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地方分権改革の推進に関する決議

第78回全国市長会議 決議



 

地方分権改革の推進に関する決議

 

 第二期地方分権改革は、地域に住む住民が自らの意思により地域の行政を決定する「住民自治の拡充のための改革」である。また、国・都道府県・市町村の役割分担を明確化し、二重行政の解消等による行政の簡素化を図ることによって、トータルコストを引き下げ、最も効率的な国の仕組みをつくるための改革である。
  そのためには、市町村が国や都道府県の関与、義務付け・枠付け、国からの財政補助等を基に行政を行うのではなく、自己決定と自己責任の下、地域における住民のニーズ、文化、伝統、個性などに基づいて行政を行うことができる仕組みを実現しなければならない。
 よって、地方分権改革推進委員会をはじめとする政府においては、真の地方分権改革を実現するため、下記の事項に真摯に取り組まれるよう強く要請する。

1.「地方の自立に繋がる行政面での分権改革」と「住民自治を可能とする地方税財政制度の構築」の断行
 第二期地方分権改革においては、国・都道府県・市町村の役割分担を明確化したうえで、①事務事業の再配分、国等の関与、義務付け・枠付けの廃止・縮小を行う「地方の自立に繋がる行政面での分権改革」、②税源移譲の推進、地方交付税制度の再構築、国庫補助負担金等の廃止等の「住民自治を可能とする地方税財政制度の構築」を断行すること。

2.都市自治体への権限移譲の推進
 国・都道府県・市町村の役割分担に基づく事務事業の再配分に当たっては、「基礎自治体優先」の原則、「補完性・近接性」の原理に基づき、都市自治体が住民に身近な事務事業を地域において総合的・一体的に遂行できるよう、包括的に移譲するとともに、自由度の高い行政運営が可能となる推進方策を講ずること。
 また、国から地方、都道府県から市町村への権限移譲に当たっては、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を行うとともに、必要不可欠である専門的な人材育成等の仕組みを構築すること。
 なお、医療・福祉制度などの国の制度改正に当たっては、その企画・立案段階から地方との協議を実施し、その意見を反映させるものとすること。

3.義務付け・枠付け、関与の廃止・縮小と条例制定権の拡大
 義務付け・枠付け、関与の見直しと条例による法令の上書き権を含めた条例制定権の拡大については、『中間的な取りまとめ』で示されているとおり、都市自治体の自主性を強化し、政策や制度の問題を含めて自由度を拡大する姿勢に立ち、「全国的に統一して定めることが必要な場合」等を極力限定的にとらえて見直すものとすること。

4.国の出先機関の見直し
 国の出先機関の見直しについては、二重行政の解消等、国・地方双方の行政の簡素・効率化に資するものであり、また、地方分権改革の推進に不可欠なものであることから、昨年9月に地方六団体が提出した「地方支分部局の整理について」の考え方等に基づき、抜本的な改革を断行すること。

5.税財政改革の推進
 住民の意向に基づいた行政施策を展開するとともに、移譲を受けた権限を着実に実施するためには、国・都道府県から都市自治体に対して税財源を移譲し、都市自治体が財政的にも自立することが必要であることから、権限移譲に伴い必要となる税財源を併せて移譲すること。
 また、「地方共有税の導入」や「(仮)地方行財政会議の法律による設置」についても、第二期改革において実現すること。

6.国・地方を通じた行財政改革の推進
 都市自治体は、市町村合併等による行政組織の再編統合や国に先駆けて大幅な定数削減や給与カットなど、懸命に行財政改革に取り組み、国を上回るペースで歳出削減努力を行ってきた。今後も、さらなる行財政改革を進め、効率的な行財政運営に努め、住民サービスの向上を図りながら、財政再建に取り組む決意である。
 国と地方の二重行政の排除、地方に対する国の関与の廃止・縮小等、地方分権改革の推進こそが国・地方を通じた最大の行財政改革につながることから、国は、地方支分部局の廃止等、遅れている自身の行財政改革を断行すること。

  以上、決議する。