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介護保険制度に関する要望


介護保険制度に関する要望


  介護保険制度の導入にあたり、国は、積極的な支援措置を行い、特に次の事項について万全の措置を講じられたい。

1.「介護保険の円滑な実施のための特別対策」について
(1)制度を運用する現場で多大な混乱をきたしているので、これ以上の混乱をひきおこさないように十分配慮しつつ、家族介護支援や2号保険料対策など今回の「特別対策」により導入することとしている施策の具体的な内容を早急に明示すること。
(2)保険料の半年間凍結及びその後1年間の減額の実施方法については、国の責任において統一的な方針を明示するとともに、精算制度の導入等により、その財源は明確な形で全額国庫負担とすること。
(3)市町村が条例により保険料の軽減措置を定める必要があると考えられるが、このような措置が法律に抵触することとならないよう必要な措置をとること。
(4)市町村独自の上乗せ事業や特別給付の経費は、制度上1号保険料の基礎に含めることが予定されているが、凍結・減額に伴い、この取り扱いをどうするか明確にすること。
(5)今回の方針により、市町村における事務的負担が増大するので、ソフトウエアに要する経費や人件費等について万全の措置を講じること。
(6)国保保険者に対する支援については、国保財政が非常に厳しい状況に置かれている中で、介護保険料が国保保険料に上乗せされるため、益々厳しい状況になることが考えられるので、的確かつ十分な措置を講じること。
(7)「特別対策」において実施される具体的内容については、国の責任において広報を行うこと。

2.財政運営について
(1)今回の保険料凍結対策を含めて、介護保険の給付総額について的確な見積りを行うこと。国の予算に不足が生ずると見込まれる時は、すみやかに補正し、精算すること。
  また、財政措置を講ずるにあたっては、個々の都市自治体の実態に即した適切な措置を実施するほか、特に地方交付税不交付団体に対しても十分的確な措置を行うこと。
(2)国庫負担のうち調整交付金(5%)は、別枠とすること。
  また、財政安定化基金の原資については、国及び都道府県の負担とすること。
(3)介護保険制度の円滑な運営のためには、資金繰りに支障を生ずることのないよう必要な措置を行うこと。

3.介護サービス基盤の整備について
 市町村介護保険事業計画に基づき、介護サービスが適切に提供できるよう、人材の確保・養成及び自立と判定された特別養護老人ホーム等からの退所者の受入れ体制の整備を含めて介護関係基盤整備の推進を図るとともに、必要な財政措置を行うこと。

4.保険給付について
(1)介護報酬の設定にあたっては、地域特性に配慮しつつ、民間事業者の参入を促進するため適切なものにするとともに、介護報酬の単価等の具体的内容について早急に明らかにすること。
(2)2号該当者が障害者施策介護を受けている場合や、障害者が65歳に達したときのサービス給付のあり方について検討すること。

5.要介護認定について
(1)要介護認定が公平・迅速に行われるよう、認定審査会委員及び介護支援専門員等の育成対策を積極的に推進すること。
(2)介護認定審査会における審査が実態に即しながら公平かつ的確に、しかもスムーズに行われるよう、要介護状態区分の変更事例集を整備するなどできる限り配慮すること。
(3)相当の件数が見込まれる苦情等に的確に対処できるよう、適切な処理体制を確立するとともに、必要な財政措置を講じること。
(4)要介護認定に関する1次判定ソフトについては、高齢者介護サービス体制整備モデル事業での指摘事項等を十分に踏まえ、被保険者が理解しやすく、信頼されるものにすること。
  また、ケアマネジメントを適切に行うため、個人情報の保護にも十分配慮しつつ、要介護高齢者の認定情報等を、介護支援専門員等が適切に管理することができる仕組みを検討すること。
(5)訪問調査表、かかりつけ医意見書等の要介護認定関連資料に対する開示請求が行われた場合の対応については、要介護認定が全国一律の基準で行われ、また、要介護認定に対する信頼確保は全国的な問題であることを踏まえ、国においてモデル的な対処方法を示すこと。

6.低所得者対策について
  低所得者に対する利用者負担の軽減措置、現行福祉制度によるサービス受給者に対する継続的な措置などによる財政負担については、その実情に応じ、国として必要な支援措置を行うこと。

7.国保財政への支援について
  国民健康保険については、医療費の増高が続くなかで、最近、失業者の増加に伴い加入者が増加し、その運営が一段と困難になっている。そのような状況のもとで介護保険制度が施行されるが、2号保険料の負担追加によって収納率がさらに低下し、これによって国保の運営が一層困難になることが強く懸念されている。このような2号保険料の負担に伴う国保運営上の問題についても十分な財政支援措置を講ずること。

8.事務処理体制について
  介護保険制度の準備・実施に伴って必要となる人件費、事務費、電算処理システム等について、必要な財政措置を行うこと。

9.その他
(1)介護保険制度を運営していくうえで、早期に確定する必要がある事項が多数あるので、それらについては、必要に応じて、市町村と協議しながら速やかに決定し、地方公共団体に対し明示すること。
(2)介護保険制度については、介護保険制度の財政見通しを踏まえた保険料負担額、一部負担等について、これまで以上に積極的な広報を行うこと。
(3)個々の保険料の決定にあたって必要となる税関係情報等が得られるよう、関係法令について必要な整備を行うこと。
(4)非営利で資金を持たない社会福祉法人等については、12年2月から始まる居宅サービス計画の作成経費や12年4月に提供するサービスの介護報酬支払い時期までのつなぎ資金が必要となるため、資金貸付制度等を創設すること。
(5)要介護認定により自立と判定された者等に対し、従来実施していたサービスを継続して実施することが適当と認められる場合には、介護予防、生活支援、いきがい対策等の観点から、所要の財政支援措置を行うこと。
(6)在宅介護支援センターについては、本来の老人福祉法に基づく業務に支障を来さないよう、財政支援措置を行うこと。
  また、養護老人ホームの在り方について所要の検討を行うこと。
(7)介護療養型医療施設となる療養型病床群の指定にあたっては、地域によって過剰整備とならないよう適正な指定を行うとともに、過剰となった地方自治体については、国の責任において十分な財政措置を講じること。

 以上要望する。

 平成11年11月11日
全 国 市 長 会