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27. 同和(地域改善)対策事業に関する要望

○「決議要望事項」 [平成9年6月4日 第67回全国市長会議決定]



27.同和 (地域改善) 対策事業に関する要望
 
 同和問題は、 国及び地方公共団体の責務であると同時に国民的課題として早急に解決されるべきものであり、 都市自治体においても、 その解決に向けて弛まぬ努力を傾注しているところである。
 そうした中で、 昨年12月に 「人権擁護施策推進法」 が、 また本年3月には 「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律」 が制定されたところであるが、 生活環境の改善をはじめ、 教育、 就労等の分野における課題はなお残されており、 とりわけ差別意識解消のための啓発活動を強化することが重要課題となっている。
よって、 国は、 積極的に差別事象の解消に努めるとともに、 昨年の地域改善対策協議会の意見具申及び政府大綱の趣旨を尊重し、 法的措置及び一般対策として改善・創設された事業について、 必要かつ十分な予算措置を講ぜられたい。
 
 各省庁共通
 
1. 政府大綱において法的措置・行財政的措置を講ずることとされた事業については、 従前と同等の財政措置を講ずるとともに、 既存の一般対策で対応することとされた事業についても、 地方財政に支障をきたさぬよう、 必要かつ十分な予算措置を講ずること。
2. 差別意識の解消を図る観点から、 国民に対するなお一層効果的な啓発活動を推進するとともに、 地方公共団体が実施する啓発事業について十分な助成を行うこと。
 
内閣内政審議室
 
  「人権教育のための国連10年」 に関する国内行動計画の中間まとめが示されたが、 国と地方の連携の下にその推進が図られるよう、 国内行動計画を早急に策定されたい。
また、 地方公共団体における計画策定を促進すべく所要の措置を講ずること。
 
 総 務 庁
 
 同和問題の早期解決を図るため、 地方公共団体の財政状況に配慮しつつ、 必要かつ十分な予算措置を講ずること。
また、 経過的措置を講ずる事業に関する施策及び事務の総合調整等について万全を期すること。
 
 法 務 省
 
1. 同和問題に関する正しい理解と認識を深め、 人権を尊重する思想の徹底を図る観点から、 国民に対するなお一層効果的な啓発活動を推進すること。
 また、 地方公共団体が実施する啓発事業について十分な助成を行うとともに、 国の委託啓発事業についても、 内容の充実と委託費の増額を図ること。
2. 人権侵害による被害の救済措置等の充実強化を図るため、 人権相談業務の窓口の整備を積極的に進めるとともに、 相談に応じる職員や人権擁護委員の対応能力の向上を図ること。
 また、 人権相談業務の内容及び相談体制について、 積極的に周知を図るとともに、 人権侵害による被害の救済等に係る対応策を早急に具体化すること。
3. 「パソコン通信」 「パケット通信」 による差別事象について、 その実態把握に努めるとともに、 これらによる差別事象の再発防止対策を講ずること。
また、 今後、 「インターネット」 など新たな情報通信網を使用した差別事象の発生が懸念されることから、 その防止対策を講ずるよう関係各省庁にも働きかけを行うこと。
 
 大 蔵 省
 
1. 同和問題の解決は、 国の責務であり国民的課題であるとの基本的認識に立ち、 残された課題の解決に向けた諸施策に対して所要の予算額を確保し、 地方財政の負担軽減を図ること。
2. 同和対策事業に係る地方債の償還について、 地方財政の負担軽減を図る観点から必要な財源を確保すること。
 
文 部 省
 
1. 高等学校等進学奨励費補助事業について必要な措置を講ずること。
2. 学校教育及び社会教育における人権思想の普及高揚を図るため、 地方公共団体が主体的に取り組む啓発事業について財政支援措置を講ずること。
3. 同和地区を有する小・中学校の児童・生徒の学力向上に資するため、 学級編制基準の改善を図ること。
また、 これと併せ、 第6次教職員配置改善計画における同和加配の改善を円滑に実施するとともに、 同和教育推進教員の配置を促進すること。
 
 厚 生 省
 
 隣保館をはじめとする同和地区の福祉施設等の整備については、 実状を踏まえつつ補助制度の充実を図ること。
また、 隣保館・保育所の管理運営費についても、 その運営に支障が生ずることのないよう、 実状を踏まえた措置を講ずること。
 
 農林水産省
 
営農等相談事業は、 生産性の向上、 経営の改善に有効な役割を果たしていることから、 その計画的な削減にあたっては、 関係地方公共団体の実状に十分配慮すること。
 
 通商産業省
 
1. 同和地区企業者の育成振興のため、 政府系中小企業向け金融機関に長期低利の融資制度を設けること。
2. 同和地区の生活基盤となっている地域産業が自立し得るよう、 適切な施策を講ずること。
 
郵 政 省
 
  「パソコン通信」 「パケット通信」 による差別事象について、 その実態把握に努めるとともに、 これらによる差別事象の再発防止対策を講ずること。
また、 今後、 「インターネット」 など新たな情報通信網を使用した差別事象の発生が懸念されることから、 その防止対策を講ずるよう関係省庁にも働きかけること。
 
 労 働 省
 
1. 就職の機会均等を阻害する差別事象が今なお跡を絶たない現状にあることから、 雇用主に対する指導・啓発事業を積極的に推進すること。
  また、 不安定就労の割合が高い中高年齢者や障害者に配慮し、 同和地区住民の就業対策を積極的に進めること。
2. 高等学校中途退学者等若年層に対する職業訓練施策の充実を図るとともに、 公共職業安定所等における職業相談員の確保と職業相談指導体制の強化を図ること。
3. 「公正採用選考人権啓発推進員」 制度の充実を図ること。
 
建 設 省
 
1. 住環境整備事業について、 十分整備が進められなかった地域における当該事業推進のための財政支援に対し、 特段の配慮を図ること。
2. 比較的早期に建設された公営・改良住宅の建替事業や改善事業について、 特段の財政支援を図ること。
3. 住宅新築資金等貸付事業は、 生活向上に有効な役割を果たしていることから、 貸付限度額、 床面積条件について、 実態に即するよう改善するとともに、 助成対象市町村要件を撤廃し、 既貸付事業をすべて対象とすること。
4. 公営住宅建設事業債の元利償還にあたり、 地方交付税への算入措置がとられていないものについては、 助成金の交付等により財政負担の軽減を図ること。
5. 改良住宅の譲渡については、 入居者の自立意欲の向上等を図る観点から、 その早期実施が図られるよう、 譲渡にかかる権限を知事に委譲するとともに、 譲渡価格算定基準の根本的な見直しなど譲渡要件の緩和を図ること。
 
自 治 省
 
 同和対策事業に係る地方債の元利償還金に対する地方交付税の算入率を引き上げるとともに、 その償還年限を延伸し、 地方財政の負担軽減を図ること。