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介護保険制度の基本的見直しに関する意見(平成16年4月14日)

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介護保険制度の基本的見直しに関する意見

平成16年4月14日
全 国 市 長 会

 介護保険法施行5年後の制度見直しの検討が、本年6月を目途に国の社会保障審議会介護保険部会において進められている。
 本会においては、昨年4月に介護保険制度検討小委員会を設置し、この一年間、同小委員会を中心に制度見直しに向けた検討を重ねてきた。その間、全都市を対象に書面調査を実施するとともに、昨年10月には、介護保険制度の持続的かつ安定的運営の視点に立って「介護保険制度の基本的見直しに関する意見」を取りまとめ、関係方面に提出している。
 今般、更なる意見提出を行うべく、これまで本会が要請してきた事項を含め、制度の基本的見直しについての検討を行い、下記のとおり意見を取りまとめた。
 国におかれては、本意見を尊重し、その趣旨を今後作成する制度見直し案に十分反映されるよう強く要請する。


1 保険財政
(1) 介護給付費負担金については、各保険者に対し給付費の25%を確実に配分し、現行の調整交付金は別枠化すること。
(2) 財政安定化基金の原資については、国及び都道府県の負担とすること。

2 低所得者対策
 国が実施している低所得者対策は、保険料及び利用料の軽減策が十分でないことから、国の制度として、財政措置を含めて総合的かつ統一的な対策を講じるよう、抜本的な見直しを行うこと。

3 保険料
(1) 現行の第1号保険料の区分については、第2段階の対象者における収入の較差が大きく、所得水準の低い者にとって負担が大きいので、住民の所得状況に応じた多段階制の採用等、よりきめ細かい保険料段階区分を設定すること。
(2) 第1号保険料については、世帯単位で比較すると所得がより少ない世帯の保険料が高くなる場合もある現状にかんがみ、不公平感が生じることのないよう、世帯概念を用いている賦課方法の在り方について更に検討すること。
(3) 第1号保険料について、保険料納付の利便性、徴収事務の効率化及び徴収率の向上を図るため、全ての年金を特別徴収の対象とすること。
 

4 保険者の機能強化、サービスの質の確保
(1) 同一のサービス事業者が、複数の市町村に跨って事業所を設置する例も多いことから、効率性の面も考慮し、サービス事業者に対する指定権限は、現行どおり都道府県に置くことが適当である。
   しかし、グループホームや有料老人ホーム等が介護保険事業計画の目標値を超えて急増し、保険財政を圧迫している現状もあることから、都道府県がサービス事業者を指定するに当たり、事前に保険者である市町村と協議する仕組みを確立すること。
(2) 現時点において、都道府県におけるサービス事業者に対する指導・監督が十分に行われているとは言い難いことから、その機能強化を図るとともに、サービスの質の確保、利用者保護の重要性等にかんがみ、都道府県と同程度の調査権限を保険者にも付与し、都道府県と保険者である市町村とが連携する仕組みを確立すること。
(3) 福祉用具購入・住宅改修に係る事業者については、優良な事業者の確保やサービスの質の向上を図る視点に立ち、都道府県による指定制度の採用について、小規模事業者に配慮しつつ、具体的な検討を行うこと。

5 被保険者及び給付対象者の範囲
 被保険者の年齢の範囲の拡大及び障害者施策との統合については、慎重に検討すること。

6 保険給付
(1) 在宅と施設の保険給付については、施設における居住費・食費の徴収範囲の拡大や利用者負担の引上げ等、在宅・施設両サービスの均衡を図る方策を講じること。
(2) 保険給付費の増加傾向に一定の歯止めをかけるためには、軽度要介護者に対する自立支援や重度化の防止に向けた介護予防サービスの提供を積極的に行うことが重要であることから、介護予防サービスの在り方、同サービスに係る人材の確保・育成、事業者のサービス提供体制を含め、より適切なサービスが提供されるよう検討すること。
(3) 特定疾病の範囲について、医学的見地から制度施行後の実績を踏まえ、早急に検討すること。

7 その他
(1) 有料老人ホーム等の特定施設及びグループホームの入所者に対しても住所地特例を適用すること。
(2) ケアマネジャーの中立性・公平性を更に確保するための方策について具体的な検討を行うこと。