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都市税財源の充実確保に関する決議

理事・評議員合同会議決定(h13.11.15)



都市税財源の充実確保に関する決議

 地方財政は、長引く景気低迷による税収の停滞や国の景気対策による公共事業の実施等によって巨額の財源不足が連続する状態にあり、今年度は赤字地方債を発行するにまで至っている。まさに構造的な危機状況である。
 都市自治体は、このような状況の下、国民健康保険や介護保険の運営、廃棄物・リサイクル対策、都市基盤施設の整備、災害に強い安全なまちづくりなど住民生活に直結する数々の行政需要に対処するため、自らの行政改革を重ねるとともに、自主的な財源の確保に努めているが、主要な自主財源である地方税、地方交付税を国が決定するという現行の仕組みの下では自ずと限界があり、各都市自治体の努力だけでは、このような状況を打開することは困難である。
 明年度の地方財政の姿は未だ明らかではないが、最近の経済情勢では、税収の一層の落ち込みが懸念され、また、仮に本年度程度の財源不足額であっても、いわゆる赤字地方債が倍増する予定という状況の下で、一段と厳しさを増すことが予想される。
 政府においては、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」において、地方財政計画の歳出の徹底した見直しや地方交付税における事業費補正等の見直しを行うこととし、その具体化を進めつつあるが、都市自治体としては、地方分権の一層の進展の下で、山積する行政需要にどのように対処することができるのか、また、将来にわたり、いかにして財政の健全性を回復することができるのかなど、大きな不安を抱いている。
 全国市長会は、これまでも国から地方への税源移譲や地方交付税所要総額の確保等を要請してきたが、住民の付託に応え、都市自治体がその責任を十分に果たしていくためには、都市自治行政の実態に見合った安定的な税財源の確保が是非とも必要である。
 よって、国においては、このような状況を十分認識し、下記事項について適切な措置を講じられるよう強く要請する。


1.  「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」において、政府は「税源移譲を含め国と地方の税源配分について根本から見直しそのあり方を検討する」としているところであり、地方分権の進展に伴う都市自治体の役割の高まりを視野に入れつつ、地方の歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、所得税から個人住民税への、また、消費税から地方消費税への税源移譲等を含む抜本的な税制改正を早期に進め、都市税源の充実強化を図ること。

2.  法定5税分の地方交付税が著しく不足する状態が続いているため、地方交付税特別会計の借入れは既に膨大となり、いわゆる赤字地方債を発行する事態となっているので、地方交付税率の引上げ等により、地方交付税の所要総額を安定的に確保すること。
  また、地方交付税制度の見直しに当たっては、激変緩和等所要の経過措置を講じるなど、財政運営に支障を来たさないよう措置するとともに、各都市の地方交付税の算定に当たっては、その実情を的確に反映させること。

3.  ゴルフ場利用税、特別土地保有税及び事業所税については、それぞれ都市にとって貴重な財源であることから、現行制度の堅持はもとより、その充実強化を図ること。

4.  地方債資金については、長期・低利の良質な公的資金の安定的確保を図ること。特に、政府保証制度を活用した公営企業金融公庫による資金供給は引き続き確保すること。
  なお、政府系資金の繰上償還については、これまでも一部措置されているが、それらの見直しを含めた弾力的措置を講ずることなどにより、公債費負担を軽減し、財政の健全性の確保を図ること。
 
以上決議する。
  平成13年11月15日

全 国 市 長 会