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介護保険制度に関する要望


介護保険制度に関する要望


 介護保険制度の円滑な導入を図るため、国は、市町村に積極的な支援措置を行うとともに、特に次の事項について万全の措置を講ぜられたい。

1.介護サービス基盤の整備について
  市町村介護保険事業計画に基づき、介護サービスが適切に提供できるよう、人材の確保・養成及び自立と判定された特別養護老人ホーム等からの退所者の受入れ体制の整備を含めて介護基盤整備の推進を図るとともに、必要な財政措置を行うこと。  

2.財政運営について
 (1) 現時点の最新の数値等に基づき、給付総額、人件費を含む運営事務費、市町村特別事業、財政安定化基金の負担、関連する低所得者対策など、介護保険に関する財政支出の総額の見通しを明らかにするとともに、これに対応して必要な予算の確保など具体的な財政措置を十分行うこと。

   また、財政措置を講ずるにあたっては、モデル的なケースの設定による検証などによって、個々の都市自治体の実態に即した適切な措置を実施するほか、特に地方交付税不交付団体に対しても十分的確な措置を行うこと。

   さらに、今後、想定以上の財政支出が見込まれるなどの事態が生じた場合は、精算方式による国の追加支出措置など、国の責任において必要な措置を行うこと。

 (2) 国は、25%の国庫負担のうち5%を調整交付金として配分することとしているが、このような方法により個々の都市における介護保険制度の円滑な運営が確保されるかどうかを検討したうえ、必要に応じ、別枠の調整交付金を設けるなど新たな追加措置を行うこと。

 また、財政安定化基金の原資の拠出については、市町村における介護保険関係財政の運営実態の見通しを踏まえ、国及び都道府県の負担とするよう検討すること。

(3) 介護保険制度の円滑な運営のためには、資金繰りに支障を生  ずることのないよう必要な措置を行うこと。

3.保険料について
 (1) 保険料負担の高額化について適切な措置を行うこと。

 (2) 介護保険の保険料負担が加わることにより、国民健康保険の保険料の収納率が低下した場合等に対する影響について必要な措置を行うとともに、早期にその具体的方針等を明らかにすること。

 (3) 第1号保険料に係る年金からの特別徴収については、年度途中においても介護保険料特別徴収の弾力的な取扱いが可能となるようにすること。

4.保険給付について
 (1) 介護報酬の設定にあたっては、地域特性に配慮しつつ、民間事業者の参入を促進するため適切なものにするとともに、介護報酬の単価等の具体的内容について早急に明らかにすること。

 (2) 現金給付を含め、家族介護に対する支援策について、さらに検討を加えること。

 (3) 介護保険及び医療保険両者の給付の範囲を明確にすること。

 (4) 2号該当者が障害者施策介護を受けている場合や、障害者が65歳に達したときのサービス給付のあり方について検討すること。

5.要介護認定について
(1) 要介護認定が公平・迅速に行われるよう、認定審査会委員及び介護支援専門員等の育成対策を積極的に推進すること。

(2) 介護認定審査会における審査が実態に即しながら公平かつ的確に、しかもスムーズに行われるよう、要介護状態区分の変更事例集を整備するなどできる限り配慮すること。

 (3) 相当の件数が見込まれる苦情等に的確に対処できるよう、適切な処理体制を確立すること。

 (4) 要介護認定に関する1次判定ソフトについては、高齢者介護サービス体制整備モデル事業での指摘事項等を十分に踏まえ、被保険者が理解しやすく、信頼されるものにすること。

   また、要介護高齢者の認定情報等を、関係者が共有できる仕組みを検討すること。

 (5) 訪問調査表、かかりつけ医意見書等の要介護認定関連資料に対する開示請求が行われた場合の対応については、要介護認定が全国一律の基準で行われ、また、要介護認定に対する信頼確保は全国的な問題であることを踏まえ、国においてモデル的な対処方法を示すこと。

6.低所得者対策について
  低所得者に対する利用者負担の軽減措置、現行福祉制度によるサービス受給者に対する継続的な措置などによる財政負担については、その実情に応じ、国として必要な支援措置を行うこと。

7.事務処理体制について
  介護保険制度の準備・実施に伴って必要となる人件費、事務費、電算処理システム等について、必要な財政措置を行うこと。

8.その他
 (1) 介護保険制度を円滑に運営していくための準備の都合上、早期に確定する必要がある事項が多数あるので、それらについては、必要に応じて、市町村と協議しながら速やかに決定し、地方公共団体に対し明示すること。

 (2) 介護保険制度については、国民の理解を得ることの必要なものが多々あるが、広く周知されているとは言い難い状況にあるので、介護保険制度の財政見通しを踏まえた保険料負担額、一部負担等について、積極的な広報を行うこと。

 (3) 広域連合の場合も含め、個々の保険料の決定にあたって必要となる税関係情報等が得られるよう、関係法令について必要な整備を行うこと。

 (4) 非営利で資金を持たない社会福祉法人等については、12年2月から始まる居宅サービス計画の作成や12年4月に提供するサービスの介護報酬支払い時期までのつなぎ資金が必要となるため、資金貸付制度等を創設すること。

 (5) 要介護認定により自立と判定された者等に対し、従来実施していたサービスを継続して実施することが適当と認められる場合には、所要の財政支援措置を行うこと。

 (6) 在宅介護支援センターについては、本来の老人福祉法に基づく業務に支障を来さないよう、財政支援措置を行うこと。

以上要望する。