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真の地方分権改革の推進に関する決議

理事・評議員合同会議決定(H21.11.20)

 

 

真の地方分権改革の推進に関する決議

 地方分権改革推進委員会は、今期の地方分権改革を、自治行政権、自治立法権、自治財政権を有する「完全自治体」としての「地方政府」を確立することを基本理念と位置づけ、これまで精力的に調査審議を行い、先般、その最終勧告として第4次勧告を取りまとめ公表しており、これを受け政府においては、いよいよ地方分権改革推進計画の策定、新分権一括法の制定に向け、大詰めの時期を迎えようとしている。
 鳩山新内閣においては、基礎自治体を重視した地域主権を確立するという政権公約を掲げて発足しており、これにより地方分権改革が大きく前進するものと期待している。
 しかしながら、地方分権改革推進委員会の勧告事項に対する政府の取組みについては、第3次勧告で示された義務付け・枠付けの見直しの一部事項等について、年内の地方分権改革推進計画の策定、次期通常国会への新分権一括法案提出という具体的な指示がなされているが、各府省のこれに対する現在の対応は、地域主権国家を目指すとしている内閣の方針からは後退した不十分なものである。また、これまでの数次の勧告のうち、基礎自治体への権限移譲や義務付け・枠付けの全体的な見直し及び税財政改革などについては、その改革方向や工程表が明らかにされていない。
 ついては、政府においては、地方分権改革推進委員会の勧告等を踏まえ、基礎自治体を重視した地域主権の確立に向けて、真の地方分権改革を実現するため、下記の事項に真摯に取り組まれるよう強く要請する。

 

1.国と地方の協議の場の法制化

 地方自治の根幹にかかわる事項について、国と地方の代表者が対等の立場で地方に関する事項を協働して政策を立案し執行に反映させる「国と地方の協議の場」の法制化を早期に実現すること。

2.都市自治体への権限移譲の推進

 地方分権改革推進委員会の第1次勧告を踏まえ、「基礎自治体優先の原則」、「補完性・近接性の原理」に基づき、都市自治体が住民に身近な事務事業を地域において総合的・一体的に遂行できるよう、包括的に移譲するとともに、自由度の高い行政運営が可能となる推進方策を講ずること。
 また、国から地方、都道府県から市町村への権限移譲に当たっては、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を行うとともに、必要不可欠である専門的な人材育成等の仕組みを構築すること。

3.義務付け・枠付けの廃止・縮小と条例制定権の拡大

 義務付け・枠付けについては、都市自治体の自主性の強化及び条例制定権の拡大を図る見地から、第3次勧告で示された条項について、廃止を原則とし、具体的に講ずべき措置の方針等を厳格に適用して見直しを行うこと。
 また、第2次勧告でメルクマール非該当とされたその他のものについても同様の措置を講じるとともに、法律の規定のみならず、政省令に基づく義務付け・枠付けについて早急に見直しをすること。

4.税財政改革の推進

  第4次勧告に基づき、地方交付税の有する財源調整・財源保障の両機能を回復し、強化するため、地方交付税総額の復元・増額及び法定率の引上げを行うとともに、「地方交付税」を国の特別会計に直接繰り入れ等を行う「地方共有税」に変更すること。
 さらに、地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本として、当面、国・地方の税源配分「5:5」の実現を図るとともに、地方消費税の充実を含め、偏在性が少ない地方税体系の構築等を図ること。
 国直轄事業負担金については、維持管理費負担金の速やかな廃止などの改善を図るとともに、二重行政を解消する見地等から、直轄事業の範囲限定や国の出先機関の見直し等についての検討を進めること。
 また、都道府県事業における市町村負担金や都道府県から市町村に対し一部転嫁されている国直轄事業負担金についても、事前協議の充実等の手続き面の改善だけでなく、都道府県と市町村との役割分担の基本に沿って廃止を含めた見直しを行うこと。

5.「地方分権改革推進計画」の早期作成と「新分権一括法案(仮称)」の提出等

 地方分権改革推進委員会の勧告等を踏まえ、「都市自治体への権限移譲」、「義務付け・枠付けの見直し」、「分権型社会に向けた税財政制度の構築」等について、地方分権改革の全体的な工程表を明らかにし、早期に地方分権改革推進計画を作成すること。
 その際、都市自治体の意見を十分に尊重すること。
 また、計画作成後、速やかに「新分権一括法案(仮称)」を国会に提出すること。
 さらに、勧告事項に対する政府の取組状況等をフォローアップし推進するための組織を設置すること。