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医療保険制度改革に関する決議

理事・評議員合同会議決定(h13.11.15)



医療保険制度改革に関する決議

 国民健康保険は、急速な少子高齢化の進展、産業構造の変化などにより、制度発足当初に比べ無職者、高齢者等の被保険者が著しく増加している。そのため、他の保険制度と比べて、給付が低いのみでなく、保険料負担が重くなっている。被保険者、いいかえれば国民の間における医療保険制度間の不公平はもはや放置すべきではない状況になっていると思われる。また、国保財政の運営は、極めて困難となっており、本来保険料と国庫負担金により運営されるのが原則であるが、市町村がやむを得ず行っている一般会計からの多額の繰入れによって、ようやく運営されているのが実態である。しかし、地方財政は益々厳しさを増しており、一般会計からの繰入れはもはや限界である。
 このため、本会をはじめとする国保関係者は、社会経済情勢の変化に即応しつつ、国民の間で給付と負担の公平を図り、安定した国民皆保険制度を維持していくために、すべての国民を通ずる医療保険制度への一本化を主張してきたが、今回の「改革試案」においては、これが具体化していない。きわめて遺憾である。
 ついては、「改革試案」に対し下記の意見を提出するので、国においては、これに沿って速やかに再検討し、これを実現するよう強く要請する。



1.これまで主張しているように、将来にわたり、給付と負担の公平を図り、安定した保険運営のもとで国民医療を確保するためには、医療保険制度を一本化すべきであり、直ちにこれを実施することが困難であれば、当面の措置として保険財政を一本化すべきである。すみやかな一本化の実現に向けて早急に具体的な検討を開始することを国の方針として明確にすること。

2.老人保健制度の対象年齢を70歳以上から75歳以上へ引上げることは、医療保険各制度間の財政調整を狭めるものであり、「一本化」に逆行するものである。また、70歳から74歳までの被保険者をそれぞれの医療保険で抱えることになれば、国保の運営をさらに一層困難にすることが強く懸念されるが、財政面への具体的な影響は何ら明らかにされていない。このようなことから、対象年齢の引上げ については、到底このまま容認できないこと。

3.国民健康保険財政の悪化には、制度の分立により、国保が他と比べて、高齢者、無職者、低所得者の保険としての性格が著しく強くなっているという基本的な問題がある。このことを踏まえ、当面、国保財政の財政基盤を強化し、健全化を図るため、国の責任と負担のもとに十分な実効性のある措置を講じること。

4.老人医療費拠出金の算定について老人加入率の上限撤廃、退職者医療制度による負担の見直しの案が示されているが、国保運営の困難な現状にかんがみ、これらは、老人保健制度の対象年齢の引上げには係わりなく実施すること。

5.将来にわたり安定的に国民医療を確保するため、老人医療費のみでなく、健康対策強化も含め、医療費全体の伸びを抑え、適正化を図るための具体的な措置を講じること。

  以上決議する。
   平成13年11月15日
全 国 市 長 会