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地方分権改革の推進に関する決議

理事・評議員合同会議決定(H19.11.15)




地方分権改革の推進に関する決議

 

 第二期地方分権改革は、地域に住む住民が自らの意思により地域の行政を決定する「住民自治の拡充のための改革」である。また、国・都道府県・市町村の役割分担を明確化し、二重行政の解消等による行政の簡素化を図ることによって、トータルコストを引き下げ、最も効率的な国の仕組みをつくるための改革である。
 そのためには、市町村が国や都道府県の関与、義務付け・枠付け、国からの財政補助等を基に行政を行うのではなく、自己決定と自己責任の下、地域における住民のニーズ、文化、伝統、個性などに基づいて行政を行うことができる仕組みを実現しなければならない。
 よって、地方分権改革推進委員会をはじめとする政府においては、真の地方分権改革を実現するため、以下の事項に真摯に取り組まれるよう強く要請する。

1.「地方の自立に繋がる行政面での分権改革」と「住民自治を可能とする地方税財政制度の構築」の断行
  国・都道府県・市町村の役割分担を明確化したうえで、①事務事業の再配分、国等の関与、義務付け・枠付けの廃止・縮小を行う「地方の自立に繋がる行政面での分権改革」、②税源移譲の推進、地方交付税制度の再構築、国庫補助負担金等の廃止等の「住民自治を可能とする地方税財政制度の構築」を断行すること。

2.補完性・近接性の原理に基づく国・都道府県・市町村の役割分担の明確化と、これに基づく事務事業の再配分
 国は、国家戦略の立案・検討と実践を中心に担い、内政面では、地方にできることは地方が担い、その責任を引き受けるとともに、中でも市町村が多くの役割を担い、住民自らの意思で行政施策を実施できるようにし、都道府県は広域的機能や市町村間の調整機能等に重点化すること。
  事務事業の再配分は、二重行政を排除し、事務の的確・迅速な実施等ができるよう、明確化された国・都道府県・市町村の役割分担に基づき、基本的にはそれぞれの主体が制度内における事務事業を包括して担うこととすること。

3.国や都道府県による関与、義務付け・枠付け等の廃止・縮小と二重行政の解消等

(1)関与、義務付け・枠付けの廃止・縮小と二重行政の解消
 国、都道府県による市町村に対する同意、協議等の関与、組織・職員の必置等の執行方法・執行体制に係る義務付け・枠付けを廃止・縮小し、各主体が自己決定・自己責任の下、事務事業を実施できるようにすること。
(2)条例制定権の拡大
 自治体の事務に関する法令の定めは制度の大綱・枠組み、あるいは基本的な基準を示すにとどめ、具体的な事務処理の基準、方法、手続等は自治体が条例で定めることを可能とする規定を関係法律で整備するなど、自治体自らが条例によって、地域特性や住民ニーズに基づいて事務事業を実施することができるようにすること。
(3)地方支分部局の整理
 当該事務事業の必要性を精査し、不要なものは廃止するとともに、民間において実施可能なもの、民間が行うにふさわしいものは民間に委ねるなど、地方支分部局における徹底した行政改革を断行すること。
  その上で、国・都道府県・市町村の役割分担に基づき、市町村の役割となった事務事業については、それに必要な財源・人員を一体として移譲すること。

4.税源移譲の推進、地方交付税制度の改革、国庫補助負担金等の廃止・縮小
  住民の意向に基づく行政運営には、市町村の財政的自立が不可欠であることから、国庫補助負担金・交付金を廃止・縮小し、税源移譲を進めることによって、国と地方の租税収入と最終支出の比率の乖離を縮小し、併せて地方交付税の充実強化等を図ることにより、地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を実現すること。

(1)税源移譲
  国と地方の税源配分を当面5:5となるよう見直し、その際、偏在性の少ない地方消費税と個人住民税を充実強化し、地域間格差の是正を図ること。
(2)地方交付税制度の改革
  財政力の弱い地方自治体においても、住民生活に支障が生じることのないよう、安定的な財政運営を確保するため、地方交付税の財政調整・財源保障の機能を強化して対応すること。
  地方交付税を「地方共有税」に変更し、法定率の引上げ、特別会計への直入、特例加算・特別会計借入れの廃止を実施するなど「地方共有税」構想を早期に実現すること。
(3)国庫補助負担金等の廃止・縮小
  地方の自由度を高めるため、補助負担率の引き下げでなく、国庫補助負担金等自体を廃止すること。その際、地方の「国庫補助負担金等に関する改革案」を着実に実施するとともに、国庫補助負担金等の総件数半減を当面の目標とすること。なお、廃止に伴う税財源措置を講ずること。

5.「(仮)地方行財政会議」の法律による設置
  地方に関わる事項について、政府と地方の代表者等が協議を行い、地方の意見を政府の政策立案及び執行に反映させる「(仮)地方行財政会議」を法律によって設置すること。
  なお、「国・地方の定期意見交換会」は継続して開催し、地方の意見を改革に反映すること。

6.国・地方を通じた行財政改革の推進
  都市自治体は、市町村合併等による行政組織の再編統合や国に先駆けて大幅な定数削減や給与カットなど、懸命に行財政改革に取り組み、国を上回るペースで歳出削減努力を行ってきた。今後も、さらなる行財政改革を進め、効率的な行財政運営に努め、住民サービスの向上を図りながら、財政再建に取り組む決意である。
  国と地方の二重行政の排除、地方に対する国の関与の廃止・縮小等、地方分権改革の推進こそが国・地方を通じた最大の行財政改革につながることから、国は、地方支分部局の廃止等、遅れている自身の行財政改革を断行すること。

 

以上決議する。

平成19年11月15日

全 国 市 長 会