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「公務員制度改革の大枠」に関する意見(平成13年5月16日)

 全国市長会をはじめ地方六団体は、平成13年5月16日、片山総務大臣、石原行政改革担当大臣及び総務省等に対し、「 『公務員制度改革の大枠』に関する意見 」を提出しました。


「公務員制度改革の大枠」に関する意見

 

 地方自治の適正かつ効率的な運営を確保するに当たって、地方公務員の身分取扱い、給与、服務等の基本を定める地方公務員制度は最も重要な制度のひとつである。

 先般発表された「公務員制度改革の大枠」では、地方公務員制度について、「地方自治の本旨に照らしつつ、国家公務員制度の抜本的な見直しに準じた見直しが必要となる」としているところである。
 しかしながら、今回の「大枠」においては、地方公務員制度が準ずることとされる国家公務員制度の見直しがどのようになるのか明らかでない。例えば今回の改革構想の中で重要な部分を占めている給与制度の見直しでは、現在の職務給原則に基づく制度を廃止し、能力、職責、業績に基づく部分からなる給与へと改めることとしているが、この「能力」や「職責」、「業績」が具体的にどのような内容であり、どのようにして評価するのかは明らかでない。また、地方公務員の給与制度については、現在、国家公務員等との間のいわゆる「均衡原則」等が定められているが、国家公務員の給与制度について今回のような見直しを行う場合、地方公務員の給与に関するこれらの原則をどうするかも大きな問題になると考えられる。
 そこで、地方公務員制度が準ずることとされているこのような国家公務員制度の見直しの具体的な内容について明らかにされたい。
 また、国家公務員制度の見直しに準じて地方公務員制度について見直しを行う場合、国と異なる事情が種々あることから、見直しの過程においては、地方公共団体の意見を随時聴取し、その実情を十分に踏まえた上、具体的な内容を検討されたい。

 今回の「大枠」において、「検討を進める中で労働基本権の制約の在り方との関係も十分検討する」とされているが、労働基本権の扱いは極めて重要な問題である。いうまでもなく、公務員の労働基本権については、全体の奉仕者としての公務員の性格、職務の公共性から国民全体の共同利益を保障する見地のもとに一定の制約が課されているものであり、特に地方公共団体の場合、警察、消防、教育、福祉など地域住民の日常生活に密接に関わる業務が多く、その停廃は地域に大きな混乱をもたらすこととなる。
 従って、労働基本権の問題については、まず、制度が設けられたこのような基本的な趣旨や実態を踏まえてそのあり方を論ずる必要がある。
 各地方公共団体においては、現行制度の下での長い歴史の積み重ねの中で適正な労使関係の維持に努めつつ、行政改革の実行などを進め、住民から信頼される自治運営に努力しているところであり、この時期の労働基本権論議は、このような地方自治の運営に大きな影響を与えることが懸念される。
 労働基本権の問題については、地方公共団体の意見や実情を踏まえ、慎重の上にも慎重を期されるよう強く要請する。

 先に提出した「公務員制度改革の検討に関する意見」において要請したように、地方公務員制度については、国と異なる固有の事情があるので、今後の制度設計に向けての検討に当たっては、全般にわたり、直接の当事者ともいうべき地方公共団体の意見を十分聴取されるよう、重ねて強く要請する。

 平成13年5月16日

全 国 知 事 会
全国都道府県議会議長会
全 国 市 長 会
全国市議会議長会
全 国 町 村 会
全国町村議会議長会