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都市税財源の充実強化に関する決議

第80回全国市長会議 決議

 

 

都市税財源の充実強化に関する決議

 都市自治体は、長引く景気低迷を反映し、地方税が大幅に減収するという厳しい財政状況の下、少子高齢化に対応した福祉・医療サービスや、低迷する地域経済の振興、雇用の創出など多くの課題に対処するなど、地域住民の命と生活を守るため懸命の努力をしているところである。今後とも持続的にこれら行政サービスを実施していくためには、安定的な税財源の確保が不可欠である。
 このような中、財政の健全化を進めていくため、国と地方の財政を一体としてとらえた上でプライマリー・バランスを黒字化するとの議論がある。その際、地方のプライマリー・バランスは国より改善しているとの見方もあるが、これは市町村合併や職員定数・給与の削減など、地方が国に先んじて血のにじむような行財政改革を実践してきた結果であり、この地方の財政健全化努力を無にして、国のプライマリー・バランスの赤字を地方に付け替えるかのような財政健全化については絶対に承服できるものではない。
 住民に一番身近な基礎自治体を重視した地域主権改革を推進していくためには、対応可能なすべての事務事業の権限・財源が基礎自治体へ大幅に移譲されなくてはならず、我々都市自治体はその実現に大いに期待しているところである。
 政府においては、都市自治体が責任をもって自立した行財政運営ができるよう、地方交付税の本質を見失うことなく、地域住民の生活を守るために必要な地方交付税総額の復元・増額を継続し、地方が担う事務と責任に見合う税源移譲を含めた税源配分など、都市税財源の充実強化に向けて下記事項を実現するよう強く要請する。

 

1.地方交付税の復元・増額の継続と法定率の引上げ

 (1) 地方交付税の復元・増額を継続することにより、低下した財源調整・財源保障機能を回復・強化するとともに、増大・多様化する都市の財政需要を的確に反映し、その増額を図ること。この場合、赤字地方債である臨時財政対策債の発行は厳に抑制するとともに、それらの元利償還金については確実に補てんを行うこと。

 (2) 地方交付税の法定率の引上げ等により恒常的な地方交付税の財源不足の解消を図るとともに、地方自治体の固有財源である「地方交付税」を特会直入とする「地方共有税」を創設すること。

 (3) 都市自治体が直面している福祉、医療、子育て等社会保障、教育・安全などの経常的行政サービスの増大や道路・橋梁、学校等の改修費用の増大など真に必要な財政需要を的確に地方財政計画に盛り込み、都市自治体の避けられない財政需要の増嵩を適切に地方交付税の需要額に反映させること。

2.国と地方の役割分担に応じた税源配分と地方消費税の拡充

(1) 地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、当面、税源移譲による国・地方の税源配分「5:5」の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること。

(2) 福祉・医療・教育・消防など市民生活に直結する行政サービスを提供している総合行政主体としての都市自治体の財政需要の急増と多様化に対応するため、税源の偏在が少なく税収が安定している普通税としての地方消費税を拡充すること。

(3) 自動車関係諸税の税率については、極めて厳しい地方財政の状況及び地球温暖化対策などの観点から、代替財源を示さない限り現行水準は維持すること。
また、環境関連税制の導入に当たっては、環境施策において地方自治体の果たしている役割及び財政負担を十分勘案し、地方税としての検討も行うこと。

3.地方の自由度を高める国庫補助負担金の改革
 国庫補助負担金の廃止と一括交付金の創設にあたっては、必要とする事業の執行に支障が生じないようにするため、決して総額が縮減されることがないようにするとともに、地方交付税制度との整合性にも留意し、地方の自由度が拡大することを前提に、国と地方の協議の場等で十分協議して制度設計を行うこと。

 以上決議する。

 平成22年6月9日

全 国 市 長 会