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都市税源の充実強化等に関する要望

全国市長会の主張  -要望- H20.6



都市税源の充実強化等に関する要望

 

 都市の自主財源の根幹である都市税源を充実させるため、国は、次の事項の早期実現のため積極的な措置を講じられたい。

1.地方分権をより一層推進し、地方自治体の自立的かつ効率的な行財政運営を可能とする地方税中心の歳入構造を構築するためには、国と地方の役割分担を抜本的に見直し、地方が担う事務と責任に見合った税源配分とすることが必要である。
 ついては、税制抜本改革において、次の措置を講じること。

(1) 税制抜本改革は、地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、当面、税源移譲による国・地方の税源配分「5:5」の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること。
(2) 消費税を含む税制抜本改革は、地方消費税の充実を含む税源の偏在性が少なく安定的な税収を確保できる地方税体系を構築すること。なお、税制改革による格差是正を行うに当たっては、地方交付税総額が減少することがあってはならないこと。

2.個人住民税は、地域社会の費用を住民が広くその能力に応じ負担する税であり、基礎的行政サービスを安定的に支えていくうえで極めて重要な税であることを踏まえ、次の措置を講じること。

(1) 個人住民税均等割については、これまでの1人あたりの国民所得や地方歳出等の伸びを勘案すると低い水準にとどまっているため、その税率を引き上げること。
(2) 個人住民税における生命保険料控除等については、本来住民税の性格になじまないことから、廃止を含めた見直しを行うとともに、新たな政策的控除は原則として行わないこと。
 また、配偶者控除等の人的控除についても課税の公平・中立・簡素等の観点から見直しを行うこと。
(3) 個人住民税の現年課税方式について検討すること。
(4) 個人住民税の公的年金からの特別徴収において、国は、都道府県及び市町村との協力・連携を強化し、年金受給者に対し制度の周知徹底を図ること。さらに、導入に際しては、都市自治体の意見を反映させること。
(5) 年度間の所得変動に係る経過措置により個人住民税の還付を行った場合の減収額については、地方の固有・共有財源である交付税措置ではなく、全額国費で補てんすること。
(6) 個人道府県民税の徴収取扱費交付金は、平成18年度の税制改正により算定方法が変更されたが、税源移譲等により賦課徴収事務経費が増大するなど、徴収取扱費交付金が徴収経費に比べ不足する場合があることから、算定基礎となる金額の増額等について検討すること。

3.固定資産税の安定的確保等
 固定資産税は、地方税の大宗をなしている重要な基幹税目であることから、その安定的確保を図ること。
 特に、償却資産については、資産の保有と市町村の行政サービスとの受益の関係に着目して課税されるものであり、事業の用に供している限り一定の価値が存することから、現行の減価残存率等を堅持するとともに、耐用年数の在り方について、検討すること。

4.諸税の課税制度等の見直し
 諸税については、税負担の均衡等を勘案し、次の措置を講じること。

(1) 原動機付自転車に対する軽自動車税については、徴税効率が極めて低い現状にかんがみ、標準税率、課税方法等の課税制度の見直しを検討すること。
(2) 特別とん税については、港湾施設の整備に要する費用の増大等にかんがみ、税率を引き上げること。
(3) ゴルフ場利用税については、ゴルフ場所在地におけるゴルフ場関連の財政需要に要する貴重な財源であることから、現行制度を堅持すること。

5.地方税における非課税措置、課税標準の特例措置の特別措置については、税負担の公平確保の見地からより一層の整理合理化を図ること。
 特に、固定資産税の非課税措置、課税標準の特例措置について、抜本的に是正措置を講じること。また、地方税収を確保するため、国税における租税特別措置についても見直しを行うこと。

6.課税・徴収体制等の改善
 課税・徴収体制等の改善については、次の措置を講じること

(1) 国税庁所管の確定申告・配当・報酬等の資料一覧など、紙による一覧表で提供されたものを基に市町村において改めて電算入力を行っている。課税事務の効率化のため、これらのデータ提供については、電磁的記録媒体により行うこと。
(2) 徴収事務については、国・都道府県をはじめ関係団体との税務運営上の協力体制を充実すること。
(3) 割賦販売で自動車を購入する場合、当該販売代金を完済し、所有権移転登録を行わなければならないにもかかわらず、租税滞納者が、所有権移転登録を怠っている場合には、差押登録が出来ないため、道路運送車両法第13条の移転登録を徹底すること。
 また、移転登録が徹底されず、移転登録に租税滞納者の協力が得られない場合には、租税債権者による代位登録ができるように法的整備を図ること。

7.地方税法等の改正時期
 地方自治の根幹である税条例の改正に係る議論の時間が地方議会において十分確保されるよう、地方税法等の改正・公布の時期について配慮すること。