続的発展と長期的な安定を図るため、国は、地域の事情を勘案しつつ、次の事項について積極的な措置を講じられたい。

1.米政策の推進について

(1)米価の下落を阻止するため、政府備蓄米の備蓄水準を引き上げるなど抜本的な対策を講じること。
 また、米価下落時に大きな影響を受ける農家の経営安定を図るため、無利子の緊急資金貸付制度等の支援策を講じること。
(2)生産調整目標達成のため、生産調整の取組みとして扱う米穀に醸造用玄米を含めること。
 また、転作農産物の生産に係る技術指導を行うこと。
(3)産地づくり交付金については、生産調整の拡大に応じた交付金総額とすること。
(4)一般農家を対象とした稲作構造改革促進交付金については、制度を拡充し、平成22年度以降も継続すること。

2.水田・畑作経営所得安定対策について

(1)水田・畑作経営所得安定対策の推進に当たっては、多様な形態の農家が取組むことができるよう、加入要件の緩和を図ること。
 また、集落営農組織等への支援強化を図ること。
(2)対象品目については、地域の実情に応じた農作物を加えることができるよう、要件の緩和を図ること。
(3)収入減少影響緩和対策及び生産条件不利補正対策については、加入者メリットが図られるよう、算定基準の見直しを行うこと。

3. 原油価格高騰対策について

(1)農林水産業用燃油の安定供給及び価格の安定を図ること。
(2)施設園芸等農家の経営の健全化を図るため、省エネルギー型農業機械等緊急整備対策を継続するとともに資金の融通等の財政措置を講じること。
(3) 省エネルギーや代替エネルギー導入に対する支援の充実強化を図ること。

4. 食料自給率向上対策について

(1)学校給食等による食育の推進を通じ、米をはじめとした農産物の消費拡大を図るなど関係者が一体となった取組みを推進すること。
(2)食料自給率の向上のため、地産地消の推進に必要な財政措置を講じること。

5.食料・農業・農村基本計画に基づく農地の効率的利用と利用率向上に向けた取り組みを着実に推進すること。

6.農業振興地域の指定に係る専門的知識・技術を市が備えている場合は、都道府県から市へ指定の権限を移譲すること。
 また、農用地区域の指定・変更に当たっては、都道府県の同意を不要とするよう必要な措置を講じること。
さらに、土地開発公社が行う農地転用について、その許可の範囲を拡大すること。

7.生産緑地法に基づく生産緑地の買取り申し出に対して柔軟な対応が可能となるよう特例措置を追加するとともに、同申し出に対応するための措置を講じること。
 また、市民農園等に相続が発生した場合には、相続税納税猶予など税制上の優遇措置を講じること。

8.遊休農地等を解消し農地の集積を図るため、任意営農組織においても農用地の利用権の設定等が可能となるよう、農業経営基盤強化促進法の改正を図ること。

9.農業の持続的発展に必要な土地改良事業を円滑に推進するため、土地改良事業に係る償還金軽減対策の拡充や土地改良施設維持管理適正化事業の採択基準の引き下げなど、必要な措置を講じること。

10.将来的な農地利用計画等に支障を来すことがないよう、携帯電話中継基地局を農地内に設置しようとする事業者に対し、農業委員会等との事前協議を義務付けること。

11.農地・水・環境保全向上対策を強力に推進するため、農用地区域以外の農地の対象化や地方財政措置の充実を図ること。

12.湖沼、河川の水質浄化対策の強化と事業効率の向上に向けて農業集落排水事業を効率的・効果的に推進するため、農業集落排水施設を下水道へ接続させる場合における財政支援制度を創設すること。   
 また、地域再生法に基づく汚水処理施設整備交付金の交付対象要件を緩和すること。
 さらに、農業上及び地域防災上の観点から、「ため池」の整備・改修等に係る財政支援措置を強化すること。

13.中山間地域等直接支払制度については、平成22年度以降も継続するとともに、更なる拡充を図ること。
 また、過疎化や高齢化が進行している「水源の里」(いわゆる限界集落)における農業、林業、畜産業等の振興及び集落の活性化が図られるよう、積極的な財政措置を講じること。

14.畜産・酪農経営安定対策について

(1) 配合飼料価格安定基金制度については、基金への農家負担の軽減のため、財政支援措置を講じること。
 また、継続的な経営安定のため、抜本的な対策を講じること。
(2)国産飼料の増産を図るため、耕畜連携水田活用対策事業の助成対象者要件の緩和や財政措置の拡充を図るとともに、耕作放棄地への飼料作付けに対する財政措置を講じること。
(3)農家の飼料購入に対し財政措置を講じること。
 また、飼料生産を担う受託組織の育成に対し支援を図ること。

15. 家畜排せつ物処理施設の整備のため、平成21年度以降も必要な財政措置を講じること。

16.牛海綿状脳症(BSE)対策については、発生防止策並びに安全確保を継続すること。
 また、自治体が実施する20カ月齢以下の牛を対象としたBSEスクリーニング検査の費用については、平成20年8月以降も財政措置を講じること。

17. 野生鳥獣による農林作物の被害が激増しているため、駆除・防除対策の調査研究を行うとともに、防除に必要な技術支援や駆除・防除等に係る必要な財政措置を拡充すること。

18. 輸入食品や食肉の安全確保を図るため、検疫体制の強化に取組むこと。
 また、外食産業や加工食品の原産地表示を義務化するとともに、トレーサビリティシステム導入への技術支援や食品加工技術の強化・充実を図ること。

19.農産物価格については、生産コスト上昇分が販売価格に反映されるよう、消費者等の理解醸成のための情報提供を行うとともに、価格安定対策を講じること。

20.担い手・新たな就農者を確保するため、技術指導、経営資金融資、農地の集積など経営安定に資する事業の充実を図ること。

21.強い農業づくり交付金事業(集落営農育成・確保緊急整備支援)の採択条件は、新規・既存組織ともに同一とするよう見直しを行うこと。
 また、強い農業づくり交付金事業については、平成22年度以降も継続すること。

22.WTO農業交渉及びFTA農業交渉に当たっては、非貿易的関心事項への配慮など、日本提案の実現を目指す従来の基本方針を堅持するとともに、上限関税設定の導入の阻止、重要品目の数の十分な確保など適切な国境措置を確保すること。

23.日豪EPA・FTA交渉に当たっては、米、麦、牛肉、乳製品、砂糖など我が国の重要品目である農産物について、関税撤廃の対象から除外または再協議の対象となるよう粘り強く交渉すること。