全国市長会の主張 要望


 「三位一体改革に関する緊急要望」について
 
 山出会長、西川小松島市長(財政委員会副委員長)及び石垣新見市長(岡山県市長会会長)は、2月23日(月)、総務省幹部(香山総務事務次官、瀧野自治財政局長、岡本大臣官房審議官)に面談のうえ、平成16年度地方財政計画が各都市の予算編成に大きな影響を与えている等に鑑み、今後、いずれの都市も納得できる三位一体改革が推進されるよう緊急要望を行った。

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三位一体改革に関する緊急要望

 三位一体改革に伴う平成16年度地方財政計画は、税収が落ち込む都市自治体の財政にあまりにも大きな影響を与えており、各都市の平成 16年度予算編成において過大な収入不足を招くなど極めて重大な状況となっている。
 所得譲与税の創設による一般財源化は、基幹税である国の所得税収を地方に移すものであり一定の評価をするものであるが、これは暫定的な措置にすぎず、真の税源移譲とはいえない。
 また、今回一部の国庫補助負担金が廃止されたが、国の法令等による基準は緩和されておらず、地方の自己決定・自己責任の下、サービス水準の決定ができないなど地方分権改革が目指す税源移譲と権限移譲が一体的に実現されていない。
 都市自治体は、平成14年度からの地方交付税の段階補正の見直し等により大幅な歳入不足を生じており、行政改革等による経費削減・事務の効率化や事業の先送りなど骨身を削る歳出の削減に努めているが、今回の地方交付税の急激な削減は、最後の財源ともいうべき基金の取崩によって対応せざるを得ず、翌年度以降このような状況が続けば、破綻状態に陥る都市自治体が数多く生ずることが懸念される。
 よって、国におかれては、真の地方分権を推進するため、下記事項を実現され、大都市圏と地方圏のいずれの都市も納得できる三位一体改革を推進されるよう強く要望する。



1 国庫補助負担金の廃止に伴う一般財源化に当たって、引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについては、廃止と同時に確実に個人住民税、地方消費税等の基幹税で税源移譲されたい。
 また、税源移譲と併せ市町村の自由度の拡大が図られるよう、国の法令等による基準を弾力化するなど国の関与を速やかに廃止・縮減されたい。

2 地方交付税の改革については、税源移譲に伴い自治体間の財政力格差が拡大することが予想され、また、各市町村において一定の行政水準を確保することが不可欠であることから、地方交付税の持つ財源調整と財源保障の両機能を強化されたい。

3 改革内容の決定が遅く、また、不明な部分も多く、市町村の予算編成に大きな支障が生じたことから、今後は、市町村の意向を十分反映した上で、できる限り早い段階で内容を明らかにされたい。
 平成18年度に向けた三位一体改革の全体像、年度別内容・規模など改革の工程表を早急に提示されたい。

4 地方一般財源の大幅な減額に伴い、地域再生事業債の新設や財政健全化債の弾力的運用などの措置が講じられたところであるが、平成16年度における各市町村の財政運営に支障が生じないよう、個々の団体の実情に十分配慮したきめ細かな対応をされたい。


 平成16年2月23日
全 国 市 長 会