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地震・津波防災対策の充実強化に関する緊急決議

第81回全国市長会議 決議

 

 

 

地震・津波防災対策の充実強化に関する緊急決議

 

 東日本大震災による巨大地震と大津波は、多くの人命と財産を奪い、東日本の広範囲に甚大な被害をもたらすとともに、加えて東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の放出により、全国の産業・経済活動にも深刻な影響を与えているところである。
 今次の大震災は、これまでの防災対策の想定をはるかに超えた大規模広域複合災害であり、今後、東海地震、東南海・南海地震などの大規模地震や連動地震が想定されるなかで、これまでの地震津波対策を抜本的に見直し、災害に強いまちづくり、住民の安心・安全対策を早急に講じることが必要である。
 よって、国においては、下記事項について、これまでの固定観念や既存法制などにとらわれることなく、迅速かつ万全の措置を講じるよう強く要請する。

 

 

1.現行の災害救助法は、都道府県が国の法定受託事務として救助を行うこととなっており、基礎自治体間の相互協力、連携については、全く想定されておらず、垂直的な救助にとどまっているなど、大規模災害や広域的災害に即応できるものとなっていない。従って、地方自治体が迅速かつ柔軟に即応できる制度とするとともに、地方自治体間の水平的、自主的な支援に対する国の費用負担を明文化するなど抜本的に見直すこと。

2.災害対策基本法は、市役所機能の喪失や域外避難など広域的な大規模災害に十分対応していないことから、こうした事態も想定し、国、都道府県、市町村の役割分担を踏まえた多重的かつ具体的な防災体制が構築されるよう改正すること。

3.東海地震、東南海・南海地震及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害想定の見直しと連動地震による被害想定の策定を早急に行うとともに、東南海・南海地震防災対策推進地域など著しい地震災害が生じる恐れのある地域について、地震防災対策強化地域として指定するなど大規模地震防災対策を強化すること。

4.東日本大震災の被害実態を調査・分析し、津波浸水予測を含む地震・津波被害想定を根本的に改め、早急に防災基本計画及び防災指針等の見直しを行うとともに、具体的かつ総合的な地震防災対策を早期に講じること。

5.地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業五か年計画の見直しを行うとともに、計画事業に係る財政上の特別措置の範囲の拡大と補助率の嵩上げ等財政支援措置の充実・拡充を図ること。

6.電気・ガス・上下水道、道路、橋梁、鉄道、港湾、通信等のライフライン施設の耐震化、防災機能の高度化を推進するとともに、早期の復旧を図るための資器材の備蓄・調達対策を確立すること。
 また、市役所等災害対策本部や支援の拠点施設・避難施設となる公用・公共施設の耐震化や津波避難ビル等避難施設の整備を推進するとともに、財政措置を拡充すること。

7.災害に強い海上輸送ネットワークの構築と地域防災力の構築を図るため、湾岸防波堤の改良や耐震強化岸壁の整備、海岸保全施設並びに臨港道路の耐震化等防災機能の高度化を推進するとともに、財政措置を拡充すること。

8.災害対策全般に関する情報を市町村へ速やかに伝達するシステムを整備するとともに、防災行政無線のデジタル化や携帯衛星電話など情報伝達システムの整備の推進、財政措置の拡充を図ること。

9.広域的な災害時における緊急物資の備蓄や受け入れ・搬送、被災者の輸送等を担う防災拠点の整備、機能強化、迅速な搬送体制の確立を図るとともに、国民生活や経済活動に影響を及ぼすことのないよう供給体制を見直すこと。

10.被災自治体と支援自治体が、迅速に実態に即した活動ができるよう全国的な物的、人的支援の仕組みの構築を推進するとともに、被災者や被災自治体のみならず物的・人的支援を行う自治体、避難者を受け入れる自治体に対する財政措置制度を設けること。

以上決議する。

 平成23年6月8日

 

全 国 市 長 会