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IT戦略の推進に関する要望意見(平成12年9月19日)

9月19日、全国市長会は、全国町村会と共に「IT戦略の推進に関する要望意見」を取りまとめ、総理官邸、総務庁、通商産業省、郵政省、自治省に対し提出した。



IT戦略の推進に関する要望意見

 
 国においては、内閣にIT戦略本部を設置し、IT国家戦略の構築、電子政府の実現等を課題として対応を急いでおり、地方公共団体についても電子自治体の推進等を求めている。
 情報通信技術は、その活用如何が行政の効率化、住民サービスの向上や地域の振興に関わるものであり、市町村行政においても真摯に対応する必要があると考えられるが、これまでの市町村の取り組みは団体によって大きく相違しているのが実態である。
 国においてIT戦略を全国的に推進するに当たっては、このような市町村の実態を十分に踏まえつつ、国として各般にわたる措置を講ずる必要があると考えられることから、当面、下記事項について必要な措置を講ずるよう要請する。

1.基本的事項
(1) 市町村と住民及び国・県との関係は、極めて広範にわたっており、さまざまな事務処理の方法をとっているが、「総合行政ネットワーク」や「申請・届出等手続のオンライン化」の構想が、それぞれどのような事務に適用するのかなど国の考え方を明らかにするとともに、そのメリットを明示し、一般国民まで含めて十分な理解を得るよう配慮すること。
(2) 地方公共団体におけるIT対応を円滑に進めるためには、高度情報通信基盤の整備、個人認証などの制度面、技術面の確立、職員の研修などのほか、地方公共団体に対する財政措置等を含め、国として十分な措置を講ずることが不可欠であること。
(3) IT関係については、これまで各地方公共団体が自主 的に取組みを進めており、団体間で相当大きな事情の相違があることに十分留意するとともに、一般国民においてもITへの対応には大きな格差があることに配慮し、必要な措置を講ずること。

2.財政措置の確立
(1) IT対応を進めるためには今後も多くの市町村で庁内LAN及びパソコンを整備しなければならないが、これには多額の財政負担を伴うので、地方交付税不交付団体についても配慮しつつ、国庫補助や地方債措置など十分な財政措置を講ずること。
(2) システムの整備や変更については、今後多額の経費を要すると考えられるので、国の制度に関する事務については、国において汎用性の高い標準的なアプリケーションソフトを提供する等により効率化及び市町村の財政負担の軽減を図るとともに、これらを含め、電子化に伴って生ずる市町村の関係経費に対し、国庫補助等必要な財政措置を講ずること。
特に、総合行政ネットワークや電子認証基盤の整備等国が統一的に進め、あるいは要請するシステムの構築にかかる経費については、その変更を含め、国の負担により措置すること。
IT戦略に係る国の施策・予算のうち地方公共団体に関するものについては、各省庁間の調整を十分に行い、できるだけ統合整理して効率化するとともに、市町村に過重な負担が生ずることのないようにすること。また、必要な財政措置を行うこと。

3.電子自治体等のために必要な法制度・システムの整備
(1) 申請・届出等手続のオンライン化については、個人認証基盤や地方公共団体の組識認証基盤の整備が不可欠であるが、民間サービス利用の検討も踏まえたうえ、その具体的な内容を早急に示すとともに、制度面、技術面での課題を国において解決すること。
また、地方公共団体の事務処理の電子化について、国の制度についても電子化を前提とした法令の整備を行うとともに、円滑かつ効率的な事務処理を行うため、地方公共団体の意見を十分聞きながら、国において事務手続の整備、処理形式等を含む事務処理の標準化、簡素・効率化等を進めること。この場合、各省庁間の統一を図ること。
(2) 総合行政ネットワークについては、これにより国との間の事務処理の方法がどのように変化するのかなど早急にその具体的な内容及び効果を明らかにするとともに、運営については、財政面を含めて地方公共団体の負担を極力軽減すること。また、各省庁独自のネットワーク構想との整理を行うこと。
(3) 住民基本台帳ネットワークシステムについては、ICカードの利用も含め、電子自治体構想などとの関係を明らかにすること。 
4.情報通信基盤の整備
地域間の情報格差を是正しつつIT戦略を推進するためには、全国規模で、各家庭、事務所、公共施設等を結ぶ高速通信回線を整備し、しかも使用料金を低廉にする必要がある。そのため、国の責任のもとに民間、公共を通ずる全体の整備計画を策定するなどにより、早期の整備を推進すること。

5.セキュリティ対策等の確立
総合行政ネットワークや電子認証基盤の整備に係るセキュリティ対策については、国において解決すること。
また、最近の技術動向を踏まえた対策基準を早急に策定するとともに、市町村が実施するセキュリティ対策については、財政面を含め支援すること。

6.総合的な支援の充実
市町村のIT対応を円滑に進めるため、職員の情報化にかかる研修の充実など、市町村における人材の確保・育成について支援すること。
また、市町村の取組みについては、財政面はもとより市町村の情報化についての企画面、技術面など広範な分野での支援を充実すること。
さらに、国民の情報リテラシーの向上に万全を尽くすとともに、将来の円滑な運営にも配慮してその適正な運用を含めた情報教育を充実すること。 
 
 7.関連地域産業の振興
地域における情報産業の振興や地域産業の情報化について、地方公共団体の取組みを支援すること。 
 
平成12年9月19日

全 国 市 長 会
全 国 町 村 会