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第7回「国と地方の協議の場」が開催され、三位一体改革の「全体像」が示される(平成16年11月26日)

 11月26日(金)、三位一体改革に関する「国と地方の協議の場(第7回)」が官邸で開催され、細田官房長官から、政府・与党協議で合意された「三位一体の改革について」の報告があった。本会からは山出会長が出席。

 梶原・全国知事会会長は、地方六団体が提出した「三位一体の改革について」【別記1】を示し、以下のとおり意見を延べた。

 「先送りの事項が多いため、評価も先送りせざるを得ないが、小泉総理大臣が真摯に対応するようにという姿勢を示され、細田官房長官、麻生総務大臣が中心となって地方交付税、税源移譲等につき鋭意調整していただいたことに敬意を表したい。そのため、われわれ地方六団体は、政府・与党の合意を受け止めることとするが、地方の自由度を増し、裁量権を拡大するという観点から、少なくとも次の点を明確にしていただきたい。①対象項目が148項目あったが、大半が廃止されていない。施設整備関係国庫補助金を対象にしてほしい、②国民健康保険については、かねてから主張しているとおり、社会保障審議会で検討すべきことを前倒しでやること、根幹を変えないこと、③地方自治に対する国の関与・規制の見直しについて、政府側は真摯に受けとめ、今後の対応を明らかにすること、④残された補助金については、交付金化という話もあるが、補助金負担金を入れ替えるだけではなく、中身を大きく変えなければならない。補助金改革について具体的な工程表を示してもらいたい。そのために、国と地方の協議の場を継続すべきである。」

 また、麻生総務大臣からは「都道府県と市町村はそれぞれ立場が違うにもかかわらず、最後までまとめ上げたということが闘う力になったと思う。年末に向けて、残された細目をしっかり協議会でやっていかなくてはならない」等の発言があった。

 最後に、細田官房長官から「(今後も)協議の場を設ける。本日、地方六団体から提出された要望等は小泉内閣総理大臣に提出して、実現できるようにしていきたい」と発言があった。

 なお、国と地方の協議の場終了後、地方六団体では、山出会長、梶原・全国知事会会長等の出席のもと記者会見を行い、その際【別記2】の「『三位一体の改革について』(政府・与党合意)の評価すべき事項」を発表している。



 

【別記1】

三位一体の改革について

平成16年11月26日

地 方 六 団 体

 

               

             

 三位一体の改革に関する政府・与党合意は、改革の精神が強く感じられず、重要な部分が先送りされており、我々地方六団体の政府・与党合意に対する評価も先送りせざるを得ない。

 しかし、総理が真摯に対応するようにとされたこと、官房長官、総務大臣が中心となって、地方交付税・税源移譲等につき鋭意調整されたことには、敬意を表したい。したがって、我々地方六団体は、とりあえず、本政府・与党合意を受け止めることとするが、そのためには、今回の改革の本旨に沿い、地方の自由度を増し、裁量権を拡大するという観点から、更に少なくとも次のことについて明確にすることが必要と考える。

○ 施設整備関係国庫補助負担金について廃止し、税源移譲の範囲を拡大すべきこと。

○ 国民健康保険に関し、あらかじめ新たな都道府県負担の内容を明確化すること。本来、社会保障審議会での検討を待つべきものであり、したがって、この際、根幹を変えないこと。

○ 地方自治に対する国の関与・規制の見直しについて、真摯な努力が足りない。今後の対応方針を明らかにすること。

○ 補助金改革の工程表を示すこと。

  以上のため、国と地方の協議の場を継続すべきである。

 

【別記2】

「三位一体の改革について」(政府・与党合意)の評価すべき事項

 

1 税源移譲について

  ○ 「概ね3兆円規模の税源移譲」を目指して個人住民税への税源移譲(所得税から個人住民税への移譲により実施、個人住民税所得割のフラット化することを基本とする)の実施を明記したこと。

2 地方交付税について

 ○ 平成17年度及び平成18年度は、地域において必要な行政課題に対しては適切に財源措置を行うなど、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保することとされたこと。

 ○ 税源移譲に伴う財政力格差が拡大しないようにしつつ、円滑な財政運営、制度の移行を確保するため、税源移譲に伴う増収分を、当面基準財政収入額に100%参入することとされたこと。

 ○ 中期地方財政ビジョンを策定することとされたこと。

 ○ 地方交付税の算定プロセスに地方関係団体の参画を図ることとされたこと。

3 義務教育費国庫負担金について

 ○ 平成17年度及び平成18年度において8,500億円が税源移譲の対象とされるとともに、平成17年度予算において4,250億円の暫定措置を講ずることとされたこと。

4 社会保障関係国庫補助負担金について

 ○ 生活保護費国庫負担金及び児童扶養手当給付費負担金について、平成17年度は、ひとまず国庫負担率の引き下げは行われないこととなったこと。

5 公共事業国庫補助負担金等について

 ○ 公共投資関係の補助金の交付金化について、省庁の枠を超えて一本化するなど、地方の自主性・裁量性を格段に向上させることとされたこと。

 ○ 地方公共団体向け補助金等の執行過程における適正化等のための措置を講じることとされたこと。

6 国と地方の協議の場

 ○ 国と地方が対等な立場で協議する「国と地方の協議の場」が継続することとされたこと。