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「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」に基づく政省令及び基本方針の試案に関する意見(平成12年8月21日)

全国市長会は、8月21日に、パブリックコメントに付されていた「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」に基づく政省令及び基本方針の試案に関して、運輸省に意見を提出しました。
 

 
「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」に基づく政省令及び基本方針の試案に関する意見
 
全 国 市 長 会
平成12年8月21日
 
  「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」に基づく政省令及び基本方針の試案についての全国市長会の意見は次のとおりである。


Ⅰ 政令試案について

 旅客施設が特定旅客施設に該当するための要件として、政令試案では、当該旅客施設の1日当たりの利用者の数が5千人以上等とされているが、地方では市の中心駅であってもその要件に達しない場合がある。
 特に地方では高齢化が進んでいることから、利用者の多少にかかわらず駅のバリアフリー化の推進が急務である。
地域により利用形態等が異なることから、全国一律の要件とせず、利用形態や地域の事情等に応じた弾力的な運用を可能とされたい。


 
Ⅱ 省令(移動円滑化基準)試案について
 1 全般的事項について
(1)視覚、聴覚障害者についても十分配慮した基準とされたい。
(2)試案の基準はただし書きが多く付されているが、これらのただし書き によってバリアフリー化が不十分とならないよう配慮されたい。
(3)誘導・警告のためのブロック、マーク等については、形状や色彩につ いて全国的な統一を図るとともに、積雪地域等にあっては、地域の状況 に応じた適切な管理が行われるよう配慮されたい。

 
 2 旅客施設共通
(1)昇降機
① 昇降機内には車椅子等のスペースを確保し、あわせて高齢者等のために折畳式の椅子を設置することができるよう検討されたい。
② エレベーターの設置が困難な場合、エスカレータの設置を規定しているが、車椅子使用者が駅係員等の介助者の操作なしに利用できる設備の設置を検討されたい。
(2)便所
聴覚障害者にとっても便所の使用状況が分かるようにするよう検討されたい。
(3)案内装置
① 地方においては高齢者等が利用することも多いので、無人駅等利用者の少ない駅についても、その設置について十分に配慮されたい。
② 案内・標示については、視覚障害者や高齢者をはじめ利用する者にとって分かりやすいものとなるよう、大きさ・高さ・地板の色との明度差等を統一することを検討されたい。
(4)その他
車椅子使用者に対する電話台の高さ、幅等の設置基準の設定を検討されたい。

 
 3 鉄軌道車両
列車内のノンステップ化を進めるよう配慮されたい。
 
 4 バス車両
積雪地の場合、現状では低床バスの運行には、車両の損傷などの問題があることにも配慮されたい。
小型の低床バスの開発を促進するよう配慮されたい。

 
 5 船 舶
客席等における車椅子の設置基準は、100人に対し1個以上とされているが、高齢化率が高い場合は、100人に対し1個では不足する場合があるので、状況に応じた弾力的な運用を可能とされたい。
 
 6 航空機
客席数30人未満の航空機に対する適用についても検討されたい。

 
Ⅲ 基本方針試案
 1 移動円滑化の意義及び目標に関する事項
(1) バリアフリー化は、地元市町村が中心となりつつ、国等の関係者が互いに連携し、総合的かつ計画的に推進していくことが重要であるが、当該施設の利用者との連携も重要であるので、基本構想の策定に際しての意見聴取については、各都市の判断による方法で柔軟に運用することができるようにされたい。
(2) 保護者が同伴している場合を含め、乳児・幼児に対するバリアフリー化についても配慮されたい。
(3) 非常時・緊急時における高齢者等への対応について明らかにされたい。

 
 2 移動円滑化のために公共交通事業者等が講ずべき措置に関する基本的な事項
重点整備地区以外の地区においても、公共交通事業者等が市町村の基本構想や関係条例、計画、構想を尊重し、積極的にバリアフリー化を進めることとなるよう明らかにされたい。
 
 3 移動円滑化の促進のための施策に関する基本的な事項その他移動円滑化の促進に 関する事項
(1) この法律に基づく事業を着実に実施するに当たっては、国の財政措置が重要であるが、「地方公共団体が選択可能な各種支援措置」の具体的内容を明確にされたい。
 また、「地方公共団体が選択可能な各種支援措置の整備に努める。」を「地方公共団体が選択可能な各種支援措置の整備を行う。」に改められたい。
(2) 各都市には積雪寒冷地などの地域的事情や、公共交通機関の利用形態や運行状況等の相違等から、バリアフリー化を推進する上で全国一律の条件の下では困難な場合があることから、地域事情を勘案した財政支援措置を図られたい。
(3) 移動円滑化を進めるためには、施設等の改善、整備だけでなく、高齢者、身体障害者等に対する理解と協力が必要であることから、国民に対する積極的な広報活動と同時に、公共交通事業者(公営、民営)に対するバリアフリー化に対する研修会等を実施されたい。