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「経済財政改革の基本方針2008」に盛り込むべき事項(地方六団体)(平成20年6月12日)

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平成20年6月12日
地 方 六 団 体


 地方は、住民の暮らしに必要な公共サービスを効率的、効果的に提供し、住民から信頼され、活力ある地域づくりを目指し日々努力を重ねている。
 こうした中にあって、先日、政府の地方分権改革推進委員会から、第二期地方分権改革の第一歩として、地方への事務・権限の移譲や、地方の自由度の拡大等を内容とする第一次勧告が示された。
 我々自身は、今後とも地方分権改革の実現に全力で取り組む覚悟であり、政府においても、この勧告を尊重し、強い政治的リーダーシップの下、早急に取り組まれることが求められている。
 こうした状況の下、当面の経済財政運営の指針となる「基本方針2008」の策定に当たっては、地方の実情を踏まえ、次の事項を盛り込まれるよう求める。

 

1 第二期地方分権改革について
 地方分権改革の推進は、地方自治体の自主性及び自立性を高めることによって、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るものである。ゆえに、国民の活力を引き出し、活力ある国民が活躍する舞台を用意するという福田内閣の使命を果たしていく上で、地方分権の推進は極めて重要な政策課題である。
 したがって、「基本方針2008」においては、「地方分権改革」を最重要政策   課題として位置づけた上で、地方六団体が求めてきた権限移譲、義務付け・枠付け、関与の廃止・縮小や、税源移譲、地方共有税の導入、(仮)地方行財政会議の設置が速やかに実現できるよう分権推進の方針を明記すること。
 また、「国の地方支分部局」(出先機関)の見直しに当たっては、昨年9月に地方六団体が提出した「地方支分部局の整理について」の考え方等に基づき、今後確実に実施されるよう基本的な考え方を明記すること。
 なお、権限移譲に当たっては、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置とともに、専門の人材育成等についても適切な措置を講じることとし、その具体的内容を明記すること。

2 道路特定財源の一般財源化に伴う「地方枠」の確保について
 政府の閣議決定を受け、道路特定財源の一般財源化が喫緊の課題となっている。平成20年度当初予算においては、国と地方を通じた道路特定財源関係の税収  5.4兆円のうち、地方には、税だけでなく、譲与税や交付金、補助金なども含めて、3.4兆円余の額が財源として確保されている。一般財源化に当たっては、極めて厳しい地方財政の状況、地方の道路整備の必要性、地方では道路予算の約6割を一般財源と借入金によって賄っている実態等に鑑み、さらなる地方財源の充実強化が図られるよう、これまで以上の額を都道府県及び市町村の「地方枠」として確保すること。
 また、一般財源化の制度設計に当たっては、都道府県及び市町村による道路整備等の自由度を最大限拡大するとともに、地方の意見に十分配慮すること。
 さらに、新たな道路整備計画には地方にとって真に必要な道路整備を確実に盛り込むとともに、計画策定、実施等に当たっては、その意思決定に地方の意見が十分反映できる分権型の仕組みを取り入れること。

3 地方税源の強化と地方消費税の充実について
 (1) 地方税源の強化と偏在性の少ない地方税体系の構築
 地方自治体は、少子・高齢化社会を支える福祉・医療・教育といった行政サービスの大半を担っており、これらの役割、責任に見合うよう、国と地方の税源配分について、まずは5:5を目指した、地方税源の充実強化が必要である。
 その際には、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築していくことを基本方向とすること。

 (2) 地方消費税の充実
 地方消費税は、地方自治体固有の重要な財源であり、今後増大が避けられない地方の社会保障、教育など様々な事業を支えていく基幹税である。
 また同時に、地方の地域経済活性化努力が税収に反映されやすい税であり、地域振興のためのインセンティブをもたらす効果も期待できる。
 地方消費税は、税収の偏在性が少なく安定的な基幹税目の一つとして、地方の財源にふさわしい税であり、大きく充実させていく必要がある。平成20年度税制改正大綱でも、消費税を含む税体系の抜本的改革において地方消費税の充実が盛り込まれており、地方消費税の充実を行うことを明記すること。
 なお、一部に地方固有の財源である地方消費税と地方交付税の重要な原資でもある消費税とあわせて全額を、年金財源として活用しようとする議論があるが、これは、現行の地方税財政制度による自治財政権を根底から否定するものであり、地方分権改革に逆行し容認することはできない。

4 地方交付税の復元・増額について
 (1) 地方交付税総額の復元・増額
 三位一体の改革により5.1兆円もの地方交付税が削減され、その総額が抑制される中で、福祉・医療など社会保障関係経費等が増加していることから、地方独自の財源が不足し、地方の実情に即した行財政運営を行うことが極めて困難になっている。
 このため、地方自治体の安定的財政運営に必要な地方交付税の復元・増額を明記すること。

 (2) 地方の財政需要の適切な積み上げと格差是正
 「基本方針2006」により固定化された地方歳出の水準に固執することなくこれを見直し、地方財政計画に地方の財政需要を適切に積み上げること。
 また、税源の偏在が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を再構築したとしても、地域間格差は依然として解消しないことから、地域振興のための対策を強化するなどにより、地方交付税が有する財源調整・財源保障の両機能の復元・充実を明記すること。

5 国庫補助負担金改革等について
 国庫補助負担金については、単なる国庫補助率の引き下げ等ではなく、事務の執行に必要な財源を移譲した上で、廃止を含めた大幅な見直しによる整理合理化を行い、国庫補助負担金改革を推進すること。
 また、直轄事業負担金については、事業主体が負担すべきであり、責任の明確化のためにも廃止することを明記すること。
 さらに、新たに地方負担を伴う医療・福祉など国の制度改正に当たっては、その企画・立案段階から必ず地方との協議を行い、実質的な財源保障措置など必要な措置を講じること。

6 行政改革の推進について
 地方自治体はこれまで、行政組織の再編統合や国に先んじて大幅な定数削減や給与カットなど、懸命に行財政改革に取り組み、国を上回るペースで歳出削減努力を行ってきた。
 しかしながら、国においては、こうした地方の実態にもかかわらず、さらに厳しい歳出削減を地方に課す一方で、自らが実施すべき地方支分部局(出先機関)の廃止・縮小などは進められていない。
 我々地方は、今後も引き続き行財政改革に取り組み、一層効率的な行財政運営に努め、住民サービスの向上を図るとともに財政基盤の強化に取り組む決意である。国は、遅れている国自身の行財政改革を断行すること。