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介護保険制度に関する決議

第71回全国市長会議 決議



介護保険制度に関する決議


 介護保険制度が施行されて1年が経過した。都市自治体はその円滑な運営のために日夜苦心を重ねているが、施行直前に1号保険料の一時的な軽減措置が決定されたことなどもあり、未だ制度について市民の十分な理解を得られたとは言えず、今後の運営になお多くの不安を抱えている。
 また、いくつかの点で懸念されていた事項が既に現実となっているものがある。例えば、制度としては原則として1号保険料を財源とすることが想定されている市町村特別給付事業は、保険料をこれ以上増額することが困難であるため、殆どすべての都市で一般会計の事業となっており、また、1号保険料の徴収は昨年10月から半額徴収が始まったばかりであるが、既に普通徴収分の収納率が相当低くなっている例がある。
 国においては、今後ともこのような制度運営の実態について十分把握するとともに、施行後5年を目途とする見直しの規定が法に定められていることを念頭に置きつつ、都市の意見を聞きながら、制度のあり方について絶えず検討を続け、必要な措置を講じることとされたい。
 当面、特に下記の事項について速やかに措置されるよう強く要請する。



    1.低所得者に対する措置として、国においては、制度施行前からのホームヘルプサービス利用者の自己負担を一定期間経過的に軽減する措置を講じたが、このような特例的な措置を部分的に設けることは、かえって現場に混乱を生むものである。国の制度として総合的統一的な低所得者対策を確立されたい。

    2.現行制度では、減額された調整交付金は1号保険料の増額賦課によって補填せざるを得ないという問題がある。すべての保険者において1号保険料が保険給付費の17%分を上まわることのないよう、調整交付金は、速やかに国の負担25%の外枠とすること。
      また、財政安定化基金については、国及び都道府県の負担とすること。

    3.介護保険と医療保険の適用区分をさらに明確化し、これを広く国民に示すとともに、適正な分担による両制度の安定的な運営を図ること。

    4.本年10月から1号保険料の全額徴収が始まり、いわば本格施行はこれからとなる。普通徴収分の収納確保などさらに多くの問題が生じることが考えられるので、国においては、全額徴収開始などについて国民に対し早期に十分な周知徹底を行うこと。

  以上決議する。
  平成13年6月7日

第71回全国市長会議