都市と廃棄物管理に関する調査研究報告



 
 本報告書は、中長期的な視点から、都市自治体における廃棄物管理に関する政策のあるべき方向を提言することを目的として、(財)日本都市センターに本年度設置された「廃棄物に関する都市政策研究会」における平成9年度の調査研究の成果を取りまとめたものである。
21世紀を間近に控え、また、廃棄物をめぐる社会経済環境が大きく変化する中で、都市自治体においては、循環型社会の実現に向けて新しい考えに立った廃棄物管理政策が求められている。そうした状況のもとで、(財)日本都市センターでは全国市長会からの委託を受け、中長期的視点による総合的な都市環境管理の観点から、廃棄物管理の政策的枠組み、政策方針の検討・提言を行うため、「都市と廃棄物管理に関する調査研究」を実施することとした。「廃棄物に関する都市政策研究会」は、その具体的検討・審議を行う調査研究委員会であり、寄本勝美・早稲田大学政治経済学部教授を座長に、廃棄物政策に精通する別記の委員及び専門委員の参加を得て、資源循環型社会を構築するための廃棄物管理に関する研究活動を行った。
本研究会では、まず、めまぐるしく変化する廃棄物問題を取り巻く状況を把握するため、平成5年6月の全国市長会による「廃棄物問題を中心とした都市の環境問題に関する提言」以降の法制度改正や諸施策の取り組みの動向について整理を行った。さらに、都市自治体における廃棄物管理に関する実態、政策動向等の把握のため、全国の都市を対象としたアンケート調査を実施した。このアンケート調査では、調査対象全ての都市自治体より回答をいただき、本研究会の審議資料として大いに活用することができたことに加え、多くの都市自治体の参考となるデータを得ることができた。都市自治体関係者のご理解とご協力に対し、厚く感謝申し上げたい。なお、このアンケート結果を含めて、研究会の中間活動報告を11月に取りまとめ、公表したところである。
本報告書をまとめるにあたっては、これまで準備会を含め7回にわたり研究会を開催し、研究会委員のテーマ毎の所見報告等を中心にして精力的に検討・審議を重ねるとともに、全国市長会事務局及び全国市長会廃棄物処理対策特別委員会常任幹事の参加も得て、実務者の立場からの意見聴取や意見交換等も行った。なお、報告書素案の起草にあたっては、研究会における議論を踏まえ、山本委員をはじめ、専門委員及び当センター研究室の研究員によって、取りまとめ作業を行った。
本報告書において、市民・事業者・行政が一体となり、廃棄物管理に取り組むための新たな枠組みと基本的方向を示すことができたのではないかと考えている。これからの都市自治体における廃棄物政策の指針として、本報告書が広く活用されることを期待したい。
 最後に、調査研究の実施、取りまとめにあたり、ご指導、ご協力を賜った寄本座長をはじめ、委員・専門委員各位、並びに研究会にご参加をいただいた方々、広くご支援をいただいた都市自治体の方々に、心から御礼申し上げたい。
 
 平成10年3月