義務教育施策等の充実を図るため、国は、次の事項について積極的な措置を講じられたい。
1.分権型教育の推進について
(1)公立小中学校教職員の人事権について、広域的な人事交流の仕組みを構築するとともに、中核市をはじめとする都市自治体に所要の税財源措置と併せて移譲すること。
(2)都市自治体が地域のニーズに応じた独自の教育施策を展開することができるよう、学級編制権及び教職員定数決定権等を所要の税財源措置と併せて都市自治体に移譲すること。
(3)教育委員会の設置について、選択制を導入すること。
2.教職員配置等の充実について
(1) 地域に応じたきめ細やかな指導が行えるよう、少人数学級の推進に向け、当面、法改正等により学級編制及び教職員定数の標準を見直すとともに、所要の税財源措置を講じること。
(2)帰国、入国児童・生徒が多数在籍する学校への教職員配置等の充実を図ること。
(3)専任の司書教諭等の全校配置等、学校図書館における人的配置の充実を図るとともに、適切な税財源措置を講じること。
(4) 生徒指導等に配慮を要する学校への養護教諭の複数配置を促進すること。
(5)学校栄養教諭の配置を促進すること。
(6)スクールカウンセラーについて、絶対数が不足している学校等へ効果的に配置できるよう配慮すること。
(7)育児短時間勤務の実施に伴い、学校運営に支障を来すことのないよう、学級担任の確保等、教員の補充について十分配慮すること。
(8)科学教育など特色ある教育活動を行う学校に対して、加配教員を確保すること。
(9)人権教育のための加配教員を確保すること。
3.障害児等の学習環境の充実について
(1)普通学級に在籍する障害児や、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)等の児童・生徒に対する特別支援教育支援員等の適正配置など、十分な財政措置を含め、特別支援教育の充実を図ること。
また、幼稚園においても、同様に特別支援教育支援員の配置等に配慮すること。
(2)特別支援学級における児童・生徒の定数の見直しを行うこと。
(3)入退院を繰り返す児童・生徒に配慮し、院内学級について入学手続きの簡素化を図ること。
(4)障害者に対する正しい理解を深めるための啓発活動について、支援を行うこと。
(5)社会的自立に向けた教育を受けることができるよう、高等学校における特別支援教育の推進体制の充実を図ること。
4.小中一貫教育を推進するため、義務教育学校設置に係る法令等の諸整備を早期に行うこと。
5.小中学校の統廃合に伴う都市自治体の財政負担に対し、所要の支援措置を講じること。
6.学校給食費の未納問題に対処するべく、必要な法整備等を行うこと。
7.要保護児童生徒援助費、特別支援教育就学奨励費等について、超過負担が生じないよう、十分な財政措置を講じること。
8.教職員の校務効率化や、個人所有のパソコン使用に起因する情報漏えいを根絶するため、パソコン整備に必要な財政措置を講じること。
9.放課後子どもプランについて
(1)「放課後子ども教室推進事業」と「放課後児童健全育成事業」については、国の所管及び予算を一本化する等、一体的に推進できる体制に整備するとともに、十分な財政措置を講じること。
(2)放課後子どもプランについて、事業内容等の大幅な変更・縮小がないよう事業を継続するとともに、事故等に対応できるよう、全国一律の保障制度(日本スポーツ振興センター災害共済給付制度の拡充等)を検討すること。
(3)放課後こども教室推進事業に参加するボランティアへの謝金について、所得税法上の減免措置を講じること。
10.幼稚園就援奨励に係る財政措置の拡充を図ること。
11.幼稚園を指定管理者制度等の対象とすること。
12.認定子ども園について、会計事務処理等が煩雑であるため、その見直しを行うとともに、十分な財政措置を講じること。
13.就学前の全ての子どもが年齢に応じた教育・保育が受けられる幼保一元化の実現を目指すため、関係省の枠組みを超えた抜本的な見直しを行うこと。
また、幼保一元化の推進を図るため、施設等の集約化等に対する十分な財政措置を講じるとともに、幼稚園教諭・保育士相互の資格取得が容易となるよう取得要件を緩和すること。
14.国と郷土を愛する心を培うとともに、地域の文化・伝統を重んじる視点に立って、住民に身近な自治体が主体となるふるさと教育を、継続的に行えるようにすること。
15.地方文化の振興を図るため、史跡、埋蔵文化財等の保存・整備・調査等について、財政措置の拡充を図ること。
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