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都市税財源の充実強化に関する決議

第79回全国市長会議 決議

 

 

都市税財源の充実強化に関する決議

 いま、都市自治体は、地方交付税の大幅な削減による財源調整・財源保障機能の低下を原因とする地域間格差の拡大や、「骨太の方針2006」によって固定化された地方歳出の削減水準などにより、その財政運営に大きな打撃を受けている。
 そのため、市民からの切実な要望があるにもかかわらず、地域の実情に即した独自の施策の実施も叶わず、強い疲弊感に陥っている。
 今後、少子高齢化が進む中で、福祉、医療などの社会保障関係費が急増するとともに、地方が独自に行うべき日常生活に欠くことのできない住民に身近な教育、安全などに係る経費や、社会基盤施設の老朽化対策に係る経費などの財政需要の増大が見込まれており、これ以上の財政状況の悪化は、市民生活に深刻な影響を与えかねない。
 政府は、都市自治体が責任を持って市民の切実な要望に応えられる行財政運営ができるよう、地域住民の生活を守るために必要な交付税総額を復元・増額し、地方が担う事務と責任に見合う税源移譲を含めた税源配分、地方税財源の偏在是正等に早急に取り組むとともに、地方税財政制度の構築に向けて下記事項を実現するよう強く要請する。

 

1. 地方交付税の復元・増額

 (1)これまでの地方交付税の大幅な削減によって財源調整・財源保障機能が低下し、地域間格差を招き、必要とされる事業の実施も困難となっている。そこで、地方交付税の有するこれらの機能を回復し、強化するため、地方交付税を復元するとともに、増大する財政需要を的確に反映し、その増額を図ること。
 なお、景気対策や政策減税等、国が後年度財源措置すると約束した交付税措置は確実に履行すること。
 (2)地方歳出水準を固定化した「骨太の方針2006」を見直し、都市自治体が直面している福祉、医療、子育て等の社会保障、教育・安全などの経常的行政サービスの増大や、道路、橋梁、学校等の改修費用の増大など真に必要な財政需要を的確に地方財政計画に盛り込み、都市自治体の避けられない財政需要の増嵩を適切に地方交付税の需要額に反映させること。
 (3)地方自治体共有の固有財源である地方交付税が、国の裁量により一方的に削減されることがないよう、安定的な地方財政を保障する観点から、国から恩恵的に与えられたものではないことを明確にするため、「地方交付税」を国の特別会計に直接繰り入れ等を行う「地方共有税」に変更すること。

2. 税制抜本改革による国・地方「5:5」の実現と偏在性の少ない税体系の構築

 (1)税制抜本改革は、地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、当面、税源移譲による国・地方の税源配分「5:5」の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること。
 (2)今後、地域の実情に基づき都市自治体が主体的な判断によって行う生活、福祉、教育サービスや社会基盤施設の維持・改修等に係る経費がますます増大することが見込まれる。
 ついては、税制抜本改革を実施するに当たっては、都市自治体がこれらの行政サービスを迅速かつ的確に提供できるよう一般財源を充実確保する観点から、地方消費税の拡充を含め、偏在性が少ない安定的な地方税体系を構築するとともに、地方交付税の法定率の引上げを行うこと。

3. 地方の自由度を高める国庫補助負担金等の改革

 地方税財政改革に当たっては、地方の自由度を高め、自立した行政運営ができるよう、国と地方の役割分担を明確化し、偏在性の少ない安定的な地方税体系の構築、地方交付税の復元・増額と一体として、国庫補助負担金を廃止・一般財源化し、その総件数を縮小すること。
また、地方の自由度の拡大につながらない補助率の引下げは、決して許されない。

 

 以上決議する。