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都市税財源の充実強化に関する決議

第77回全国市長会議 決議



 

都市税財源の充実強化に関する決議

 

 今、都市自治体は、未曽有の財政危機に直面している。
 地方交付税の大幅な削減や、累次の国・地方を通じた大幅な財政歳出の削減は、地域間の格差を拡大し、地方自治体の財政運営に大きな打撃を与えている。
 合わせて、国に先駆けて実施してきた都市自治体の行政改革は、既に限界を迎えつつある。都市自治体の行政サービスは、福祉、医療などの待ったなしに実施を迫られるものや、教育、安全など日常生活に欠くことのできないものばかりであり、これ以上の削減は、住民サービスへ影響しかねない状況にある。
 さらに、国と歩調を合わせて実施した公共事業に要した多額の公債費の償還圧力が高まる中で、高齢化社会に向けての社会保障費の増嵩、十分な税財政措置を伴わない新たな事務の増大などが財政の硬直化を引き起こし、財政の自治の空洞化を招いている。
 政府が掲げる「地方の活力なくして国の活力なし」は、住民の最も身近な都市自治体が、自信を持って、創意と工夫により、住民のニーズに応えることのできる基盤を確立することによって実現できるものである。
 地方税財政改革は、未だ、道半ばにある。
 政府は、地方が担う事務と責任に見合う税源移譲を含めた税源配分、地方税財政の偏在是正等に早急に取り組むとともに、地方交付税の本質を見失うことなく、地域住民の生活を守るために必要な交付税所要額を確保し、都市自治体が責任を持って自立した行財政運営ができるような、地方税財政制度の構築に向けて下記事項を実現するよう強く要請する。

 

1 税源移譲による国・地方「5:5」の実現

  平成19年度以降の地方税財政改革は、地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、当面、税源移譲による国・地方の税源配分「5:5」の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること。その際、消費税等の地域偏在性の少ない基幹税を中心とする地方税体系を構築し、地方税収の地域間格差の是正を目指すこと。

2 地方交付税の充実 


(1)地方交付税は、国の財政再建のために安易に削減されることがあってはならない。「基本方針2006」で示されたように地方交付税の現行法定率は堅持し、地方自治体の安定的な財政運営に必要な地方交付税総額を確保し、一般財源の充実を図ること。
 なお、景気対策や政策減税等、国が後年度財源措置すると約束した交付税措置は確実に履行すること。
(2)地方交付税は、国から恩恵的に与えられたものでなく、地方自治体の共有財源であることを明確にするため、「地方交付税」を国の特別会計に直接繰り入れ等を行う「地方共有税」構想を早期に実現すること。
(3)地域間格差が拡大する中、財政力の弱い地方自治体の安定的な財政運営を確保するために、地方交付税の財源調整・財源保障の両機能を強化すること。 
 また、都市の財政需要は、施設の新設などのハードから福祉、医療、子育て、教育などの対人サービスを中心としたソフトへ大きく転換をしていることから、投資から経常へと変化している実態を適切に需要額に反映させること。
 

3 地方の自由度を高める国庫補助負担金等の改革


  地方税財政改革に当たっては、地方の自由度を高め、自立(律)した行政運営ができるよう、国と地方の役割分担を明確化し、国の義務付けや関与の廃止・縮小を一体的に進めながら、国庫補助負担金の廃止・縮小(一般財源化)を図ること。また、地方の自由度の拡大につながらない補助率の引下げは、決して許されないものであること。
 
 以上、決議する。

 平成19年6月6日

第77回全国市長会