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生活保護制度改革に関する意見(全国市長会)(平成18年11月16日)

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生活保護制度改革に関する意見
 

  現行の生活保護制度は、昭和25年に制定され、以来56年が経過したが、これまで抜本的な改革は行われていない。そのため、少子高齢・人口減少社会の到来、家族形態の変容、就業形態の変化等、戦後の社会経済構造の大きな変化に十分対応し切れなくなっているなど、制度疲労を起こしており、国民の自助自立の精神とも調和しない制度となっている。

 このようなことから、本会は、全国知事会と共同で、学識経験者及び地方自治体の実務者で構成する「新たなセーフティネット検討会」を設置し、法改正を視野に入れた検討を重ね、今般、同検討会として「新たなセーフティネットの提案」を取りまとめたところである。

 この提案を踏まえ、本会ではセーフティネットをしっかり守ることを前提に、本意見を取りまとめた。

 よって、国の責任において制度的な手当を講ずるべく、国は、下記事項を基本とし、中長期的な視点に立った抜本改革について検討されたい。

 

 

 

1.稼働世代のための有期保護制度の創設

(1)稼働世代については、高齢期(65歳)に至るまで、原則として最大限5年間利用可能な有期保護制度を創設する。

(2)当該被保護者に対しては、金銭給付だけではなく、関係機関により複合的な就労阻害要因を集中的に除去し、就労自立を積極的に支援する。

(3)関係機関は、育児や介護等の家族的支援、基本的生活訓練、各種のセラピー、職業訓練、職業教育等を盛り込んだプログラムを組んで効果的に対応する。

(4)その実施に当たっては、生活保護部門のみならず、医療・社会福祉部門、労働部門、教育部門等が一体的に連携できる体制を構築する。

2.高齢者世帯対象制度の分離

(1)高齢者世帯(65歳以上)については、就労自立を目指す稼働世代と基本的に分離する。

(2)金銭給付に徹することを基本に、ケアは既存の高齢者政策等の見守りで対応するものとし、ケースワーカーは原則配置しない。

(3)資産活用を徹底し、保護費に充当する。

3.ボーダーライン層への就労支援制度の創設

  ボーダーライン層については、稼働世代に対する体制等を利用し、生活保護へ移行することを防止する就労支援制度を創設する。

 平成18年11月16日


全 国 市 長 会