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都市税財源の充実確保に関する決議

第71回全国市長会議 決議



都市税財源の充実確保に関する決議


 地方財政は、連続する巨額の財源不足により、まさに構造的な危機状態にある。このような時に「地方交付税の削減」が論議されるのは、地方財政の実態からはもとより、地方行財政の仕組みからも理解できず、到底容認できない。
 最近の財政悪化については、歳入面では景気低迷による税収の停滞に加え、景気対策としての減税が実施されたこと、歳出面では、教育、福祉等各分野にわたる新たな事務があるほか、景気対策としての公共事業等の実施、財源不足を賄うための地方債の増発による公債費負担の増加が特別の要因となっている。
 このような状態の中で、住民生活に直結する行政需要に対処するため、都市自治体においては、血のにじむ行政改革を重ねるとともに、自主的な財源の確保に努めているが、都市自治体の事務には、にわかな廃止などが難しいものが多いうえ、事務の大部分は細部に至るまで国の法令などにより決定されており、主要な自主財源である地方税、地方交付税も国が決定するという現在の仕組みの下では、各都市自治体の努力だけでこのような危機的な状況を打開することはできない。今や、今後の行政運営に不安を感じざるを得ない状況である。
 そこで、全国市長会は繰り返し、国から地方への税源移譲と地方交付税総額の確保を国に要請してきたところであるが、抜本的な対策が何ら講じられないまま、平成13年度は赤字地方債の発行を余儀なくされるなど、財政状況は悪化の一途をたどっている。地方交付税については、地方交付税法第6条の3第2項の規定により地方交付税率を引き上げ、増額することこそ必要な事態である。このような状況で専ら国の財政の都合により地方交付税の削減を論議することは、地方公共団体の固有の財源に対する一方的な関与として問題があるのみでなく、国の制度として定めた地方公共団体の事務の執行に要する財源について、国としてその保障をしないことを意味し、将来に影響する重大な問題をはらんでいる。したがって、地方交付税の削減の論議は全く受け入れることができない。
 地方分権が実行段階に入り、都市自治体は益々大きな役割を負わなければならないが、住民の付託に応え、その責任を十分に果たしていくためには、必要な税財源の充実確保が不可欠である。
よって、国においては、このような状況を十分認識し、下記事項について適切な措置を講じられるよう強く要望する。



    1. 地方分権の進展に伴う都市自治体の役割の増大を視野に入れ、地方の歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、所得税から個人住民税への、消費税から地方消費税への税源移譲など国と地方の税源配分の見直しを含む税制の抜本的な改革を早急に進め、都市税源の充実強化を図ること。

    2. 法定5税分の地方交付税が著しく不足する状態が続いているため、地方交付税特別会計の借入れは既に膨大となっているので、地方交付税率の引上げ等により、地方交付税総額を安定的に確保すること。地方交付税の減額は、絶対に行わないこと。
      また、各都市の地方交付税の算定に当たっては、その実情を的確に反映させること。

    3. 地方債資金については、長期・低利の良質な公的資金の安定的確保を図ること。特に、公営企業金融公庫の資金調達については政府保証を維持すること。
      なお、政府系資金の繰上償還については、これまでも一部措置されているが、それらの見直しを含めた弾力的措置を講じることなどにより、公債費負担を軽減し、財政の健全性の確保を図ること。

  以上決議する。
  平成13年6月7日

第71回全国市長会議