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介護報酬に関する意見(全国市長会 介護保険対策特別委員会)(平成20年6月2日)

 5月30日開催の介護保険対策特別委員会幹事会において取りまとめ、6月2日開催の同特別委員会において、委員会の意見とすることを了承し、社会保障審議会介護給付費分科会等に提出することとした。
(pdf形式のファイルはこちら
 

介護報酬に関する意見 

平成20年6月2日
全 国 市 長 会
介護保険対策特別委員会
 
 
 
 
次期介護報酬の改定にあたり、介護保険者の立場から本意見を取りまとめたので、これを十分尊重し、国の検討に反映されたい。
 
1 介護報酬の水準について
 都市においては介護従事者の定着率が低く、事業者が従事者を募集しても集まらないなど慢性的な人材不足の状況となっている。
 この要因として、介護報酬が低いとの指摘があるが、介護報酬の安易な引上げは保険料の上昇に直接結びつき、年金額が増えない中、高齢者の負担が増える結果となる。
 制度の持続可能性を高めるためには、必要性が低いサービスの見直しを進めるとともに、必要性が高いサービスについては、人材の確保が図られるよう、保険料の水準に留意しつつ適切な介護報酬を設定すること。
 なお、介護報酬が介護従事者の賃金等に反映するような仕組みについて十分に検討すること。

 
2 介護報酬体系について
 現行の介護報酬の体系は、加算・減算の種類も多くて複雑でわかりにくく、また、事業者にとって請求事務が大きな負担となっている。
 加算・減算の中には、実績としてほとんどの場合に請求されているもの、逆に、ほとんど請求されていないものもあることから、できるだけ本体報酬に包括化するなど、簡素でわかりやすい報酬体系とすること。

3 居宅介護支援について
 ケアマネジャー1人あたり40件を超えると、すべての件数に逓減が適用される。このため、現在の規定では担当件数を低く抑えざるを得ないことから、利用を断る場合がある。標準担当件数を超えた部分についてのみ逓減を適用するなど、ケアプランの質を確保しつつ、利用者を確保できる仕組みとすること。

 
4 介護予防支援について
 現行の介護予防支援の報酬は月400単位と低く、ケアマネジャー1人分の人件費も賄えない状況にある。
介護予防支援にかかる手間は、居宅介護支援と比較しても大きな差異がないことから、介護予防支援の報酬を引き上げること。

 
5 訪問介護について
 訪問介護については、現行の2類型を基本とすること。
 訪問介護の在り方や行為別の報酬体系の導入については、利用実態等を踏まえて十分検討すること。
 サービス提供責任者の業務や配置基準を見直すこと。

 
6 介護予防通所介護等について
 介護予防通所介護・介護予防通所リハビリテーションの介護報酬は、月単位の定額報酬となっており、月1回の利用や月途中に入院した場合でも1か月分の報酬を請求できる仕組みとなっている。このことは利用者負担や保険財政の面からも問題があるため、他のサービスと同様に回数や日数単位の報酬体系に見直すこと。
 また、アクティビティ実施加算や事業所評価加算は廃止し、基本報酬に包括化すること。

7 福祉用具貸与について
 福祉用具貸与の品目や期間によっては、「貸与」の方が「購入」より多くの給付費が支給されているケースが見受けられる。給付適正化の観点から、福祉用具の貸与品目と購入品目を見直すこと。
 また、貸与価格が実際の販売価格と比較してかなり高く設定されていることから、一定の上限を設けるなど、適切な貸与価格を設定すること。

 
8 小規模多機能型居宅介護について
 小規模多機能型居宅介護については、事業者の参入が低調であり、整備が進んでいないことから、報酬の水準について適切な見直しを行うこと。
 また、報酬体系については、月単位の定額報酬となっており、週1回程度の利用や月途中で入院した場合であっても登録を解除しない限り、1か月分の報酬を請求できる仕組みとなっている。このことは利用者負担や保険財政の面からも問題があるため、回数や日数などの利用実績を基礎とした報酬設定に見直すこと。

9 特別養護老人ホーム等について
 特別養護老人ホーム・老人保健施設の人員配置については、看護職員・介護職員の最低配置基準が3:1となっているが、実際はサービスの質を向上させるため、多くの施設で現行の基準を上回って配置している実態がある。3:1を上回る分については、報酬上評価する仕組みとすること。
 また、 療養病床の再編に伴い、経管栄養や胃ろうなど医療ニーズのある者が安心して入所できるよう受皿づくりが必要である。このため、介護療養型老人保健施設への転換を進めるとともに、一定程度、特別養護老人ホームと老人保健施設でも受け止められるよう、介護・看護体制の充実を図ること。