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医療保険制度体系に関する基本方針について(全国市長会・全国町村会・国民健康保険中央会)(平成15年4月8日)

本会、全国町村会及び国民健康保険中央会の三団体は、平成15年4月8日、標記について次のとおり意見を表明した。
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医療保険制度体系に関する基本方針について

 平成15年4月8日
 全  国  市  長  会
 全  国  町  村  会
 国民健康保険中央会


 全国市長会、全国町村会及び国民健康保険中央会(国保三団体)は従来から、国民全体の給付と負担の公平を図り、安定した財政運営による国民皆保険体制を堅持するため、すべての国民を通ずる医療保険制度の一本化を主張してきた。
 今般閣議決定された「医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針(健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針)」については、限られた期間の中で検討されたもので、限界があることは理解できるが、主に、次のような解決すべき課題があると考える。
 今後の具体的な検討に当たっては、我々国保三団体の意見を十分尊重するとともに、財政基盤の強化等、国保財政改善のため、国庫負担による財政支援措置の一層の充実を図られたい。

1.基本的な考え方について
 国保は、加入者の平均年齢が高く、かつ、所得が低いといった構造的な問題を抱えており、その傾向は近年の経済の低迷・少子高齢化の影響によりさらに顕著になっている。このことは、制度間において保険料負担に大きな格差・不公平を生じさせており、これを解決するには国保と被用者保険との制度間を通じた一本化が必要であると考える。
 基本方針における基本的な考え方の中で「給付の平等、負担の公平を図り、医療保険制度の一元化を目指す」としたことは、我々が主張する「医療保険制度の一本化」に向けて一歩前進したものとして評価し得るものであるが、なお今後の道筋を明らかにするべく、その具体的な内容を明確にすべきである。

2.保険者の再編・統合及び国保の財政対策について
 基本的な方向として、被用者保険、国保それぞれについて、「再編・統合を進めるに当たっては、都道府県単位を軸とした保険運営について検討する」としていることは、将来の制度の一本化の方向からみて前進したものと理解する。しかし、具体的な方向についてはその内容が明確でなく、先般の厚生労働省試案より後退していると言わざるを得ない。
 今日、国保の財政運営は、市町村が約3千億円にものぼる一般会計からの繰入れを行っても、なお大きな赤字を計上している現状に鑑み、低所得者や高齢者が多いといった国保が抱える構造的問題に対する財政対策を講ずるとともに、具体的な運営主体を検討し、明確にすべきである。

3.高齢者医療制度について
 高齢者医療制度については、後期高齢者の独立保険方式と前期高齢者の財政調整方式という考え方が示されたが、具体的な制度の仕組み及び財政試算等が明らかにされていないため評価は困難であり、その内容について限定しても次のような問題があると思われる。

(1)後期高齢者の独立保険については、若年者層からの財政支援として「別建ての社会連帯的な保険料により賄う」とされているが、その保険料の性格・内容が不明確である。また、仮に所得に関係なく加入者数に比例して各医療保険者に保険料を賦課するのであれば、所得の低い国保の被保険者に過重な負担を強いることは明らかであり、基本方針の基本的な考え方で示された「負担の公平を図る」ことに反することになる。

(2)75歳未満の者についても調整は必要であるが、1人当り医療費が高く、国保・被用者保険間で加入者の偏在が大きいことに着目すれば、65歳から74歳のみを対象とするのではなく、幅を広げて調整すべきである。