新たな緊急経済対策の早期実施について

 


新たな緊急経済対策の早期実施について

 

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新たな緊急経済対策の早期実施について

 

 世界は、米国を震源とする深刻な経済危機に見舞われている。激しい信用収縮、世界総需要の大幅減退、資産価格の下落により、景気の底が見えない厳しい状況が続いている。
 我が国も昨年第4四半期のGDPが年率換算でマイナス12.7%であった。先進諸国で最大の下げ幅であり、戦後最大の危機である。
 バブル崩壊後の最安値を更新する株価、決算期を迎える企業の資金繰り、低下を続ける有効求人倍率、消費不振など、事態は誠に深刻である。
 地方では、多くの自治体が臨時議会を招集し補正予算を成立させ、雇用の確保、中小企業金融対策や公共事業の前倒しによる内需の下支えなど地域経済対策に全力を挙げている。しかしながら、特に中小企業は、金融対策だけでなく「仕事」を求めている。現在の大きな需要不足への対策が早急に求められており、地方の取り組みだけでは限界があることは明らかである。
 政府・国会は、平成21年度予算案及び関連法案を一刻も早く成立させるべきである。さらに、景気の底割れを断固阻止する決意で、内需を創造すべく、積極果敢な総合的経済対策を早急に検討・実施すべきである。
 その際には、国民生活に必要な公共投資を前倒し実施するほか、我が国経済を安定的な成長軌道に乗せるためにも、潜在成長力を高めていく政策に重点を置くことが不可欠である。新エネルギーの開発、技術革新による新市場の創造、新型情報インフラの整備、農林水産業への人材の重点的移転、内需に軸足を置いた産業構造への転換等が求められる。さらに少子高齢社会に対応した社会保障制度の再構築を進め、国民に将来に対する希望と安心感を与える必要がある。
 これらの政策は、地方の活力を活かすという方針を基軸に実施すべきである。地方の創意工夫が活かせるという点で、平成20 年度第2次補正予算で創設された「地域活性化・生活対策臨時交付金」は自由度が高く、大きな効果が期待できる。この制度を大幅に拡充すること等を通じ、財源と判断を思い切って地方に委ね、国を挙げての景気対策に取り組むべきである。

 平成21年3月11日
 

     

地方六団体  
全国知事会会長 麻生  渡
全国都道府県議会議長会会長 大野 忠右エ門
全国市長会会長代理 藤代 孝七
全国市議会議長会会長 藤田 博之
全国町村会会長 山本 文男
全国町村議会議長会会長 原   伸一

※全国市議会議長会会長名の「博」は外字、右上の「`」がない字体